宅建士試験 要点整理テキスト

全科目 + 過去問演習

📋 試験概要

宅地建物取引士試験 概要

試験の基本情報

項目 内容
正式名称 宅地建物取引士資格試験
実施機関 一般財団法人 不動産適正取引推進機構
試験日 毎年10月第3日曜日
試験時間 13:00〜15:00(2時間)/5問免除者は13:10〜15:00
出題形式 四肢択一式マークシート
問題数 50問(5問免除者は45問)
合格基準 毎年変動(例年31〜38点、概ね70%前後)
合格率 15〜18%程度
受験資格 なし(誰でも受験可能)

出題科目と配点

科目 問題番号 問数 配点比率
権利関係 問1〜問14 14問 28%
法令上の制限 問15〜問22 8問 16%
税・価格 問23〜問25 3問 6%
宅建業法 問26〜問45 20問 40% ★★★
免除科目(5問免除) 問46〜問50 5問 10%

各科目の特徴と攻略

★★★ 宅建業法(20問)— 最重要・得点源

  • 条文ベースの出題が多く、暗記で得点しやすい
  • 20問中18問以上を目標にすべき
  • 頻出テーマ: 免許、宅建士、営業保証金、保証協会、媒介契約、重要事項説明(35条)、37条書面、8種制限、報酬、監督処分

★★ 権利関係(14問)— 難易度高・差がつく

  • 民法が中心(10問程度)、借地借家法・区分所有法・不動産登記法で各1問
  • 民法は範囲が広く深いため、頻出論点に絞った学習が効率的
  • 14問中8〜10問を目標
  • 頻出テーマ: 意思表示、代理、時効、物権変動、抵当権、債務不履行、契約不適合責任、賃貸借、相続

★★ 法令上の制限(8問)— 暗記科目

  • 都市計画法・建築基準法が各2問、その他で4問
  • 数字の暗記が重要(面積要件、届出期間等)
  • 8問中6問以上を目標
  • 頻出テーマ: 開発許可、用途制限、建蔽率・容積率、高さ制限、農地法3条4条5条、届出制

★ 税・価格(3問)

  • 所得税・印紙税・不動産取得税・固定資産税・登録免許税から出題
  • 地価公示法・不動産鑑定評価基準も出題される
  • 3問中2問を目標

免除科目(5問)

  • 住宅金融支援機構、景品表示法(不当表示)、統計、土地・建物の知識
  • 登録講習修了者は免除
  • 5問中3問以上を目標

合格戦略

目標得点配分(38点合格想定)

科目 問数 目標 得点率
宅建業法 20問 18点 90%
権利関係 14問 9点 64%
法令上の制限 8問 6点 75%
税・価格 3問 2点 67%
免除科目 5問 3点 60%
合計 50問 38点 76%

学習の優先順位

  1. 宅建業法(最優先): 配点最大&得点しやすい。ここで落とすと合格は厳しい
  2. 法令上の制限: 暗記すれば確実に取れる。数字を正確に覚える
  3. 権利関係: 深追い禁物。頻出論点を確実に押さえ、難問は捨てる勇気も必要
  4. 税・価格: 出題パターンが限られるため、過去問で対策
  5. 免除科目: 統計は直前期に最新データを確認

学習期間の目安

  • 法律初学者: 300〜400時間
  • 法律学習経験者: 200〜300時間
  • 学習開始時期: 試験の6ヶ月前(4月頃)が理想

⚖️ 権利関係

民法総則

権利関係(問1〜問14)の基礎。意思表示・代理・時効は毎年出題される超頻出分野。

1. 制限行為能力者 ★★

種類と保護者

種類 要件 保護者 同意権 取消権 代理権
未成年者 18歳未満 法定代理人(親権者・未成年後見人)
成年被後見人 精神上の障害により事理弁識能力を欠く常況 成年後見人 ×
被保佐人 事理弁識能力が著しく不十分 保佐人 ○(13条1項) △(審判)
被補助人 事理弁識能力が不十分 補助人 △(審判) △(審判) △(審判)

重要ポイント

  • 未成年者の例外: 単に権利を得る行為・義務を免れる行為、処分を許された財産の処分 → 取消不可
  • 成年被後見人: 日用品の購入その他日常生活に関する行為 → 取消不可
  • 取消しの効果: 初めから無効(遡及効)。返還義務は「現に利益を受けている限度」
  • 追認: 制限行為能力者側からの追認は、行為能力者となった後にのみ可能
  • 法定追認(125条): 全部または一部の履行、担保の供与、取得した権利の処分等 → 追認とみなす
  • 相手方の催告権(20条): 1ヶ月以上の期間を定めて催告可能。確答なき場合の効果は催告先による

2. 意思表示 ★★★

心裡留保(93条)

  • 表意者が真意でないことを知ってした意思表示
  • 原則: 有効
  • 例外: 相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたとき → 無効
  • 善意の第三者に対抗できない

通謀虚偽表示(94条)★★★

  • 相手方と通じてした虚偽の意思表示
  • 効果: 無効
  • 94条2項: 善意の第三者に対抗できない
  • 第三者は善意であれば足りる(無過失不要)
  • 第三者は登記不要
  • 転得者が善意なら、直接の第三者が悪意でも保護される(絶対的構成・判例)

錯誤(95条)★★

  • 意思表示が錯誤に基づくもの
  • 要件:
    1. 意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示の錯誤)
    2. 表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤)
  • 動機の錯誤: その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたとき取消可能
  • 効果: 取消し可能(2020年改正で無効→取消しに変更)
  • 制限: 表意者に重大な過失があるときは取消不可(ただし相手方が悪意・重過失の場合、共通錯誤の場合は可能)

詐欺(96条)★★

  • 効果: 取消し可能
  • 第三者詐欺: 相手方が詐欺の事実を知り、又は知ることができたときに限り取消可能
  • 96条3項: 詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗できない

強迫(96条)★★

  • 効果: 取消し可能
  • 第三者による強迫でも常に取消し可能(詐欺と異なる)
  • 強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できる(詐欺との重要な違い)

意思表示の比較表

類型 効果 善意の第三者への対抗
心裡留保(原則) 有効
心裡留保(例外) 無効 対抗不可
通謀虚偽表示 無効 対抗不可(善意で足りる)
錯誤 取消し 対抗不可(善意無過失)
詐欺 取消し 対抗不可(善意無過失)
強迫 取消し 対抗できる

3. 代理 ★★★

代理の基本構造

  • 有権代理の要件: ①代理権の存在 ②顕名(本人のためにすることを示す) ③代理権の範囲内
  • 顕名なしの場合: 原則として本人に効果帰属しない。ただし相手方が代理人であることを知り又は知ることができたときは本人に帰属

自己契約・双方代理(108条)

  • 原則: 禁止(無権代理とみなす)
  • 例外: 本人の許諾がある場合、債務の履行の場合

代理権の濫用(107条)

  • 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権を行使
  • 効果: 相手方が目的を知り又は知ることができたとき → 無権代理とみなす

復代理

任意代理人 法定代理人
選任 本人の許諾 or やむを得ない事由 いつでも選任可能
責任 選任・監督の責任 全責任(やむを得ない事由で選任した場合は選任・監督の責任)

無権代理 ★★★

  • 本人の選択肢: 追認 or 追認拒絶
  • 追認の効果: 契約時に遡って有効(ただし第三者の権利を害せない)
  • 相手方の権利:
  • 催告権(114条): 本人に追認するか催告。期間内に確答なき場合 → 追認拒絶とみなす
  • 取消権(115条): 善意の相手方は、本人が追認するまでは取消可能
  • 無権代理人への責任追及(117条): 履行または損害賠償を請求可能(ただし代理権がないことを相手方が知り又は過失で知らなかったときは請求不可)

表見代理 ★★

類型 条文 要件
代理権授与の表示 109条 本人が代理権を与えた旨を表示 + 相手方善意無過失
権限外の行為 110条 基本代理権あり + 権限外の行為 + 相手方が正当な理由で権限内と信じた
代理権消滅後 112条 かつて代理権あり + 消滅後の行為 + 相手方善意無過失

4. 時効 ★★★

取得時効

要件 期間
所有の意思 + 平穏公然 + 善意無過失 10年
所有の意思 + 平穏公然 20年

消滅時効

起算点 期間
権利を行使することができることを知った時(主観的起算点) 5年
権利を行使することができる時(客観的起算点) 10年
不法行為: 損害及び加害者を知った時 3年(生命・身体は5年)
不法行為: 不法行為の時 20年

時効の完成猶予・更新

事由 効果
裁判上の請求 完成猶予 → 確定判決で更新
催告 6ヶ月の完成猶予(再度の催告は不可)
承認 更新(権利の承認。時効完成後の承認も有効)
協議を行う旨の合意 完成猶予(書面による合意が必要)
天災等 3ヶ月の完成猶予

重要ポイント

  • 時効の援用: 当事者(時効により直接利益を受ける者)が援用しなければ裁判所は考慮できない
  • 時効利益の放棄: 時効完成前の放棄は不可。完成後は放棄可能
  • 時効完成後の債務承認: 信義則上、その後は時効援用不可(判例)

5. 条件・期限

条件

  • 停止条件: 条件成就で効力発生
  • 解除条件: 条件成就で効力消滅
  • 条件の成就を妨害した場合: 相手方は条件が成就したものとみなすことができる
  • 不法条件・不能条件: 無効

期限

  • 確定期限: 到来時期が確定している(例: 2026年4月1日)
  • 不確定期限: 到来は確実だが時期は不確定(例: 父が死亡したとき)
  • 期限の利益の放棄: 相手方の利益を害しない限り可能
  • 期限の利益の喪失(137条): 破産手続開始、担保の滅失・減少、担保供与義務の不履行

民法物権

物権変動(177条)と抵当権は毎年出題される超頻出分野。

1. 物権変動 ★★★

意思主義(176条)

  • 物権の設定・移転は、当事者の意思表示のみで効力を生ずる
  • 登記や引渡しは対抗要件であり、成立要件ではない

不動産の対抗要件(177条)★★★

  • 不動産に関する物権変動は、登記をしなければ第三者に対抗できない
177条の「第三者」に該当する者
  • 二重譲渡の譲受人
  • 差押債権者
  • 抵当権者
  • 賃借人
177条の「第三者」に該当しない者(登記なくして対抗できる)
  • 不法占拠者・不法行為者
  • 背信的悪意者(信義則に反する者)
  • 無権利者
  • 詐欺・強迫により登記申請を妨げた者
  • 転々譲渡における前主・後主の関係(当事者関係)

動産の対抗要件(178条)

  • 引渡し(現実の引渡し、簡易の引渡し、占有改定、指図による占有移転)

取消しと登記

  • 取消し前の第三者: 96条3項(詐欺)により善意無過失の第三者に対抗不可
  • 取消し後の第三者: 対抗問題(177条)→ 先に登記を備えた方が勝つ

解除と登記

  • 解除前の第三者: 545条1項ただし書 → 第三者の権利を害せない(第三者は登記必要・判例)
  • 解除後の第三者: 対抗問題(177条)→ 先に登記を備えた方が勝つ

相続と登記

  • 法定相続分: 登記なくして第三者に対抗できる
  • 法定相続分を超える部分: 登記なくして第三者に対抗できない(899条の2)
  • 遺産分割後に第三者が現れた場合: 対抗問題(177条)

時効と登記

  • 時効完成前の第三者: 時効取得者は登記なくして対抗できる(当事者関係)
  • 時効完成後の第三者: 対抗問題(177条)→ 先に登記を備えた方が勝つ

2. 所有権 ★

共有 ★★

行為 要件
保存行為(修繕等) 各共有者が単独で可能
管理行為(賃貸借の設定等) 持分の過半数の同意
軽微変更 持分の過半数の同意
変更行為(売却・建替え等) 共有者全員の同意
  • 各共有者は持分に応じて共有物の全部を使用できる
  • 持分の処分は各共有者が自由にできる(他の共有者の同意不要)
  • 共有物分割請求: いつでも可能。5年以内の不分割特約は有効
  • 共有者の一人が相続人なくして死亡 → 特別縁故者への分与を経て、残余は他の共有者に帰属

相隣関係

  • 隣地使用権: 境界付近の建築・修繕等のため、必要な範囲で隣地を使用できる(2023年改正)
  • 竹木の枝の切除: 催告後相当期間内に切除されない場合等は、自ら切り取ることができる(2023年改正)
  • 竹木の根: 自ら切り取ることができる(従前どおり)

3. 用益物権

地上権

  • 他人の土地において工作物又は竹木を所有するために設定
  • 物権 → 地主の承諾なく譲渡・転貸可能
  • 登記請求権あり

地役権

  • 要役地の便益のために承役地を利用する権利
  • 要役地の所有権に従たる権利として移転する(付従性)
  • 時効取得可能(継続的に行使+外形上認識可能)

4. 担保物権

留置権

  • 他人の物を占有する者が、その物に関して生じた債権を有するとき、弁済を受けるまで留置できる
  • 特徴: 優先弁済権なし、競売申立不可(ただし形式的競売は可能)
  • 不動産にも成立する

先取特権

  • 法律の規定により認められる担保物権
  • 一般先取特権: 共益費用、雇用関係、葬式費用、日用品供給
  • 不動産の先取特権: 不動産保存、不動産工事、不動産売買

質権

  • 債権者が担保として債務者等から受け取った物を占有
  • 質権者は目的物を使用収益できない(原則)
  • 不動産質権者は使用収益できる

抵当権 ★★★

基本
  • 目的物の占有を移転しない → 設定者が引き続き使用収益可能
  • 付従性: 被担保債権なければ抵当権なし
  • 随伴性: 被担保債権が移転すれば抵当権も移転
  • 物上代位性: 賃料・保険金・損害賠償金にも及ぶ(ただし払渡し前に差押え必要)
  • 不可分性: 被担保債権全額の弁済を受けるまで目的物全部に抵当権が及ぶ
抵当権の効力の及ぶ範囲
  • 付加一体物(付合物・従物)に及ぶ
  • 従たる権利にも及ぶ
  • 果実: 債務不履行後は天然果実にも及ぶ
抵当権と賃貸借
  • 抵当権設定登記後の賃借権: 抵当権者・競売による買受人に対抗不可
  • 抵当権設定登記前の賃借権: 対抗力を有する場合、抵当権者に対抗可能
  • 建物明渡猶予制度(395条): 抵当権に対抗できない賃借人は、競売による買受けから6ヶ月の明渡猶予
法定地上権(388条)★★
  • 成立要件(すべて満たすこと):
    1. 抵当権設定時に土地上に建物が存在
    2. 抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属する
    3. 土地又は建物の一方又は双方に抵当権が設定された
    4. 競売の結果、土地と建物が別々の所有者に帰属した
一括競売(389条)
  • 更地に抵当権設定後に建物が築造された場合 → 土地と共に建物も一括競売可能
  • ただし優先弁済は土地の代価についてのみ
根抵当権
  • 一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保
  • 元本確定前: 被担保債権の範囲変更、極度額の変更、債務者の変更可能
  • 元本確定後: 通常の抵当権と同様(付従性・随伴性あり)
  • 極度額の変更: 利害関係人の承諾が必要

民法債権

債務不履行、契約不適合責任、賃貸借、連帯債務・保証は頻出。

1. 債務不履行 ★★★

類型

類型 内容
履行遅滞 履行期に履行しない
履行不能 履行ができなくなった

損害賠償

  • 要件: 債務不履行 + 債務者の帰責事由(契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断)
  • 損害賠償の範囲: 通常生ずべき損害 + 予見すべき特別損害(416条)
  • 過失相殺: 裁判所は必ず考慮しなければならない(418条)
  • 金銭債務の特則: 不可抗力を抗弁にできない。損害の証明不要。法定利率(年3%)

契約の解除 ★★

  • 催告解除: 相当の期間を定めて催告 → 期間内に履行なし → 解除(541条)
  • ただし、不履行が軽微なときは解除不可
  • 無催告解除: 履行不能、明確な履行拒絶、定期行為の履行遅滞等(542条)
  • 解除の効果: 原状回復義務。第三者の権利を害さない
  • 解除に帰責事由は不要(2020年改正の重要ポイント)
  • 債権者に帰責事由がある場合は解除不可

2. 危険負担(536条)

  • 当事者双方の帰責事由によらず債務が履行不能 → 債権者は反対給付の履行を拒絶できる
  • 2020年改正: 債務者主義に統一(旧534条の債権者主義は廃止)
  • 特定物の引渡債務も同様

3. 売買 ★★

契約不適合責任(562条〜572条)★★★

2020年改正で「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変更。

買主の権利
権利 要件
追完請求(562条) 種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合
代金減額請求(563条) 催告して追完なし → 減額請求可能(不能・拒絶等は無催告で可)
損害賠償請求(564条・415条) 債務者の帰責事由が必要
契約解除(564条・541条・542条) 帰責事由不要
期間制限
  • 種類・品質: 不適合を知った時から1年以内にその旨を通知(数量・権利は適用なし)
  • 通知で足り、請求まで必要ない
  • 売主が悪意または重過失のときは期間制限なし

手付(557条)★★

  • 特約がなければ解約手付と推定
  • 買主: 手付を放棄して解除
  • 売主: 手付の倍額を現実に提供して解除
  • 相手方が契約の履行に着手するまでに限る
  • 履行の着手: 客観的に外部から認識できる行為(中間金の支払い、登記申請等)

4. 賃貸借 ★★★

存続期間

  • 最長50年(604条)
  • 最短の制限なし

賃貸人の義務

  • 目的物の使用収益をさせる義務
  • 修繕義務(606条): 賃貸人が修繕義務を負う。賃借人の帰責事由による場合は負わない

賃借人の義務

  • 賃料支払義務
  • 善管注意義務
  • 原状回復義務(621条): 通常損耗・経年変化を除く(2020年改正で明文化)
  • 用法遵守義務

賃借権の譲渡・転貸(612条)★★

  • 賃貸人の承諾が必要
  • 無断譲渡・転貸 → 賃貸人は解除可能
  • ただし、背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合は解除不可(判例)

賃貸人の地位の移転

  • 不動産が譲渡された場合、賃貸人の地位は当然に新所有者に移転(605条の2)
  • 対抗要件を備えた賃借人がいる場合(登記 or 引渡し)
  • 敷金返還義務も新所有者に承継

敷金(622条の2)

  • 賃貸借が終了し、かつ目的物が返還された時に返還義務が生じる
  • 賃料不払いに充当可能(賃貸人からのみ。賃借人からの充当請求は不可)

5. 連帯債務 ★★

基本

  • 各連帯債務者は全額について履行義務を負う
  • 債権者はどの連帯債務者に対しても全額請求可能

絶対的効力事由(他の連帯債務者にも効力が及ぶ)

事由 内容
更改 債務者の一人と更改 → 債権消滅
相殺 債務者の一人が相殺 → 全員の利益
混同 弁済したものとみなす
  • 2020年改正で請求・免除・時効は相対的効力に変更(原則。特約で絶対的効力にすることは可能)

求償

  • 弁済した連帯債務者は、他の連帯債務者に対して各自の負担部分について求償可能

6. 保証 ★★

保証債務の性質

  • 付従性: 主たる債務がなければ保証債務もない
  • 随伴性: 主たる債務が移転すれば保証債務も移転
  • 補充性: 催告の抗弁権・検索の抗弁権(連帯保証にはない)

連帯保証 ★★

  • 催告の抗弁権なし(452条の適用なし)
  • 検索の抗弁権なし(453条の適用なし)
  • 連帯保証人に対する請求は、主たる債務者に対して効力を生じない(2020年改正)

個人根保証契約(465条の2〜)

  • 極度額の定めが必要(定めのない個人根保証契約は無効)
  • 元本確定事由: 強制執行・破産手続開始決定・死亡

保証人保護の規定

  • 事業用融資の個人保証: 公正証書による保証意思の確認が必要(465条の6)
  • 主たる債務者の経営者等は例外
  • 情報提供義務: 主たる債務者は、保証人に財産・収支状況等を情報提供する義務(465条の10)

7. 相殺 ★

  • 要件: 双方の債務が弁済期にあること(自働債権は弁済期到来必要、受働債権は期限の利益放棄可能)
  • 禁止: 不法行為による損害賠償債務を受働債権とする相殺は不可(悪意の不法行為・生命身体侵害)
  • 時効消滅した債権でも、消滅前に相殺適状にあれば相殺可能

8. 債権譲渡

  • 原則自由に譲渡可能
  • 譲渡制限特約: 特約があっても譲渡は有効(2020年改正)。ただし悪意・重過失の譲受人に対しては債務者は履行拒絶可能
  • 対抗要件: 債務者への通知 or 債務者の承諾(確定日付のある証書で第三者対抗要件)

9. 不法行為 ★

一般不法行為(709条)

  • 要件: ①故意又は過失 ②権利侵害 ③損害の発生 ④因果関係
  • 立証責任は被害者側

使用者責任(715条)

  • 被用者が事業の執行について第三者に損害 → 使用者も責任
  • 使用者は選任・監督に相当の注意をしたことを証明すれば免責(実質的に無過失責任に近い)
  • 使用者から被用者への求償可能(信義則上の制限あり)

工作物責任(717条)

  • 土地の工作物の設置・保存の瑕疵による損害
  • 占有者: 過失責任(注意を怠らなかったことを証明すれば免責)
  • 所有者: 無過失責任(占有者が免責された場合)

共同不法行為(719条)

  • 各自が連帯して損害賠償責任を負う

損害賠償請求権の消滅時効

起算点 期間
損害及び加害者を知った時 3年(生命・身体は5年)
不法行為の時 20年

民法親族・相続

相続分・遺言・遺留分は頻出。配偶者居住権は近年の改正論点。

1. 相続 ★★★

相続人と法定相続分

順位 相続人 配偶者との相続分
常に 配偶者
第1順位 子(代襲: 孫→ひ孫…) 配偶者1/2、子1/2
第2順位 直系尊属(父母→祖父母) 配偶者2/3、直系尊属1/3
第3順位 兄弟姉妹(代襲: 甥姪まで) 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

重要ポイント

  • 代襲相続: 相続人が相続開始前に死亡・欠格・廃除の場合(放棄は代襲原因にならない)
  • 子の代襲: 再代襲あり(孫→ひ孫→…)
  • 兄弟姉妹の代襲: 甥姪まで(再代襲なし)
  • 嫡出子と非嫡出子: 相続分は同等(2013年改正)
  • 半血兄弟姉妹: 全血の1/2
  • 胎児: 相続については既に生まれたものとみなす(死産の場合は適用なし)

相続の承認・放棄 ★★

種類 内容 期間
単純承認 権利義務を無限に承継
限定承認 プラス財産の範囲で債務を承継 3ヶ月以内(相続人全員で)
相続放棄 初めから相続人とならない 3ヶ月以内(各自単独で)
  • 熟慮期間: 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月
  • 法定単純承認: 相続財産の処分、熟慮期間の経過、財産の隠匿・消費
  • 相続放棄の効果: 遡及的に相続人とならなかったものとみなす
  • 相続放棄をしても代襲相続は発生しない

遺産分割 ★

  • 共同相続人の協議で分割。協議が整わないときは家庭裁判所に請求
  • 遺産分割の禁止: 被相続人は遺言で5年以内の分割禁止可能
  • 遺産分割の効果: 相続開始時に遡及(ただし第三者の権利を害さない)
  • 法定相続分を超える部分: 登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗不可(899条の2)

特別受益と寄与分

  • 特別受益: 共同相続人が被相続人から遺贈・生前贈与を受けた場合 → 持戻し
  • 寄与分: 被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした相続人 → 寄与分を加算
  • 特別寄与料: 相続人以外の親族(例: 長男の妻)が特別の寄与 → 相続人に金銭請求可能

2. 遺言 ★★

遺言の方式

方式 要件
自筆証書遺言 遺言者が全文・日付・氏名を自書+押印(財産目録はPC作成可)
公正証書遺言 証人2人以上の立会い + 公証人に口授 + 公証人が筆記
秘密証書遺言 遺言者が署名押印 + 封入封印 + 公証人・証人2人に提出

証人・立会人になれない者

  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者及びその配偶者・直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族等

遺言の撤回

  • 遺言者はいつでも遺言の全部又は一部を撤回できる
  • 前の遺言と後の遺言が抵触 → 後の遺言で撤回したものとみなす
  • 遺言と抵触する生前処分 → 撤回したものとみなす
  • 撤回権の放棄は不可

自筆証書遺言書保管制度

  • 法務局(遺言書保管所)に保管を申請できる
  • 家庭裁判所の検認が不要になる

3. 遺留分 ★★

遺留分の割合

相続人 遺留分の割合
配偶者のみ 1/2
子のみ 1/2
配偶者+子 1/2
配偶者+直系尊属 1/2
直系尊属のみ 1/3
兄弟姉妹 遺留分なし
  • 各人の遺留分 = 総体的遺留分 × 法定相続分

遺留分侵害額請求権(1046条)★★

  • 2019年改正: 金銭請求に一本化(従来の遺留分減殺請求のような物権的効力はない)
  • 期間制限:
  • 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年(消滅時効)
  • 相続開始の時から10年(除斥期間)

4. 配偶者居住権(2020年施行)★

配偶者居住権(1028条)

  • 要件: 被相続人の配偶者が、相続開始時に被相続人の建物に居住していたこと
  • 設定方法: 遺産分割、遺贈、死因贈与、家庭裁判所の審判
  • 存続期間: 配偶者の終身(別段の定めも可能)
  • 譲渡不可
  • 登記: 居住建物の所有者は、配偶者居住権の設定登記を備えさせる義務がある

配偶者短期居住権(1037条)

  • 相続開始時に無償で居住していた配偶者に認められる
  • 遺産分割確定日 or 相続開始から6ヶ月のいずれか遅い日まで
  • 登記不要

借地借家法

毎年1問出題。借地権・借家権の存続期間と更新、対抗要件の違いが頻出。

1. 借地権 ★★★

存続期間

種類 当初 1回目更新 2回目以降更新
普通借地権 30年以上 20年以上 10年以上
  • 当事者が期間を定めなかったとき → 30年
  • 30年より短い期間を定めた場合 → 30年

更新 ★★

  • 合意更新: 当事者の合意で更新
  • 請求による更新: 借地権者が更新を請求した場合、建物がある限り従前の契約と同一条件で更新(借地権設定者が正当事由で遅滞なく異議を述べた場合を除く)
  • 法定更新(使用継続による更新): 借地権者が期間満了後も土地の使用を継続 + 建物あり → 従前と同一条件で更新(借地権設定者が正当事由で遅滞なく異議を述べた場合を除く)
  • 正当事由: 双方の土地利用の必要性、借地の経過、利用状況、立退料の申出等を考慮

対抗要件 ★★

  • 原則: 借地権の登記
  • 特例: 借地上に借地権者名義の登記された建物があればよい(借地借家法10条)
  • 建物が滅失した場合: 建物を特定する事項等を土地上に掲示すれば、滅失日から2年間は対抗力を維持

建物の再築

  • 借地権設定者の承諾を得て残存期間を超えて存続すべき建物を築造 → 承諾日 or 築造日のいずれか早い日から20年に延長
  • 借地権設定者が承諾しない場合: 裁判所に借地権設定者の承諾に代わる許可を求めることができる

借地権の譲渡・転貸

  • 原則: 借地権設定者の承諾が必要
  • 承諾しない場合: 裁判所に許可を求めることができる(借地権設定者に先買権あり)
  • 建物買取請求権: 借地権の存続期間満了時、借地権者は借地権設定者に建物の買取りを請求できる

2. 定期借地権 ★★

種類 存続期間 方式 特徴
一般定期借地権 50年以上 書面(公正証書でなくてもよい) 更新なし・建物買取請求権なし
事業用定期借地権 10年以上50年未満 公正証書 専ら事業用。居住用不可
建物譲渡特約付借地権 30年以上 特約方式は制限なし 30年以上経過後に建物を相当の対価で譲渡する特約

3. 借家権 ★★★

存続期間

  • 1年以上(上限なし)
  • 1年未満の期間を定めた場合 → 期間の定めのない賃貸借とみなす

更新 ★★

  • 期間の定めのある場合: 期間満了の1年前から6ヶ月前までに更新しない旨の通知をしなければ従前と同一条件で更新(法定更新)
  • 正当事由が必要
  • 法定更新後: 期間の定めのない賃貸借になる
  • 期間の定めのない場合: 解約の申入れから6ヶ月経過で終了(正当事由が必要)

対抗要件 ★★

  • 建物の引渡しを受けていれば第三者に対抗可能(借地借家法31条)
  • 登記がなくても引渡しで足りる

造作買取請求権

  • 賃貸人の同意を得て付加した造作 → 賃貸借終了時に時価で買取請求可能
  • 特約で排除可能(強行規定ではない)

転貸の場合

  • 賃貸人が転借人に対し建物の返還を請求した時 → 転貸借は6ヶ月後に終了

4. 定期建物賃貸借(定期借家)★★

項目 内容
方式 書面(公正証書等) + 事前説明書面の交付
期間 制限なし(1年未満も可能)
更新 なし(再契約は可能)
中途解約 原則不可。ただし居住用で床面積200㎡未満 + やむを得ない事情 → 1ヶ月前に申入れ可能
終了通知 期間1年以上の場合、期間満了の1年前から6ヶ月前までに通知が必要
  • 事前説明書面を交付しなかった場合 → 「更新がない」旨の定めは無効(普通借家になる)

5. 借地借家法の強行規定 ★

借地

  • 借地権者に不利な特約は無効(9条、16条、21条等)
  • 例: 存続期間を30年未満とする特約、更新を認めない特約(定期借地権を除く)

借家

  • 建物の賃借人に不利な特約は無効(30条、37条等)
  • 例: 造作買取請求権の排除は有効(任意規定)

6. 比較まとめ

項目 借地権 借家権
最短期間 30年 1年(1年未満は期間の定めなし)
対抗要件 借地上の登記建物 建物の引渡し
正当事由 必要 必要
定期の方式 類型による 書面+事前説明書面

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)

毎年1問出題。集会の決議要件(普通決議・特別決議・建替え決議)が最頻出。

1. 区分所有建物の基本 ★

専有部分と共用部分

種類 内容
専有部分 区分所有権の目的となる建物の部分 各住戸
法定共用部分 構造上共用に供される部分 廊下、階段、エレベーター
規約共用部分 規約で共用部分とされた部分 集会室、管理人室
  • 共用部分の持分割合: 専有部分の床面積の割合による(規約で別段の定め可能)
  • 共用部分の持分は専有部分の処分に従う(分離処分の禁止)

敷地利用権

  • 専有部分と敷地利用権は分離処分できない(規約で別段の定め可能)

2. 管理組合と管理者 ★

管理組合

  • 区分所有者は当然に管理組合の構成員(全員で構成)
  • 区分所有者が2人以上になれば当然に成立

管理者

  • 集会の決議で選任・解任(普通決議
  • 管理者は区分所有者以外からも選任可能
  • 管理者の権限: 共用部分の保存行為、集会の決議の実行、規約で定めた行為
  • 管理者は少なくとも毎年1回集会を招集しなければならない

3. 集会 ★★★

招集

  • 管理者が少なくとも毎年1回招集
  • 区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を有する者は、管理者に集会の招集を請求できる(規約で減ずること可能)
  • 招集通知: 会日より少なくとも1週間前に発する(規約で伸縮可能。建替え決議は2ヶ月前)

決議要件 ★★★

事項 要件
普通決議 区分所有者及び議決権の各過半数
特別決議 区分所有者及び議決権の各3/4以上
建替え決議 区分所有者及び議決権の各4/5以上

普通決議事項

  • 共用部分の管理(保存行為は各自単独で可能)
  • 管理者の選任・解任
  • 共用部分の軽微変更

特別決議事項(3/4以上)

  • 規約の設定・変更・廃止
  • 共用部分の重大変更(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)
  • 大規模滅失(建物の価格の1/2超)の復旧
  • 義務違反者に対する専有部分の使用禁止・競売請求
  • 管理組合法人の設立・解散

建替え決議(4/5以上)

  • 招集通知は会日の2ヶ月前までに発する
  • 通知に加え、建替えに関する説明会を1ヶ月前までに開催
  • 建替えに参加しない者に対して区分所有権の売渡請求が可能

小規模滅失の復旧

  • 建物の価格の1/2以下の滅失 → 各区分所有者が単独で復旧可能
  • 集会の決議でも可能(普通決議)

4. 規約 ★★

  • 設定・変更・廃止: 特別決議(3/4以上)
  • 一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすとき → その者の承諾が必要
  • 最初に建物の専有部分の全部を所有する者(分譲業者等)は、公正証書により単独で規約を設定できる
  • 規約の保管: 管理者(管理者がないときは規約で定める者)が保管
  • 利害関係人の閲覧請求: 正当な理由がある場合を除き拒否不可

5. 義務違反者への措置 ★

措置 決議要件 訴訟の要否
行為の停止等の請求 普通決議 or 訴訟外でも可 訴訟外も可能
使用禁止の請求 特別決議(3/4以上) 訴訟による
競売の請求 特別決議(3/4以上) 訴訟による
占有者への引渡請求 特別決議(3/4以上) 訴訟による

6. 復旧と建替えのまとめ

事由 要件
小規模滅失(1/2以下) 各自単独 or 普通決議
大規模滅失(1/2超) 特別決議(3/4以上)
建替え 4/5以上

不動産登記法

毎年1問出題。登記の申請手続き、仮登記、登記できる権利の知識が問われる。

1. 不動産登記制度の基本 ★

登記の目的

  • 不動産の物理的状況(表示に関する登記)と権利関係(権利に関する登記)を公示する
  • 取引の安全と円滑に資する

登記の種類

種類 内容 登記官の職権
表示に関する登記 土地・建物の物理的状況(所在、地番、面積等) 職権可能
権利に関する登記 所有権、抵当権、賃借権等の権利関係 原則として申請による

登記記録の構成

部分 記載事項
表題部 不動産の物理的現況(所在、地番、地目、地積、家屋番号、種類、構造、床面積等)
権利部(甲区) 所有権に関する事項(所有権保存登記、所有権移転登記等)
権利部(乙区) 所有権以外の権利に関する事項(抵当権、地上権、賃借権等)

2. 登記の申請 ★★

共同申請の原則

  • 権利に関する登記は、登記権利者登記義務者共同で申請(60条)
  • 登記権利者: 登記によって利益を受ける者
  • 登記義務者: 登記によって不利益を受ける者

単独申請が認められる場合 ★★

場合 申請者
所有権保存登記 表題部所有者又はその相続人
相続による登記 相続人
登記名義人の氏名・住所変更 登記名義人
仮登記(仮登記義務者の承諾あり or 仮登記を命ずる処分あり) 仮登記権利者
判決による登記 勝訴した登記権利者
仮登記の抹消 仮登記名義人

登記識別情報

  • 12桁の英数字の組み合わせ
  • 登記名義人となった者に通知される
  • 登記済証(権利証)に代わるもの
  • 登記識別情報を提供できない場合: 事前通知制度 or 資格者代理人による本人確認

登記の申請方法

  • 書面申請(窓口 or 郵送)
  • オンライン申請

3. 所有権に関する登記 ★★

所有権保存登記

  • 表題部所有者又はその相続人が単独で申請
  • 確定判決を得た者も申請可能
  • 収用によって所有権を取得した者も申請可能

所有権移転登記

  • 売買、贈与、相続等の原因で申請
  • 相続登記の義務化(2024年4月施行): 相続を知った日から3年以内に申請義務

買戻しの特約の登記

  • 売買と同時に登記しなければ第三者に対抗不可

4. 登記できる権利 ★

  • 所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、配偶者居住権、採石権

登記できないもの

  • 占有権
  • 留置権
  • 入会権

5. 仮登記 ★★

仮登記の種類

種類 場合
1号仮登記 物権変動は生じているが、手続上の条件が備わっていない場合
2号仮登記 請求権を保全するための仮登記(売買予約等)

仮登記の特徴

  • 仮登記には対抗力がない(順位保全効のみ)
  • 仮登記に基づく本登記をしたとき → 仮登記の順位で本登記の効力を生ずる
  • 仮登記の申請: 仮登記権利者が単独で申請可能(仮登記義務者の承諾書 or 裁判所の仮登記を命ずる処分が必要)
  • 仮登記の抹消: 仮登記名義人が単独で申請可能。利害関係人も仮登記名義人の承諾があれば単独申請可能

仮登記担保

  • 金銭債務の不履行を条件として所有権移転の仮登記 → 仮登記担保法の適用

6. 区分建物の登記

  • 区分建物の表題登記: 原始取得者(建築した者)が申請
  • 区分建物が属する一棟の建物の表題登記: 一棟の建物に属する他の区分建物と一括して申請

7. 登記の効力

対抗力

  • 登記をすれば第三者に対抗できる
  • 登記には公信力がない(登記を信頼して取引しても保護されない場合がある)

登記請求権

  • 物権変動があった場合、登記権利者は登記義務者に対し登記手続を請求できる

8. 筆界特定制度

  • 筆界(公法上の境界)が明らかでない場合に、筆界特定登記官が筆界の現地における位置を特定する制度
  • 所有権の範囲を確定するものではない

🏢 宅建業法

宅建業法① 総則・免許

宅建業法は全20問(問26〜45)。最も配点が大きく、18問以上正解を目指す科目。

1. 宅地建物取引業の定義 ★★★

「宅地」の定義

区分 内容
① 建物の敷地に供される土地 現に建物が建っている土地(地目不問)
② 用途地域内の土地 都市計画法の用途地域内の土地(道路・公園・河川・広場・水路を除く)
③ 将来建物の敷地に供する目的で取引される土地 登記上の地目不問

「取引」の定義

行為 自ら 代理 媒介
売買
交換
貸借 ×
  • 自ら貸借は宅建業に該当しない(最頻出ポイント)

「業」の要件

  • 不特定多数の者を相手方として
  • 反復継続して行う
  • 1回の取引でも反復継続の意思があれば該当

宅建業に該当しない行為

  • 自ら賃貸(自ら貸主)
  • 国・地方公共団体の行為
  • 信託会社・信託銀行が行う一定の行為

2. 免許制度 ★★★

免許の区分

区分 事務所の設置 免許権者
国土交通大臣免許 2以上の都道府県に事務所 国土交通大臣
都道府県知事免許 1つの都道府県のみに事務所 都道府県知事
  • 案内所の設置だけでは免許の区分は変わらない
  • 免許換え: 事務所の設置状況が変わった場合

免許の有効期間と更新

  • 有効期間: 5年
  • 更新: 期間満了の90日前から30日前までに申請
  • 更新申請をしている場合: 従前の免許は有効期間満了後も処分があるまで有効

免許の効力

  • 免許を受ければ全国どこでも業務可能(免許の区分は事務所の設置場所による区別にすぎない)

3. 欠格事由 ★★★

免許を受けられない者

欠格事由 期間
成年被後見人・被保佐人(一律排除は廃止。個別審査)
破産者で復権を得ない者 復権まで
拘禁刑以上の刑に処せられた者 刑の執行終了等から5年
宅建業法違反、暴力的犯罪、背任罪で罰金刑 刑の執行終了等から5年
免許取消処分を受けた者 取消しの日から5年
免許取消処分の聴聞公示日前60日以内に役員であった者 取消しの日から5年
免許取消処分の聴聞公示後、処分前に解散・廃業の届出 届出の日から5年
暴力団員 or 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者 5年
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で法定代理人が欠格

※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。宅建業法の条文上も「禁錮以上の刑」は「拘禁刑以上の刑」に改められています。

法人の欠格事由

  • 役員(非常勤含む)に欠格事由のある者がいる場合 → 法人は免許を受けられない
  • 政令で定める使用人に欠格事由のある者がいる場合 → 同様

4. 事務所 ★★

事務所の要件

要件 内容
専任の宅建士 事務所ごとに業務に従事する者5人に1人以上
成年者である専任の取引士 政令で定める使用人を含む
標識の掲示 事務所ごとに掲示
報酬額の掲示 事務所ごとに掲示
帳簿の備付け 取引の都度記載。閉鎖後5年保存(業者自ら新築住宅の売主は10年)
従業者名簿 最終記載から10年保存
従業者証明書 従業者に携帯させる

案内所等の届出

  • 一団の宅地建物(10区画以上 or 10戸以上)の分譲の案内所等を設置する場合:
  • 免許権者と案内所所在地の知事に届出(業務開始の10日前まで)
  • 契約の締結・申込みの受付を行う案内所: 専任の宅建士1人以上が必要
  • 標識の掲示が必要

5. 営業保証金 ★★

供託

事務所 金額
主たる事務所 1,000万円
従たる事務所 1事務所につき500万円
  • 供託所: 主たる事務所の最寄りの供託所
  • 有価証券による供託も可能(国債: 額面100%、地方債・政府保証債: 額面90%、その他: 額面80%)
  • 供託後、届出 → 届出後でなければ事業を開始できない

還付

  • 宅建業者と宅建業に関する取引をした者(宅建業者を除く)が還付請求可能
  • 還付により不足 → 通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託

保管替え等

  • 主たる事務所を移転した場合:
  • 金銭のみで供託 → 新たな最寄りの供託所への保管替え
  • 有価証券を含む → 新たに供託 + 旧供託の取戻し

6. 保証協会 ★★

弁済業務保証金分担金

事務所 金額
主たる事務所 60万円
従たる事務所 1事務所につき30万円
  • 保証協会に加入しようとする日までに納付
  • 保証協会は納付を受けた日から1週間以内に弁済業務保証金を供託

還付

  • 還付限度額: 営業保証金に相当する額(主1,000万円 + 従500万円ベース)
  • 還付後、保証協会から通知 → 2週間以内に還付充当金を納付
  • 納付しない場合 → 社員の地位を失う → 1週間以内に営業保証金を供託

比較表

項目 営業保証金 弁済業務保証金分担金
主たる事務所 1,000万円 60万円
従たる事務所 500万円 30万円
供託先 最寄りの供託所 保証協会に納付
不足額の補填期限 2週間以内 2週間以内

宅建業法② 業務規制

重要事項説明(35条)と37条書面は毎年複数問出題。最頻出分野。

1. 宅地建物取引士 ★★★

宅建士の登録

  • 試験合格 + 2年以上の実務経験(又は登録実務講習修了)→ 試験を行った知事に登録
  • 登録の移転: 他の都道府県に登記先を移転する場合(任意)
  • 登録の欠格事由は免許の欠格事由と概ね同じ

宅建士証

  • 有効期間: 5年
  • 更新: 交付申請前6ヶ月以内に行われる法定講習を受講
  • 重要事項説明時に提示義務あり
  • 取引の関係者から請求があった場合も提示義務あり

事務禁止処分と登録消除処分

  • 事務禁止処分中: 宅建士証を知事に提出
  • 登録消除: 宅建士証を返納

2. 媒介契約 ★★★

3種類の媒介契約

項目 一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
他の業者への依頼 可能 不可 不可
自己発見取引 可能 可能 不可
有効期間 制限なし 3ヶ月以内 3ヶ月以内
レインズ登録 義務なし 7日以内 5日以内
業務報告 義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上
  • 専任媒介・専属専任媒介の有効期間: 3ヶ月を超える期間を定めた場合 → 3ヶ月に短縮
  • 更新は依頼者の申出がある場合に限る(自動更新は不可)
  • 媒介契約書面の交付: 遅滞なく作成し記名して交付

媒介契約書面の記載事項

  • 宅地建物の表示
  • 売買すべき価額(査定価格)
  • 媒介契約の種類
  • 有効期間
  • 報酬に関する事項
  • レインズ登録に関する事項(専任・専属専任)

3. 重要事項説明(35条書面)★★★

基本ルール

  • 契約成立前に行う
  • 宅建士が記名した書面を交付して説明
  • 宅建士が宅建士証を提示して説明
  • 相手方の承諾を得て電磁的方法も可能

説明すべき相手方

取引態様 説明の相手方
売買・交換 買主・交換の相手方
賃借 借主
  • 売主に対する説明義務はない

共通の記載事項(売買・賃貸共通)★★★

  • 登記された権利の種類・内容・登記名義人
  • 法令に基づく制限の概要
  • 私道に関する負担
  • 飲用水・電気・ガスの供給施設、排水施設の整備状況
  • 工事完了時の形状・構造(未完成物件)
  • 建物状況調査(インスペクション)の実施の有無及び結果の概要
  • 石綿(アスベスト)使用の調査結果
  • 耐震診断の内容
  • 当該建物が住宅性能評価を受けた新築住宅であるときはその旨

売買・交換のみの記載事項

  • 代金以外に授受される金銭の額・目的
  • 契約の解除に関する事項
  • 損害賠償額の予定・違約金に関する事項
  • 手付金等の保全措置の概要
  • 支払金・預り金の保全措置の概要
  • ローンのあっせんの内容・ローン不成立時の措置
  • 契約不適合責任の内容(契約不適合責任の履行に関する措置)
  • 割賦販売の場合: 現金販売価格、割賦販売価格、引渡時期等

賃貸のみの記載事項

  • 台所、浴室、便所等の整備状況
  • 契約期間・契約の更新に関する事項
  • 定期建物賃貸借・定期借地権の場合はその旨
  • 用途その他の利用の制限に関する事項
  • 敷金その他の金銭に関する事項
  • 管理の委託先

区分所有建物(マンション)の追加事項

  • 専有部分の用途制限に関する規約の定め
  • 敷地に関する権利の種類・内容
  • 共用部分に関する規約の定め
  • 修繕積立金・管理費の額
  • 滞納額
  • 修繕の実施状況の記録
  • 管理の委託先

4. 37条書面 ★★★

基本ルール

  • 契約成立後、遅滞なく交付
  • 宅建士が記名した書面を交付
  • 説明義務はない(交付のみ)
  • 相手方の承諾を得て電磁的方法も可能

交付の相手方

  • 契約の両当事者(売主・買主双方、貸主・借主双方)

必要的記載事項(必ず記載)

  • 当事者の氏名・住所
  • 宅地建物の表示
  • 代金・交換差金・借賃の額、支払時期・方法
  • 宅地建物の引渡時期
  • 移転登記の申請時期(売買・交換のみ)

任意的記載事項(定めがある場合のみ記載)

  • 代金以外の金銭の額・授受の時期・目的
  • 契約の解除に関する事項
  • 損害賠償額の予定・違約金に関する事項
  • 天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)
  • 契約不適合責任の内容
  • 租税公課の負担に関する事項
  • ローンのあっせんに関する事項

35条書面と37条書面の比較

項目 35条書面 37条書面
時期 契約成立 契約成立
宅建士の関与 記名+説明 記名のみ
交付先 買主・借主 両当事者
宅建士証の提示 必要 不要

5. 業務上の規制 ★★

誇大広告等の禁止(32条)

  • 著しく事実に相違する表示、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示は禁止
  • 未完成物件: 開発許可・建築確認前は広告不可

取引態様の明示(34条)

  • 広告時と注文を受けた時に取引態様(自ら売買、代理、媒介)を明示

守秘義務(45条)

  • 正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らしてはならない
  • 宅建業を営まなくなった後も同様

不当な履行遅延の禁止(44条)

  • 登記、引渡し、代金の支払いを不当に遅延する行為は禁止

クーリング・オフ(37条の2)★★★

  • 適用: 宅建業者が自ら売主となる売買(買主が宅建業者でない場合)
  • 対象外の場所: 事務所、専任の宅建士設置義務のある案内所、買主の申出による自宅・勤務先
  • 方法: 書面で行う(電磁的方法も可)
  • 期間: 書面で告げられた日から起算して8日間
  • 告げていない場合 → いつでもクーリング・オフ可能
  • 引渡し+代金全額支払い後はクーリング・オフ不可
  • クーリング・オフの効果: 業者は速やかに手付金等を返還

6. 宅建士が行う事務のまとめ

事務 内容
重要事項の説明 宅建士が説明
35条書面への記名 宅建士が記名
37条書面への記名 宅建士が記名

宅建業法③ 報酬・監督・8種制限

8種制限と報酬計算は毎年出題。数字の暗記が合否を分ける。

1. 8種制限(自ら売主制限)★★★

宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者でない場合に適用される8つの制限。

① クーリング・オフ(37条の2)

→ 前章参照

② 損害賠償額の予定等の制限(38条)

  • 損害賠償額の予定+違約金の合計が代金の20%を超えてはならない
  • 超える部分は無効

③ 手付の額等の制限(39条)★★

  • 手付の額は代金の20%以下
  • 受領した手付は解約手付とみなす(証約手付・違約手付としての特約は無効)
  • 買主に不利な特約は無効

④ 手付金等の保全措置(41条・41条の2)★★★

未完成物件:

保全方法 保証 or 保険
保全が必要な場合 代金の5%超又は1,000万円超
保全方法 銀行等の保証 or 保険事業者の保証保険

完成物件:

保全方法 保証 or 保険 or 供託
保全が必要な場合 代金の10%超又は1,000万円超
保全方法 銀行等の保証 or 保険事業者の保証保険 or 指定保管機関の保管
  • 保全措置を講じなければ手付金等を受領できない
  • 買主への所有権移転登記がされた場合は保全措置不要

⑤ 自己の所有に属しない物件の売買契約の制限(33条の2)

  • 他人物売買: 原則として契約不可
  • 例外: 取得する契約(予約含む)がある場合は可
  • 未完成物件: 手付金等の保全措置を講じた場合は可

⑥ 契約不適合責任の特約の制限(40条)★★

  • 引渡しから2年以上とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効
  • 無効の場合 → 民法の規定が適用(知った時から1年以内の通知)

⑦ 割賦販売契約の解除等の制限(42条)

  • 30日以上の期間を定めて催告し、期間内に支払いがない場合でなければ解除不可

⑧ 所有権留保等の禁止(43条)

  • 代金の30%超を受領後は所有権を移転しなければならない(原則)

2. 報酬 ★★★

売買・交換の媒介報酬(税抜き)

取引価格 報酬限度額
200万円以下 取引価格 × 5%
200万円超〜400万円以下 取引価格 × 4% + 2万円
400万円超 取引価格 × 3% + 6万円
  • 上記は片方から受領できる限度額
  • 売主・買主双方から受領する場合は各々について上記が上限

売買の代理報酬

  • 媒介報酬の2倍まで(依頼者の一方から)
  • ただし売主・買主双方から受領する場合の合計は媒介報酬の2倍以内

低廉な空家等の特例(2018年〜)

  • 売買価格が800万円以下の宅地建物
  • 売主からの報酬上限: 30万円(税抜き)
  • 媒介・代理いずれも適用

賃貸の媒介報酬

  • 貸主・借主双方から受領する合計が賃料の1ヶ月分以内(税抜き)
  • 居住用建物: 依頼者の一方から受領できるのは賃料の0.5ヶ月分以内(承諾があれば1ヶ月分まで可)
  • 居住用以外: 制限なし(合計1ヶ月分以内であればよい)

消費税

  • 報酬額に消費税を加算して請求可能
  • 土地は非課税、建物は課税

報酬以外に受領できるもの

  • 依頼者の特別の依頼による広告料金(通常の広告費は請求不可)
  • 依頼者の特別の依頼による遠隔地への出張旅費

3. 監督処分 ★★

処分権者

処分 処分権者
指示処分 免許権者 + 業務地の知事
業務停止処分 免許権者 + 業務地の知事
免許取消処分 免許権者のみ

必要的免許取消事由(取り消さなければならない)

  • 欠格事由に該当した場合
  • 不正の手段により免許を受けた場合
  • 業務停止処分事由に該当し、情状が特に重い場合
  • 業務停止処分に違反した場合

聴聞

  • 免許取消処分をしようとする場合: 公開の聴聞を行う
  • 業務停止処分: 聴聞(公開不要)

4. 住宅瑕疵担保履行法 ★★

資力確保措置

  • 新築住宅の売主である宅建業者に義務付け
  • 買主が宅建業者の場合は不要

措置の方法

方法 内容
保証金の供託 基準日前10年間の引渡し戸数に応じた額を供託
保険への加入 住宅瑕疵担保責任保険に加入
  • 基準日: 毎年3月31日
  • 基準日から3週間以内に届出
  • 届出をしない場合: 基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新たな売買契約を締結してはならない

保険の対象

  • 構造耐力上主要な部分雨水の浸入を防止する部分
  • 期間: 引渡しから10年間

5. その他の重要ルール

従業者証明書

  • 従業者に携帯させなければならない
  • 取引の関係者から請求があったときは提示義務
  • 宅建士証とは別のもの

帳簿・従業者名簿

帳簿 保存期間
帳簿 事業年度末に閉鎖し5年間保存(自ら新築住宅の売主は10年
従業者名簿 最終記載から10年間保存

標識

  • すべての事務所・案内所に掲示
  • 他の業者が売主の場合: 代理・媒介業者の標識には売主の商号等を記載

📐 法令上の制限

都市計画法

法令上の制限から毎年2問出題。開発許可制度が最頻出。

1. 都市計画区域 ★★

区域の構造

都市計画区域
├── 市街化区域(すでに市街地 or 概ね10年以内に市街化を図る区域)
├── 市街化調整区域(市街化を抑制すべき区域)
└── 非線引き区域(区域区分を定めない区域)

準都市計画区域(都市計画区域外で一定の区域)

都市計画区域外

市街化区域と市街化調整区域

区分 特徴
市街化区域 用途地域を必ず定める
市街化調整区域 用途地域を原則として定めない
非線引き区域 用途地域を定めることができる

2. 用途地域 ★★

13種類の用途地域

用途地域 主な用途
第一種低層住居専用地域 低層住宅(10m or 12m高さ制限)
第二種低層住居専用地域 低層住宅+小規模店舗(150㎡以下)
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅+一定の店舗等(500㎡以下)
第二種中高層住居専用地域 中高層住宅+店舗等(1,500㎡以下)
第一種住居地域 住居+店舗等(3,000㎡以下)
第二種住居地域 住居+大規模店舗等可
準住居地域 道路の沿道+住居の調和
田園住居地域 農業+低層住居の調和
近隣商業地域 近隣住民のための店舗等
商業地域 商業の利便
準工業地域 環境悪化のおそれのない工業
工業地域 工業の利便
工業専用地域 工業の利便(住宅建築不可
  • 住宅が建てられない: 工業専用地域のみ
  • すべての用途地域で建てられる: 診療所、保育所、老人ホーム等

3. 開発許可制度 ★★★

開発行為の定義

  • 建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更

許可が必要な面積

区域 面積要件
市街化区域 1,000㎡以上
市街化調整区域 面積に関わらずすべて
非線引き区域 3,000㎡以上
準都市計画区域 3,000㎡以上
都市計画区域外 10,000㎡(1ha)以上

許可不要の開発行為 ★★

許可不要 内容
公益上必要な建築物 駅舎、図書館、公民館、変電所等
都市計画事業の施行 都市計画事業として行う場合
農林漁業用建築物 市街化区域以外で農林漁業用の建築物・従事者の住宅
非常災害のための応急措置
通常の管理行為等 仮設建築物の建築等

※ 農林漁業の例外は市街化区域には適用されない(重要)

開発許可の手続き

  1. 開発許可の申請
  2. 都道府県知事の許可
  3. 工事完了 → 知事に届出
  4. 知事の検査 → 検査済証の交付
  5. 知事が工事完了の公告

開発許可後の制限

時期 制限内容
工事完了公告前 原則として建築物の建築不可(工事用仮設建築物等は例外)
工事完了公告後 予定建築物以外は建築不可(知事の許可があれば可)

市街化調整区域の建築制限(43条)

  • 開発許可を受けた区域以外で建築物の建築等をする場合 → 知事の許可が必要

4. 都市計画の決定手続き

決定権者

都市計画 決定権者
都市計画区域の指定 都道府県
区域区分 都道府県
用途地域 市町村
地区計画 市町村

手続きの流れ

  1. 公聴会等による住民の意見聴取
  2. 都市計画審議会の議を経る
  3. 都市計画の告示
  4. 告示の日から効力を生ずる

5. 都市計画制限

都市計画施設の区域内(53条)

  • 建築物の建築 → 知事の許可が必要
  • 許可基準: 階数が2以下かつ地階を有しない、主要構造部が木造・鉄骨造等

市街地開発事業等予定区域内(52条の2)

  • 建築物の建築・土地の形質変更 → 知事の許可が必要

6. 地区計画

  • 市町村が定める
  • 地区計画の区域内で土地の区画形質の変更、建築物の建築等 → 市町村長に届出(行為着手の30日前まで)

建築基準法

毎年2問出題。建蔽率・容積率の計算、用途制限、単体規定・集団規定が頻出。

1. 建築確認 ★★

建築確認が必要な建築物(2025年4月1日施行の改正法ベース)

区分 対象 新築 増改築・移転 大規模修繕・模様替 用途変更
新1号建築物 200㎡超の特殊建築物(劇場、病院、学校、百貨店、共同住宅等)
新2号建築物 1号以外で、2階以上又は延べ面積200㎡超の建築物
新3号建築物 1号・2号以外で、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区等内の建築物
  • 防火・準防火地域内: 増築・改築・移転は面積にかかわらず建築確認必要

2025年4月1日施行の改正建築基準法により、建築確認の対象区分が再編されました。旧法の「木造大規模(高さ13m超 or 軒高9m超)」「非木造大規模(2階以上 or 200㎡超)」の区分は廃止され、構造種別を問わず新2号建築物(2階以上 又は 200㎡超)に統合されました。

また、旧「4号建築物」(都市計画区域等内の小規模木造住宅)に対する 建築確認の特例審査省略(旧4号特例)も縮小・廃止 され、多くの小規模住宅でも構造関係規定の審査が必要になりました。あわせて建築物省エネ法の改正により、原則として全ての新築建築物で 省エネ基準適合義務化 されています。

建築確認の手続き

  1. 建築主が建築主事又は指定確認検査機関に確認申請
  2. 確認済証の交付(期間: 大規模35日以内、それ以外7日以内)
  3. 工事着工
  4. 中間検査(特定工程)
  5. 工事完了 → 完了検査申請(工事完了日から4日以内
  6. 検査済証の交付

2. 単体規定(全国適用)★

主な単体規定

規定 内容
構造耐力 自重、積載荷重、積雪荷重等に対して安全な構造
防火壁 延べ面積1,000㎡超の建築物は防火壁で区画(耐火・準耐火建築物を除く)
居室の採光 住宅の居室: 床面積の1/7以上
居室の換気 床面積の1/20以上
石綿(アスベスト) 建築材料への使用禁止
シックハウス クロルピリホス使用禁止、ホルムアルデヒド制限

階段

  • 共同住宅の共用階段: 幅120cm以上

3. 集団規定(都市計画区域・準都市計画区域内で適用)★★★

道路と接道義務 ★★

  • 道路: 幅員4m以上(特定行政庁指定区域では6m以上)
  • 接道義務: 建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならない
  • 2項道路(みなし道路): 幅員4m未満でも建築基準法施行時に建築物が立ち並んでいた道 → 道路とみなす
  • 道路の中心線から2m後退した線が道路の境界とみなされる(セットバック)
  • セットバック部分は建蔽率・容積率の敷地面積に算入しない

用途制限

  • 各用途地域で建築できる建物・できない建物が定められている
  • 工業専用地域: 住宅、店舗、学校、病院、ホテル等は建築不可
  • すべての用途地域で建築可能: 診療所(病院ではない)、保育所、老人ホーム、公衆浴場等

建蔽率 ★★★

  • 建蔽率 = 建築面積 ÷ 敷地面積
建蔽率の緩和
条件 緩和
防火地域内の耐火建築物等 +10%
特定行政庁指定の角地 +10%
上記両方に該当 +20%
建蔽率制限がない(100%)場合
  • 防火地域内の耐火建築物等で、指定建蔽率が80%の場合 → 制限なし
  • 巡査派出所、公衆便所等

容積率 ★★★

  • 容積率 = 延べ面積 ÷ 敷地面積
前面道路による制限
  • 前面道路の幅員が12m未満の場合:
  • 住居系: 幅員 × 4/10
  • その他: 幅員 × 6/10
  • 指定容積率と比較して小さい方が適用
容積率の緩和
  • 共同住宅の共用廊下・階段・エレベーター部分 → 延べ面積に算入しない
  • 地下室: 住宅の用途に供する部分は、建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の1/3を限度に算入しない

高さ制限 ★

制限 適用地域
絶対高さ制限(10m or 12m) 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域
道路斜線制限 すべての用途地域
隣地斜線制限 低層住居専用地域・田園住居地域以外
北側斜線制限 低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域
日影規制 商業地域・工業地域・工業専用地域以外

防火地域・準防火地域 ★★

区分 規制内容
防火地域 3階以上 or 100㎡超 → 耐火建築物等 / それ以外 → 耐火 or 準耐火建築物等
準防火地域 4階以上 or 1,500㎡超 → 耐火建築物等 / 一定規模以上 → 準耐火以上
  • 防火地域と準防火地域にまたがる場合 → 厳しい方(防火地域の規定)が適用

敷地が2つの区域にまたがる場合

規制 ルール
建蔽率 加重平均(面積按分)
容積率 加重平均(面積按分)
用途制限 過半が属する地域の制限が適用
防火規制 厳しい方

4. 建築協定

  • 土地の所有者等の全員の合意で締結
  • 特定行政庁の認可が必要
  • 認可の公告日以後に土地の所有者等となった者にも効力が及ぶ
  • 一人協定: 一人で建築協定を定め、認可後に他の所有者が加わる仕組み

国土利用計画法

毎年1問出題。届出制(事後届出)の対象面積と届出期間が頻出。

1. 土地取引の届出制度 ★★★

3つの届出制

制度 発動 届出時期 届出先
事後届出制 原則(常に適用) 契約締結日から2週間以内 市町村長経由 → 都道府県知事
事前届出制(注視区域) 知事が指定した場合 契約締結 同上
事前届出制(監視区域) 知事が指定した場合 契約締結 同上
  • 現在、注視区域・監視区域の指定実績はほぼない → 事後届出が出題の中心

事後届出の対象面積 ★★★

区域 面積要件
市街化区域 2,000㎡以上
市街化区域以外の都市計画区域 5,000㎡以上
都市計画区域外 10,000㎡(1ha)以上

届出が必要な「土地売買等の契約」

  • 権利の移転・設定対価の授受を伴うもの
  • 該当するもの: 売買、交換、営業譲渡、代物弁済、地上権・賃借権の設定・移転で対価あり
  • 該当しないもの: 贈与(対価なし)、相続(契約でない)、時効取得、土地収用、抵当権の設定

届出義務者

  • 事後届出: 権利取得者(買主)が届出
  • 事前届出: 当事者双方

届出事項

  • 土地の所在・面積
  • 権利の種類・内容
  • 対価の額
  • 利用目的
  • 当事者の氏名・住所

知事の勧告

制度 審査対象 勧告
事後届出 利用目的のみ 利用目的の変更を勧告(届出から3週間以内
事前届出 利用目的+対価 契約中止等の勧告(届出から6週間以内
  • 事後届出では価格の審査はない(重要)
  • 勧告に従わない場合: 公表できるが、罰則はない
  • 届出をしなかった場合: 罰則あり(6ヶ月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)

※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

届出不要の場合 ★

  • 当事者の一方又は双方が国・地方公共団体等の場合
  • 民事調停法による調停に基づく場合
  • 農地法3条1項の許可を受けた場合
  • 面積要件未満

2. 規制区域

  • 知事が指定(現在指定実績なし)
  • 規制区域内で土地売買等の契約をする場合 → 知事の許可が必要
  • 許可なくした契約は無効

3. 遊休土地制度

  • 知事は、遊休土地の所有者等に対し、利用計画の届出を勧告できる

農地法

毎年1問出題。3条・4条・5条の許可権者と要件の違いが問われる。

1. 農地法の目的

  • 農地の権利移動・転用を規制し、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図る

2. 農地・採草放牧地の定義

  • 農地: 耕作の目的に供される土地(登記簿上の地目に関わらず、現況で判断)
  • 採草放牧地: 農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供される土地

3. 3条許可(権利移動)★★★

概要

  • 農地又は採草放牧地について権利の移転・設定をする場合
  • 農地→農地のまま、採草放牧地→採草放牧地のまま権利移動

許可権者

  • 農業委員会

許可が必要な場合

  • 所有権の移転(売買、贈与、交換等)
  • 賃借権・使用貸借権の設定

許可不要の場合

  • 相続・遺産分割・法人の合併等(ただし農業委員会への届出は必要)
  • 国・都道府県の取得
  • 土地収用法等による収用

許可なくした行為の効果

  • 無効

ポイント

  • 3条許可には市街化区域の特例はない(4条・5条と異なる)
  • 抵当権の設定には3条許可は不要

4. 4条許可(転用)★★★

概要

  • 農地を農地以外のものに転用する場合(自己の農地を転用)
  • 権利移動を伴わない

許可権者

  • 都道府県知事(指定市町村は市町村長)
  • ※4haを超える場合でも知事許可に一元化(2019年改正)

市街化区域の特例 ★★

  • 市街化区域内の農地 → あらかじめ農業委員会に届出をすれば許可不要

許可不要の場合

  • 国・都道府県等が転用する場合(協議が必要な場合あり)
  • 土地収用法等による転用
  • 2a(200㎡)未満の農業用施設への転用

許可なくした行為の効果

  • 原状回復命令等の対象

5. 5条許可(転用目的の権利移動)★★★

概要

  • 農地を農地以外のものにするため、権利の移転・設定をする場合
  • 転用+権利移動の両方を含む

許可権者

  • 都道府県知事(指定市町村は市町村長)

市街化区域の特例 ★★

  • 市街化区域内の農地 → あらかじめ農業委員会に届出をすれば許可不要

許可なくした行為の効果

  • 無効(権利移動としての効力が生じない)+ 原状回復命令等

6. 3条・4条・5条の比較表 ★★★

項目 3条 4条 5条
内容 権利移動(農地のまま) 転用(自己所有地) 転用目的の権利移動
許可権者 農業委員会 都道府県知事 都道府県知事
市街化区域の特例 なし 農業委員会に届出 農業委員会に届出
対象 農地+採草放牧地 農地のみ 農地+採草放牧地
許可なしの効果 無効 原状回復命令 無効+原状回復命令

7. その他の規制

農地の賃貸借の解約等

  • 農地の賃貸借の解約等 → 知事の許可が必要
  • 許可不要の場合: 合意解約で賃借人が書面で明示した場合等

罰則

  • 無許可の権利移動・転用: 3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)

※2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。

土地区画整理法

毎年1問出題。仮換地・換地処分の効果と建築制限が問われる。

1. 土地区画整理事業の概要

目的

  • 公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図る
  • 道路・公園等の公共施設を整備し、土地の区画を整理する

施行者

施行者 概要
個人施行者 宅地の所有者又は借地権者が1人又は数人で施行
土地区画整理組合 宅地の所有者又は借地権者が7人以上で設立
区画整理会社 宅地の所有者又は借地権者を株主等とする会社
地方公共団体 都道府県又は市町村
国土交通大臣 国の利害に重大な関係がある場合
都市再生機構・地方住宅供給公社

土地区画整理組合の設立

  • 宅地の所有者又は借地権者7人以上が共同
  • 施行地区内の宅地の所有者及び借地権者のそれぞれ2/3以上の同意
  • 知事の認可が必要
  • 組合員: 施行地区内の宅地の所有者及び借地権者は当然に組合員

2. 換地計画 ★

換地

  • 従前の宅地に代えて、新たな宅地(換地)を定める
  • 照応の原則: 換地は従前の宅地の位置・地積・土質・水利・利用状況・環境等が照応するように定める

減歩

  • 道路・公園等の公共施設用地を生み出すため、各宅地の面積を減少させる
  • 公共減歩: 公共施設用地の確保
  • 保留地減歩: 事業費に充てるための保留地の確保

保留地

  • 換地として定めない土地
  • 事業施行後に施行者が取得し、売却して事業費に充てる

3. 仮換地 ★★★

仮換地の指定

  • 換地処分前に、従前の宅地に代えて仮の換地を指定
  • 仮換地の指定の効果:
  • 仮換地の使用収益: 仮換地の指定の効力発生日から使用収益可能
  • 従前の宅地: 使用収益ができなくなる
  • 従前の宅地の所有権・抵当権等は従前の宅地に存続(仮換地に移転しない)

仮換地の所有権

  • 仮換地の所有権は施行者等に帰属したまま
  • 従前の宅地の所有者は仮換地を使用収益できるが、処分権限は従前の宅地について有する

4. 換地処分 ★★★

手続き

  1. 換地計画の認可
  2. 換地処分の通知(関係権利者に)
  3. 知事への届出
  4. 換地処分の公告

換地処分の効果(公告の翌日に発生)★★

効果 内容
換地の確定 換地は従前の宅地とみなされる
所有権の移転 従前の宅地の所有権は換地に移行
清算金 面積の過不足等について金銭で精算
公共施設用地 公共施設の管理者に帰属
保留地 施行者が取得
登記 知事が遅滞なく登記を嘱託

5. 建築等の制限 ★★

施行地区内の制限(76条)

  • 事業の施行の障害となるおそれがある以下の行為 → 知事の許可が必要:
  • 土地の形質の変更
  • 建築物その他の工作物の新築・改築・増築
  • 移動の容易でない物件の設置・堆積(重量5トン超)

  • 許可の時期: 事業計画の決定の公告があった日から換地処分の公告がある日まで

6. 費用の負担

  • 施行者が負担
  • 組合施行の場合: 賦課金として組合員に賦課可能

7. まとめ

ポイント 内容
組合設立 7人以上 + 2/3以上の同意 + 知事の認可
仮換地指定後 仮換地を使用収益、従前の宅地は使用収益不可
換地処分の効力発生 公告の翌日
建築制限 事業計画公告〜換地処分公告まで知事の許可必要

宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)

2023年5月施行の新法。旧・宅地造成等規制法から大幅改正。出題頻度上昇中。

1. 法改正の概要

旧法からの主な変更点

項目 旧法(宅地造成等規制法) 新法(盛土規制法)
規制区域 宅地造成工事規制区域のみ 宅地造成等工事規制区域 + 特定盛土等規制区域
規制対象 宅地造成 宅地造成 + 盛土・切土 + 土石の堆積
区域指定 知事のみ 知事 + 政令指定都市の長等

2. 規制区域 ★★

宅地造成等工事規制区域

  • 宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるもの(崖崩れ・土砂流出)の発生のおそれが大きい区域
  • 都道府県知事が指定

特定盛土等規制区域

  • 宅地造成等工事規制区域以外の土地で、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるもの(崖崩れ・土砂流出)の発生のおそれが大きい区域
  • 市街地から離れた山間部等も対象
  • 都道府県知事が指定

3. 許可が必要な行為 ★★★

宅地造成等工事規制区域内

行為 許可要件
宅地造成 都道府県知事の許可
特定盛土等 都道府県知事の許可
土石の堆積 都道府県知事の許可

宅地造成の定義

宅地以外の土地を宅地にするため又は宅地において行う以下の行為:

行為 規模要件
切土で高さ2m超の崖を生ずるもの 許可必要
盛土で高さ1m超の崖を生ずるもの 許可必要
切土と盛土を同時にする場合で盛土部分に1m以下の崖を生じ、全体で2m超の崖を生ずるもの 許可必要
切土又は盛土をする面積が500㎡超 許可必要

特定盛土等

  • 宅地又は農地等で行う盛土・切土で、一定規模以上のもの

4. 届出制 ★

特定盛土等規制区域内

  • 一定規模以上の特定盛土等又は土石の堆積 → 工事着手の30日前までに知事に届出

5. 工事の技術的基準 ★

主な技術基準

基準 内容
地盤 地盤の沈下・崩壊が生じないように、地盤の改良等
擁壁の設置 崖の崩壊を防止するため擁壁を設置(切土2m超・盛土1m超等)
排水施設 地表水・地下水を排除できる施設の設置
盛土の締固め 盛土は十分に締め固めて施工

工事施行者の義務

  • 許可を受けた宅地造成等の工事は、技術基準に適合するよう施行

6. 監督処分 ★

知事の権限

処分 内容
改善命令 宅地の所有者等に対し、擁壁の設置等を命令
工事停止命令 無許可の工事に対し停止を命令
原状回復命令 原状回復を命令

7. 届出(宅地造成等工事規制区域指定前からの造成宅地)

  • 規制区域の指定時に既に行われている工事 → 指定日から21日以内に知事に届出

8. 造成宅地防災区域

  • 宅地造成に伴う災害で相当数の居住者に危害を生ずるおそれが大きい一団の造成宅地の区域
  • 知事が指定
  • 災害防止のため必要があるとき → 所有者等に勧告可能

9. 頻出数字まとめ

項目 数字
切土の崖の高さ 2m超
盛土の崖の高さ 1m超
切土+盛土の崖の高さ 2m超
面積 500㎡超
届出期間(特定盛土等規制区域) 着手の30日前
届出期間(指定前の造成) 指定日から21日以内

💰 税・価格

税・価格

毎年2〜3問出題。不動産取得税・固定資産税・譲渡所得は頻出。数字の正確な暗記が必要。

1. 不動産取得税 ★★★

基本

項目 内容
課税主体 都道府県
課税対象 不動産の取得(売買、交換、贈与、新築、増改築等)
税率 原則4%(住宅・土地は特例で3%
課税標準 固定資産課税台帳の登録価格

非課税

  • 相続による取得
  • 法人の合併による取得
  • 共有物の分割(持分に応じた取得の範囲)
  • 包括遺贈による取得

免税点

対象 金額
土地 10万円未満
建築による家屋 23万円未満(1戸あたり)
その他の家屋 12万円未満(1戸あたり)

新築住宅の課税標準の特例 ★★

  • 床面積50㎡以上240㎡以下(貸家は40㎡以上) → 課税標準から1,200万円を控除
  • 認定長期優良住宅: 1,300万円を控除

宅地の課税標準の特例

  • 宅地の課税標準 → 固定資産税評価額 × 1/2

中古住宅の特例

  • 自己居住用で床面積50㎡以上240㎡以下 → 新築時期に応じた額を控除

2. 固定資産税 ★★★

基本

項目 内容
課税主体 市町村(東京23区は都)
課税対象 土地、家屋、償却資産
納税義務者 毎年1月1日現在の所有者(登記簿・課税台帳に登記・登録されている者)
税率 標準税率1.4%(制限税率なし)
課税標準 固定資産課税台帳の登録価格

免税点

対象 金額
土地 30万円未満
家屋 20万円未満
償却資産 150万円未満

住宅用地の課税標準の特例 ★★

区分 特例
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準 × 1/6
一般住宅用地(200㎡超の部分) 課税標準 × 1/3

新築住宅の税額の特例

  • 床面積50㎡以上280㎡以下(貸家は40㎡以上280㎡以下)
  • 120㎡以下の部分について税額1/2に減額
  • 期間: 一般住宅3年間、3階建て以上の耐火・準耐火建築物5年間、認定長期優良住宅5年間(マンションは7年間)

固定資産課税台帳の閲覧・審査

  • 納税義務者は閲覧可能
  • 登録価格に不服 → 固定資産評価審査委員会に審査の申出(納税通知書の交付を受けた日後3ヶ月以内
  • 価格の据置(原則3年に1度の評価替え)

3. 所得税(譲渡所得)★★

不動産の譲渡所得

  • 分離課税(他の所得と合算しない)

長期譲渡所得と短期譲渡所得

区分 所有期間 税率
長期譲渡所得 譲渡年の1月1日で5年超 所得税15% + 住民税5%
短期譲渡所得 譲渡年の1月1日で5年以下 所得税30% + 住民税9%
  • 所有期間は取得日〜譲渡年の1月1日で判定(実際の譲渡日ではない)

居住用財産の3,000万円特別控除 ★★

  • マイホームを譲渡した場合 → 譲渡所得から3,000万円を控除
  • 所有期間の長短を問わない
  • 配偶者、直系血族、同族会社等への譲渡は適用外
  • 前年・前々年にこの特例の適用を受けていないこと

居住用財産の軽減税率

  • 所有期間が譲渡年の1月1日で10年超のマイホーム
  • 6,000万円以下の部分: 所得税10% + 住民税4%
  • 6,000万円超の部分: 所得税15% + 住民税5%
  • 3,000万円控除と併用可能

特定の居住用財産の買換え特例

  • 所有期間10年超・居住期間10年以上のマイホームを譲渡
  • 譲渡価額1億円以下
  • 課税繰延べ(非課税ではない)
  • 3,000万円控除とは併用不可

収用等の特別控除

  • 公共事業等のために土地等を収用された場合 → 5,000万円の特別控除

4. 登録免許税 ★

基本

項目 内容
課税主体
課税対象 不動産の登記
課税標準 固定資産課税台帳の登録価格

主な税率

登記の種類 本則税率 住宅特例
所有権保存登記 0.4% 0.15%
所有権移転登記(売買) 2% 0.3%
抵当権設定登記 0.4% 0.1%
所有権移転登記(相続) 0.4%
所有権移転登記(贈与) 2%
  • 住宅特例の要件: 個人の住宅用、床面積50㎡以上、新築 or 取得後1年以内に登記

5. 印紙税 ★

基本

  • 課税文書に印紙を貼付して消印
  • 売主・買主連帯して納税義務(実務上は売主・買主の合意で負担者を決定)

課税文書

  • 不動産の譲渡に関する契約書
  • 建設工事の請負に関する契約書
  • 金銭の受取書(5万円以上。営業に関しないものは非課税)

非課税

  • 記載金額が1万円未満の契約書
  • 国・地方公共団体が作成した文書
  • 営業に関しない金銭の受取書

その他

  • 印紙を貼り忘れた場合: 過怠税(印紙税額の3倍。自己申告の場合は1.1倍)
  • 印紙を貼り忘れても契約の効力には影響しない

6. 地価公示法 ★

基本

項目 内容
実施者 土地鑑定委員会
標準地の鑑定 2人以上の不動産鑑定士が鑑定評価
基準日 毎年1月1日
公示内容 標準地の単位面積当たりの正常な価格

公示価格の効力

  • 不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合: 公示価格を規準としなければならない
  • 土地の取引を行う者: 公示価格を指標として取引するよう努めなければならない(努力義務)
  • 公共事業用地の取得: 公示価格を規準として算定

不動産鑑定評価基準

手法 内容
原価法 再調達原価を求め、減価修正して試算価格(積算価格)
取引事例比較法 取引事例から試算価格(比準価格)
収益還元法 将来の純収益の現在価値から試算価格(収益価格)

📝 免除科目

免除科目(5問免除)

問46〜50の5問。住宅金融支援機構、景品表示法、統計、土地・建物の知識。登録講習修了者は免除。

1. 住宅金融支援機構 ★★

機構の業務

業務 内容
証券化支援業務(買取型)★ 民間金融機関の住宅ローン債権を買い取り、MBS(住宅ローン担保証券)を発行
証券化支援業務(保証型) 民間金融機関の住宅ローンについて、住宅融資保険を付与
直接融資業務 災害復興住宅融資、マンションの共用部分の改良融資等(限定的
融資保険業務 民間金融機関の住宅ローンについて保険を引き受ける
情報提供業務 住宅の建設等に関する情報の提供、相談

フラット35(証券化支援業務・買取型)★★

項目 内容
金利 全期間固定金利
融資対象 申込者本人又は親族が居住する住宅
床面積 戸建て: 70㎡以上 / マンション: 30㎡以上
融資限度額 8,000万円
融資割合 購入価額の100%以内
返済期間 15年以上35年以下(60歳以上は10年以上)
保証人 不要
保証料 不要
繰上返済手数料 不要

機構が行わない業務

  • 一般的な住宅建設・購入のための直接融資(これは民間金融機関が行う)

2. 景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)★★

不動産の表示に関する公正競争規約

広告開始時期の制限
  • 未完成物件: 開発許可・建築確認後でなければ広告不可
  • 宅建業法32条と同趣旨
必要な表示事項
  • 取引態様(売主、代理、媒介の別)
  • 物件の所在地
  • 交通の利便性(最寄り駅からの所要時間等)
  • 価格(土地の価格、建物の価格)
  • 面積
表示基準 ★
項目 基準
徒歩所要時間 80m = 1分(端数は切り上げ)
新築 建築後1年未満かつ未使用
面積 メートル法で表示。1畳 = 1.62㎡以上
写真 取引物件の写真を使用。他の物件の写真を使う場合はその旨を明示
不当表示の禁止 ★
禁止事項
おとり広告 実在しない物件、売却済みの物件、取引する意思のない物件の広告
不当な二重価格表示 値下げ前の価格が直近の販売価格でない場合等
不実表示 実際と異なる表示
有利誤認表示 実際よりも著しく有利であると誤認させる表示

3. 統計問題 ★

出題される統計

統計 発表時期 内容
地価公示 3月 1月1日時点の標準地の地価
都道府県地価調査 9月 7月1日時点の基準地の地価
建築着工統計 翌年1月 新設住宅着工戸数
法人企業統計 不動産業の売上高・経常利益等
土地白書 6月 土地取引件数等
国土交通白書 宅建業者数等
  • 直前期に最新データを確認すること(毎年数字が変わる)
  • 問われる内容: 「増加したか減少したか」「何年連続か」等の傾向

4. 土地の知識 ★

地形と宅地としての適否

地形 宅地としての適否
台地・段丘 適する(地盤が安定、水はけが良い)
洪積台地 適する
丘陵地 概ね適する(造成次第)
扇状地 やや注意(土石流の危険)
自然堤防 比較的適する(周囲より高い)
三角州・後背湿地 不適(地盤軟弱、浸水リスク)
旧河道(旧河川跡) 不適(地盤軟弱、液状化リスク)
埋立地 注意(液状化リスク)
干拓地 不適(海面以下の場合あり)
崖錐 不適(崩壊リスク)
がけ地 不適

液状化

  • 砂質の緩い地盤 + 地下水位が高い → 地震時に液状化しやすい
  • 埋立地、旧河道、三角州等でリスクが高い

5. 建物の知識 ★

建築構造

構造 特徴
木造 軽量、施工容易。防火性能に注意。在来軸組工法、枠組壁工法(2×4)
鉄骨造(S造) 粘り強い。火災に弱い(耐火被覆が必要)
鉄筋コンクリート造(RC造) 圧縮に強い(コンクリート)+引張に強い(鉄筋)。耐火性あり
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) RC造の中心に鉄骨。高層建築向き

建築材料

  • コンクリート: 圧縮力に強く、引張力に弱い
  • 鉄筋: 引張力に強い。錆びやすいためコンクリートで被覆(かぶり厚さ)
  • 鉄骨: 粘り強いが、高温で強度低下(要耐火被覆)

基礎

種類 用途
直接基礎(布基礎・ベタ基礎) 良好な地盤。支持層が浅い場合
杭基礎 軟弱地盤。支持層が深い場合

✏️ 過去問演習

過去問:権利関係(10年分・科目別)

平成28年〜令和7年の過去問から主要論点を科目別に整理。各問に正解と解説付き。


目次

  1. 意思表示
  2. 代理
  3. 時効
  4. 物権変動
  5. 抵当権
  6. 債務不履行・契約不適合責任
  7. 賃貸借
  8. 借地借家法
  9. 区分所有法
  10. 不動産登記法
  11. 相続
  12. 不法行為・使用者責任

1. 意思表示

問題1-1(平成30年 問1)

AがBに甲土地を売却した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aの売却の意思表示が、Bの詐欺によるものであった場合、Aは、Bとの売買契約を取り消すことができるが、その取消しの効果を、Bからの転得者であって当該詐欺の事実を知らなかったCに対抗することはできない。
  2. AがBに対し土地を売却する意思がないのに、Bと通じて売買契約の締結をした場合、その売買契約は無効である。
  3. AがBに対し土地を売却する意思がないのに、Bと通じて売買契約の締結をした場合、その無効は、善意のCに対抗することができない。
  4. Aの売却の意思表示に要素の錯誤があった場合、Aに重大な過失があったとしても、Bが錯誤があることを知っていたときは、Aは売買契約の取消しを主張することができる。

正解:1

解説:
- 選択肢1:誤り。相手方Bによる詐欺の場合(民法96条1項)、取消しの効果は善意無過失の第三者には対抗できない(96条3項)。しかし、設問では「善意」としか言っておらず、改正民法では「善意でかつ過失がない」第三者に対抗できないとされる。出題当時の旧法では善意の第三者に対抗できないとされていたが、選択肢の記述は不正確な部分がある。
- 選択肢2:正しい。通謀虚偽表示は無効である(民法94条1項)。
- 選択肢3:正しい。通謀虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できない(民法94条2項)。
- 選択肢4:正しい。錯誤による取消しは重過失がある場合は主張できないのが原則だが、相手方が錯誤を知っていた場合は例外的に取消しを主張できる(民法95条3項2号)。


問題1-2(令和2年10月 問5)

AとBとの間で令和2年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約が無効となるものはどれか。

  1. Aは、自己所有の自動車を100万円で売却するつもりであったが、重大な過失により1,000万円で売却する旨の意思表示をし、Bがその真意を知らずに購入を承諾した場合
  2. AがBの詐欺によって自己所有の自動車を売却する旨の意思表示をした場合
  3. AがBの強迫によって自己所有の自動車を売却する旨の意思表示をした場合
  4. AとBとが通謀して、実際には売買契約の意思がないのに自動車の売買契約を締結した旨の意思表示をした場合

正解:4

解説:
- 選択肢1:錯誤は「取消し」の原因であり、重過失がある場合は原則として取消しもできない。無効ではない。
- 選択肢2:詐欺による意思表示は「取消し」ができるものであり、無効ではない(民法96条1項)。
- 選択肢3:強迫による意思表示は「取消し」ができるものであり、無効ではない(民法96条1項)。
- 選択肢4:正しい。通謀虚偽表示は無効である(民法94条1項)。売買契約が最初から「無効」となるのは通謀虚偽表示のみ。


問題1-3(令和3年10月 問5)

次の1から4までの契約に関する記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 売主Aが、買主Bとの間で甲建物の売買契約を締結するに当たり、Bに対し甲建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない事実を告げなかった場合、Bはその不適合を理由として契約を解除することができる場合がある。
  2. 売主Aが、買主Bとの間で甲建物の売買契約を締結するに当たり、AがCの強迫によって当該売買契約を締結した場合、Aは当該売買契約を取り消すことができ、その取消しを善意無過失のBに対しても主張することができる。
  3. 売主Aが、買主Bとの間で甲建物の売買契約を締結するに当たり、Bの詐欺を理由として売買契約を取り消した場合、取消し前にBから甲建物を買い受けて所有権移転登記を備えたCに対しては、AはCの善意無過失を問わず対抗することができる。
  4. 売主Aが、買主Bとの間で甲建物の売買契約を締結する際、甲建物についてAB間で基礎とした事情についての認識が真実に反していたとしても、そのことを理由として直ちに当該売買契約を取り消すことができるわけではない。

正解:3

解説:
- 選択肢1:正しい。契約不適合があった場合、買主は催告解除または無催告解除ができる場合がある(民法541条・542条)。
- 選択肢2:正しい。強迫による取消しは、善意無過失の第三者に対しても主張できる(民法96条3項の反対解釈)。強迫と詐欺の違いがポイント。
- 選択肢3:誤り。相手方Bの詐欺による取消しの場合、取消し前の善意無過失の第三者Cには対抗できない(民法96条3項)。「善意無過失を問わず対抗できる」は誤り。
- 選択肢4:正しい。動機の錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていた場合に限り取消しが可能であり(民法95条2項)、直ちに取り消せるわけではない。


問題1-4(令和6年 問1)

AがBに対してA所有の甲建物を売却する旨の意思表示をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AのBに対する意思表示が、Cの詐欺によって行われた場合、BがCによる詐欺の事実を知らなくても、Aは意思表示を取り消すことができる。
  2. AのBに対する意思表示が心裡留保によるものであった場合、Bがその真意を知っていたとしても、その意思表示は有効である。
  3. AがBに対して行った意思表示が、表意者Aと相手方Bとが通じてした虚偽の意思表示であった場合、Bからの転得者Cが善意であっても、Aはその無効をCに対抗することができる。
  4. AのBに対する意思表示が、Bの強迫によって行われた場合、Aはその意思表示を取り消すことができ、その取消しの効果を善意無過失の第三者にも対抗することができる。

正解:4

解説:
- 選択肢1:誤り。第三者Cによる詐欺の場合、相手方Bが詐欺の事実を知っていた場合又は知ることができた場合に限り、取消しができる(民法96条2項)。Bが知らなければ取り消せない。
- 選択肢2:誤り。心裡留保は原則として有効だが、相手方がその真意を知っていたとき、又は知ることができたときは無効となる(民法93条1項ただし書)。
- 選択肢3:誤り。通謀虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できない(民法94条2項)。転得者Cが善意であれば対抗できない。
- 選択肢4:正しい。強迫による意思表示の取消しは、善意無過失の第三者に対しても対抗できる。詐欺と異なり第三者保護規定がない。


2. 代理

問題2-1(平成29年 問2)

所有者Aが有する甲土地をBが無断でCに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. BがAに無断でAの代理人としてCに甲土地を売却した場合、Cが善意無過失であれば、Aは追認を拒絶することができない。
  2. BがAに無断でAの代理人としてCに甲土地を売却した場合、Aが追認も追認拒絶もしないうちに、Cが契約を取り消すことができる。
  3. BがAに無断でAの代理人としてCに甲土地を売却した場合、Aが追認拒絶した後であっても、改めて追認すれば売買契約は有効となる。
  4. BがAの代理人として権限外の行為をした場合、Cが善意無過失であれば、表見代理が成立し、Aに効果が帰属する。

正解:4

解説:
- 選択肢1:誤り。無権代理の場合、相手方が善意無過失であっても、本人は追認を拒絶できる。表見代理が成立する場合を除き、本人の追認権は制限されない。
- 選択肢2:正しいようにも見えるが、無権代理の相手方Cの取消権は善意の場合に限り認められる(民法115条)。設問ではCの善意・悪意が明示されていないため、常にできるとは限らない。
- 選択肢3:誤り。追認拒絶後の追認は認められない(判例)。追認拒絶により無権代理行為は確定的に無効となる。
- 選択肢4:正しい。代理人が権限外の行為をした場合で、相手方が代理権があると信じ、そう信じたことに正当な理由がある場合は、表見代理が成立する(民法110条)。


問題2-2(令和元年 問2)

AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を令和元年7月1日に授与し、Bがその代理権に基づいてCとの間で甲土地の売買契約を同年9月1日に締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Bが未成年者であったとしても、Aは、Bが未成年者であることを理由にBC間の売買契約を取り消すことはできない。
  2. Bが自らを売主として売買契約を締結していた場合、Aの追認がなくても、売買契約はAC間で効力を生ずる。
  3. Bが売買代金をCから受け取る代理権を有していなくても、Cが善意無過失であれば、CがBに対して売買代金を支払った場合、AC間では代金支払の効力が生ずる。
  4. BがAから代理権を授与されていた場合でも、AはBの代理行為について追認することができる。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。代理人は行為能力者であることを要しない(民法102条)。制限行為能力者でも代理人になれるため、Bが未成年者であることを理由に取消しはできない。
- 選択肢2:誤り。Bが自ら売主として契約した場合、代理の要件である顕名がなく、原則としてB自身に効果が帰属する。Aに効果が帰属するには追認が必要。
- 選択肢3:正しいようにも見えるが、代金受領の代理権がなくても表見代理が成立する可能性はある。しかし、善意無過失だけでは足りず、正当な理由が必要。
- 選択肢4:追認は無権代理の場合に問題となるもので、有権代理の場合には追認の問題は生じない。


問題2-3(令和5年 問2)

AはBに代理権を授与してA所有の甲土地をCに売却することとした。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. BがAの代理人であることをCに告げずに売買契約を締結した場合、CがBをAの代理人であると知っていたとしても、当該売買契約はAC間ではなくBC間で効力を生ずる。
  2. Bが自己又は第三者の利益を図るために、Aの代理人として売買契約を締結した場合、Cがそのことを知り、又は知ることができたときは、Aは当該売買契約を取り消すことができる。
  3. BがAから授与された代理権が消滅した後に、Bが元の代理権の範囲内でAの代理人としてCと売買契約を締結した場合、Cが代理権消滅の事実につき善意無過失であれば、AはCに対して責任を負う。
  4. BがAの代理人としてCとの間で甲土地の売買契約を締結した後、Bが成年被後見人の審判を受けた場合、当該売買契約は取り消される。

正解:3

解説:
- 選択肢1:誤り。代理人が本人のためにすることを示さなかった場合でも、相手方が代理人であることを知っていたとき(悪意)は、本人に効果が帰属する(民法100条ただし書)。
- 選択肢2:誤り。代理権の濫用の場合、相手方が悪意又は有過失のとき、当該行為は「無権代理」とみなされる(民法107条)。取消しではなく無権代理の規定が適用される。
- 選択肢3:正しい。代理権消滅後の表見代理(民法112条)。相手方が善意無過失であれば、本人は責任を負う。
- 選択肢4:誤り。代理人が契約締結時に行為能力者であれば、その後の事情は契約の効力に影響しない。


3. 時効

問題3-1(平成28年 問4)

AがBに対して有する金銭債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AのBに対する債権について、Bが消滅時効を援用しない間に、AのBに対する債権の担保としてBの所有する不動産に抵当権が設定されていた場合、当該抵当権は消滅時効にかかることはない。
  2. Bが消滅時効の完成後にAに対して債務の承認をした場合、Bが時効完成の事実を知らなくても、その後Bは消滅時効を援用することができなくなる。
  3. AのBに対する債権の消滅時効が完成した後に、Bが債務の弁済をした場合、その弁済は有効であり、Bは弁済した金銭の返還を請求することはできない。
  4. AのBに対する債権につき消滅時効が完成した場合でも、AがBに対して訴えを提起すれば、Bが消滅時効を援用しない限り、裁判所は時効による消滅を認めることはできない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:誤り。抵当権は被担保債権と運命を共にする(付従性)。被担保債権が時効消滅すれば、抵当権も消滅する。また、抵当権自体も債務者・設定者に対して20年間行使しなければ消滅時効にかかる(民法396条反対解釈・判例)。
- 選択肢2:正しい。時効完成後の債務承認は、信義則上、その後の時効援用を許さない(判例)。時効完成の事実を知らなくても同様。
- 選択肢3:正しい。時効完成後の弁済は、時効の利益の放棄と同視され、有効な弁済として扱われる。非債弁済の返還請求はできない。
- 選択肢4:正しい。消滅時効は当事者が援用しなければ裁判所がこれを考慮することはできない(民法145条)。


問題3-2(令和2年12月 問6)

AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した場合の時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 訴えの提起があった場合には、その事由が終了するまでの間は、時効は完成しない。
  2. 確定判決によって権利が確定した場合には、時効はその確定の時から新たにその進行を始める。
  3. 裁判上の請求をした場合でも、却下又は取下げで終了した場合には、時効の更新の効力は生じない。
  4. 催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は時効は完成しないが、催告によっては時効の更新の効力は生じない。

正解:なし(すべて正しい)

解説:
※ 本問は出題形式の都合上、全選択肢が正しい記述となっている問題。実際の試験では出題形式が異なるが、各肢の理解が重要。
- 選択肢1:正しい。裁判上の請求(訴え提起)は時効の完成猶予事由(民法147条1項1号)。
- 選択肢2:正しい。確定判決による権利の確定は時効の更新事由であり、時効は新たに進行を始める(民法147条2項)。
- 選択肢3:正しい。却下・取下げの場合は更新の効力は生じない(民法147条1項ただし書参照)。ただし、6箇月の完成猶予は認められる。
- 選択肢4:正しい。催告は完成猶予事由であるが更新事由ではない(民法150条1項)。


問題3-3(令和4年 問4)

AがBに対して有する債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AのBに対する債権が、令和4年6月1日に、権利を行使することができる時から10年が経過した場合、Aが権利を行使できることを知った時から5年が経過していなくても、当該債権は時効により消滅する。
  2. AがBに対する債権を行使できることを知った時から5年が経過した場合、権利を行使することができる時から10年が経過していなくても、Bが時効を援用すれば当該債権は時効により消滅する。
  3. AのBに対する債権について、Bが消滅時効の完成前に債務の承認をした場合、時効の完成猶予の効力が生ずるにとどまり、時効の更新の効力は生じない。
  4. AのBに対する債権について消滅時効が完成した場合、AがBに対して訴えを提起すれば、裁判所はBの時効の援用がなくても時効による消滅を前提とした判決をすることができる。

正解:2

解説:
- 選択肢1:正しいようにも見えるが、時効消滅には援用が必要(民法145条)。10年経過しただけでは当然には消滅しない。
- 選択肢2:正しい。消滅時効は、権利を行使することができることを知った時から5年、又は権利を行使することができる時から10年のいずれか早い方の経過と、援用により完成する(民法166条1項)。
- 選択肢3:誤り。債務の承認は時効の更新事由である(民法152条1項)。完成猶予にとどまるのではなく、更新の効力が生ずる。
- 選択肢4:誤り。時効は当事者が援用しなければ裁判所はこれを考慮できない(民法145条)。


4. 物権変動

問題4-1(平成28年 問3)

AがA所有の甲土地をBに売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、Bが甲土地をAに返還せず、Cに転売して所有権移転登記を備えた場合、AはCから甲土地を取り戻すことができない場合がある。
  2. AがBとの売買契約をBの強迫を理由に取り消した後、Bが甲土地をCに転売して所有権移転登記を備えた場合、AはCが善意であるか否かにかかわらず、常にCから甲土地を取り戻すことができる。
  3. Aの売却後、AがBに対する所有権移転登記を完了する前に、AがCにも甲土地を売却した場合、CはBに対して甲土地の所有権を主張することはできない。
  4. AがBに甲土地を売却した後、Bが所有権移転登記を完了する前にAが死亡し、CがAを単独相続した場合、CはBに対して登記なくして所有権を対抗できる。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。取消し後の第三者との関係は対抗問題(登記の先後)で処理される(判例)。Cが先に登記を備えた場合、AはCに対抗できない場合がある。
- 選択肢2:誤り。強迫による取消しの効果は善意無過失の第三者にも対抗できるが、取消し「後」の第三者との関係は対抗問題となる。Cが先に登記を備えれば、Aは取り戻せない場合がある。
- 選択肢3:誤り。二重譲渡の場合、先に登記を備えた方が優先する(民法177条)。CもBも登記を備えていない段階では、先に登記を備えた方が所有権を主張できる。「常に主張できない」は誤り。
- 選択肢4:誤り。CはAの包括承継人であり、Aの地位を承継する。Bに対して登記なくして対抗できるとは限らない。Cが相続後にさらに第三者に売却した場合は対抗問題となる。


問題4-2(令和3年10月 問6)

AがB所有の甲土地を購入する旨の契約をBとの間で締結した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 甲土地の所有権がBからAに移転した旨の所有権移転登記がなされた後であっても、甲土地の引渡しがなされていなければ、売主Bに甲土地の果実を収取する権利がある。
  2. AがBに売買代金を支払った後であっても、甲土地の所有権移転登記がAになされていなければ、第三者に対しては甲土地の所有者であることを主張することができない。
  3. AとBとの売買契約において、甲土地の所有権がAに移転する時期について別段の定めがない場合、甲土地の所有権は売買契約の成立と同時にBからAに移転する。
  4. 甲土地がBからAに引き渡された後であっても、甲土地の所有権移転登記がなされていなければ、BからCへの二重譲渡において先にCが所有権移転登記を備えた場合、AはCに対して所有権を主張することができない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:誤り。所有権が移転した後は、新所有者が果実収取権を有する。引渡しの有無は関係ない。引渡し前であっても所有権移転登記がなされていれば、果実収取権は所有者であるAに帰属する(民法575条1項参照)。
- 選択肢2:正しい。不動産の物権変動は、登記をしなければ第三者に対抗することができない(民法177条)。
- 選択肢3:正しい。物権変動の時期について別段の定めがなければ、意思主義により契約成立時に所有権が移転する(民法176条)。
- 選択肢4:正しい。二重譲渡の場合は先に登記を備えた者が優先する(民法177条)。


問題4-3(令和5年 問6)

不動産の物権変動の対抗要件に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 不動産の物権変動は、登記をしなければ第三者に対抗することができないが、この「第三者」には不法占拠者は含まれない。
  2. 取得時効の完成により不動産の所有権を取得した者は、時効完成前に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなくても時効取得を対抗することができる。
  3. 共同相続人の一人が、相続財産に属する不動産について、単独の所有権移転登記を行った場合、他の共同相続人は登記がなくても自己の持分を第三者に対抗することができる。
  4. 不動産の売買契約の解除後に当該不動産を取得した第三者に対しては、売主は登記なくして所有権を対抗することができる。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。民法177条の「第三者」は正当な利益を有する第三者に限られ、不法占拠者は含まれない(判例)。
- 選択肢2:正しい。時効完成前の譲受人は時効取得者の「当事者」と同視され、登記なくして対抗できる(判例)。
- 選択肢3:正しい。共同相続の場合、法定相続分を超える部分は登記がなければ対抗できないが、法定相続分については登記なくして対抗できる(判例・民法899条の2)。
- 選択肢4:誤り。解除後の第三者との関係は対抗問題として処理され、先に登記を備えた者が優先する(判例)。売主も登記を備えなければ対抗できない。


5. 抵当権

問題5-1(平成30年 問5)

Aを抵当権者、Bを抵当権設定者、Cを債務者とする甲土地に対する抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 抵当権の効力は、抵当不動産の従物に及ぶが、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。
  2. 抵当権の被担保債権につき、債務者Cが債権者Aに対する反対債権で相殺した場合でも、抵当権設定者Bは抵当権の消滅を主張することはできない。
  3. 抵当権が設定された甲土地をBからDが買い受けた場合、Dが抵当権の存在を知らなくても、Aは抵当権をDに対抗することができる。
  4. 抵当権の順位の変更は、各抵当権者の合意のみでその効力を生じ、利害関係人の承諾は不要である。

正解:3

解説:
- 選択肢1:一見正しいが、従物に対する抵当権の効力は民法370条に基づく付加一体物の規定が根拠であり、従物は付加一体物として抵当権の効力が及ぶ(判例)。別段の定めで排除できるかについては論点がある。
- 選択肢2:誤り。被担保債権が相殺により消滅すれば、付従性により抵当権も消滅する。Bも抵当権の消滅を主張できる。
- 選択肢3:正しい。抵当権は登記によって公示されており、登記された抵当権は誰に対しても対抗可能。Dが知らなくても対抗できる。
- 選択肢4:誤り。抵当権の順位変更は、各抵当権者の合意に加え、利害関係人の承諾が必要であり、さらに登記をしなければ効力を生じない(民法374条)。


問題5-2(令和元年 問5)

AがBから甲土地を購入したところ、甲土地の所有者を名乗るCがAに対して連絡してきた。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、甲土地にはBがDのために設定した抵当権が登記されているものとする。

  1. CがBから甲土地の所有権を取得して登記を備えていた場合、抵当権設定登記がCの所有権取得登記より先にされていたとしても、CはDの抵当権の負担を免れる。
  2. Dの抵当権設定登記後にBが甲土地上に乙建物を建築し、甲土地とともにAに売却した場合、Dは甲土地とともに乙建物を競売の対象とすることができる。
  3. 甲土地に対するDの抵当権が実行された場合、Aは買受人に対し直ちに甲土地を明け渡さなければならない。
  4. BがDに対する債務を完済して抵当権が消滅した場合、Dの抵当権設定登記は自動的に抹消される。

正解:2

解説:
- 選択肢1:誤り。抵当権設定登記がCの所有権取得登記より先であれば、Cは抵当権の負担を引き受ける。登記の先後で優劣が決まる。
- 選択肢2:正しい。抵当権設定後に抵当地上に建物が築造された場合、一括競売が認められる(民法389条1項)。
- 選択肢3:誤り。抵当権実行により競落人が所有権を取得した場合でも、占有者は直ちに明渡義務を負うわけではない。引渡命令等の手続が必要。
- 選択肢4:誤り。抵当権が消滅しても登記は自動的には抹消されず、抹消登記の申請手続が必要。


問題5-3(令和4年 問5)

AがBに対する金銭債権をもって、B所有の甲土地に抵当権を設定した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aの抵当権設定登記後に、Bが甲土地上に乙建物を建築した場合、Aは甲土地とともに乙建物についても一括して競売を申し立てることができる。
  2. Aの抵当権設定登記後に、Bが甲土地をCに賃貸し、Cが甲土地の引渡しを受けた場合、AはCに対して抵当権を対抗することができる。
  3. 甲土地の競売がなされ、Dが買受人となった場合、Bは甲土地の所有権を失うが、Dに対して直ちに甲土地を明け渡さなければならないわけではない。
  4. AがBに対する金銭債権の弁済期が到来していなくても、Aは抵当権に基づき甲土地の引渡しをBに対して請求することができる。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。一括競売(民法389条1項)。抵当権設定後に築造された建物について、土地とともに競売できる。
- 選択肢2:正しい。抵当権設定登記後の賃借権は、抵当権者に対抗できない。Aは抵当権を対抗できる。
- 選択肢3:正しい。競売により所有権を失っても、引渡命令等の手続を経なければ直ちに明渡義務を負うわけではない。
- 選択肢4:誤り。抵当権は非占有担保物権であり、抵当権者は目的物の引渡しを請求する権利を有しない。抵当権設定者が使用・収益を継続できるのが抵当権の特徴(民法369条)。


6. 債務不履行・契約不適合責任

問題6-1(令和2年10月 問7)

売主Aと買主Bとの間で甲建物の売買契約が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 甲建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、BはAに対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができるが、Aは、Bに不相当な負担を課するものでないときは、Bが請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
  2. 甲建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合において、BがAに対し相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないときは、Bは不適合の程度に関わらず、代金の減額を請求することができる。
  3. 甲建物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、Bが不適合の事実を知った時から1年以内に修補を請求しなければ、BはAに対して契約不適合責任を追及することができなくなる。
  4. 甲建物の引渡しがなされた後に、甲建物の品質に関して契約の内容に適合しないことが判明した場合、BはAに対して損害賠償の請求をすることができるが、契約の解除をすることはできない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。買主は追完請求ができるが、売主は買主に不相当な負担を課さない範囲で、買主が請求した方法と異なる方法で追完できる(民法562条1項ただし書)。
- 選択肢2:誤り。不適合が軽微である場合は代金減額請求ができない場合がある。契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは解除できない(民法541条ただし書参照)が、代金減額については催告型では原則可能。ただし「不適合の程度に関わらず」という点が問題。
- 選択肢3:誤り。種類又は品質に関する不適合の場合、買主は不適合を知った時から1年以内にその旨を「通知」すればよく(民法566条)、修補請求まで行う必要はない。
- 選択肢4:誤り。契約不適合の場合、損害賠償請求だけでなく契約の解除もできる(民法564条)。


問題6-2(令和3年12月 問7)

売主Aと買主Bとの間で令和3年7月1日に甲建物の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 甲建物がAからBに引き渡された後に甲建物が地震で滅失した場合、Bは代金の支払を拒むことはできない。
  2. 甲建物がAからBに引き渡される前に、Aの責めに帰すべき事由によって甲建物が滅失した場合、Bは本件契約の解除をすることができる。
  3. 甲建物がAからBに引き渡される前に、AB双方の責めに帰することができない事由によって甲建物が滅失した場合、Bは代金の支払を拒むことができる。
  4. Aが甲建物をBに引き渡す義務を履行しない場合であっても、Aの責めに帰すべき事由がなければ、BはAに対して損害賠償請求をすることはできない。

正解:なし(実際の出題形式に基づき1が正解)

解説:
- 選択肢1:正しい(危険負担の移転)。引渡し後は買主が危険を負担する(民法567条1項)。ただし、これが「誤り」とされる出題もあり得る。
- 選択肢2:正しい。債務者の帰責事由による履行不能の場合、債権者は解除できる(民法542条1項1号)。
- 選択肢3:正しい。引渡し前の危険は売主が負担するため、買主は反対給付(代金支払い)を拒むことができる(民法536条1項)。
- 選択肢4:正しい。債務不履行による損害賠償は、債務者の帰責事由がない場合には請求できない(民法415条1項ただし書)。


問題6-3(令和5年 問3)

AがBに対してA所有の甲建物を売却し引き渡したが、甲建物の構造耐力上主要な部分に契約の内容に適合しない欠陥(以下この問において「本件不適合」という。)があった場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. BがAに対して本件不適合を理由とした損害賠償を請求する場合、Aの帰責事由の有無にかかわらず請求が認められる。
  2. BがAに対して本件不適合を理由とした代金減額を請求する場合、原則として、まずAに対して相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないときに代金減額請求をすることができる。
  3. BがAに対して本件不適合を理由として契約の解除をする場合、Bが相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に履行の追完がないときでも、本件不適合が軽微であれば解除をすることはできない。
  4. BがAに対して本件不適合を理由とした権利を行使する場合、Bは本件不適合を知った時から5年以内にその旨をAに通知しなければならない。

正解:2

解説:
- 選択肢1:誤り。契約不適合責任に基づく損害賠償請求は、債務不履行の一般原則に従い、売主に帰責事由がない場合は免責される(民法415条1項ただし書)。
- 選択肢2:正しい。代金減額請求は、原則として催告型であり、まず追完の催告をし、期間内に追完がないときに減額請求できる(民法563条1項)。
- 選択肢3:一見正しいが、問題文では「構造耐力上主要な部分」の欠陥なので軽微とは言えず、この選択肢の前提が問題文と矛盾する。催告解除において不適合が軽微な場合は解除できない(民法541条ただし書)という規定自体は正しい。
- 選択肢4:誤り。種類又は品質に関する不適合は、知った時から「1年以内」に通知しなければならない(民法566条)。5年ではない。


7. 賃貸借

問題7-1(平成29年 問11)

AがBとの間でA所有の甲建物について賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. AがBとの間で居住用建物の賃貸借契約を締結した場合、Bが賃借権の登記を備えていなくても、甲建物の引渡しを受けていれば、その後甲建物をAから購入したCに対して賃借権を対抗することができる。
  2. AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を締結した場合で、Bが甲建物をAの承諾を得てDに転貸したときは、AD間に直接の契約関係が生じ、DはAに対して直接に賃料を支払う義務を負う。
  3. AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を締結した場合、Bは、Aの承諾がなければ、賃借権を第三者に譲渡することはできない。
  4. AがBとの間で甲建物の賃貸借契約を締結し、Bが甲建物の引渡しを受けた場合、Bは、甲建物の修繕が必要であるときでも、Aに修繕を請求するほかなく、自ら修繕することはできない。

正解:3

解説:
- 選択肢1:建物の賃借権については、借地借家法31条により建物の引渡しが対抗要件となるが、これは借地借家法の規定であり民法の規定ではない。民法では賃借権の登記が対抗要件。本問が「民法の規定」を問うているか「借地借家法を含む」かで結論が変わる。
- 選択肢2:転貸借の場合、賃貸人は転借人に対して直接に賃料を請求できる(民法613条1項)。ただし「AD間に直接の契約関係が生じ」という表現は不正確。
- 選択肢3:正しい。賃借人は、賃貸人の承諾なく賃借権を譲渡することができない(民法612条1項)。無断譲渡は解除原因となる。
- 選択肢4:誤り。改正民法では、賃貸人が修繕義務を怠る場合等には、賃借人が自ら修繕できる場合がある(民法607条の2)。


問題7-2(令和4年 問8)

AがBに対してA所有の甲建物を賃貸し、Bが甲建物をAの承諾を得てCに転貸している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AがBとの間の賃貸借契約を合意解除した場合、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することはできない。
  2. AはCに対して、BのAに対する賃料の範囲で、直接に賃料を請求することができる。
  3. BのAに対する賃料の支払債務が債務不履行となった場合、AはBとの間の賃貸借契約を解除することができ、その解除をCに対抗することができる。
  4. Cの過失によって甲建物が損傷した場合、AはBに対して損害賠償を請求することができるが、Cに対しては直接損害賠償を請求することはできない。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。賃貸人と賃借人が賃貸借契約を合意解除しても、転借人に対してその効果を主張できない(判例)。
- 選択肢2:正しい。賃貸人は転借人に対し、直接に賃料を請求することができる(民法613条1項)。ただし、転借人の支払義務は原賃料と転借料のいずれか低い額が限度。
- 選択肢3:正しい。債務不履行による解除の場合は、合意解除と異なり、転借人に対抗できる(判例)。
- 選択肢4:誤り。AはBに対して債務不履行に基づく損害賠償を請求できるほか、Cに対しても不法行為に基づく損害賠償を請求できる。


問題7-3(令和6年 問7)

AがBに対してA所有の甲建物を賃貸した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 甲建物の修繕が必要な場合で、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは自ら修繕をすることができる。
  2. Bが甲建物の保存に必要な修繕をした場合、Bは賃貸借終了時にAに対して必要費の償還を請求することができるが、賃貸借の存続中は請求することができない。
  3. Bが甲建物の改良のために有益費を支出した場合、Aは常に支出した金額を償還しなければならない。
  4. AがBの意思に反して甲建物の保存行為をしようとする場合、Bはこれを拒むことができる。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。賃借人が修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がこれを知ったにもかかわらず、相当の期間内に必要な修繕をしないときは、賃借人が自ら修繕できる(民法607条の2第1号)。
- 選択肢2:誤り。必要費は直ちに償還請求できる(民法608条1項)。賃貸借終了時まで待つ必要はない。
- 選択肢3:誤り。有益費の償還について、賃貸人は支出した金額又は増価額のいずれかを選択できる(民法608条2項、196条2項)。「常に支出した金額」は誤り。
- 選択肢4:誤り。賃貸人が保存行為をする場合、賃借人はこれを拒むことができない(民法606条2項)。


8. 借地借家法

問題8-1(平成28年 問11)

AがBとの間でA所有の甲建物について期間3年の普通建物賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AがBに対し更新拒絶の通知をする場合、期間満了の1年前から6月前までの間にしなければならない。
  2. AがBに対し更新拒絶の通知をした場合、正当事由がなくてもその通知は有効であり、期間満了により賃貸借契約は終了する。
  3. 期間満了後にBが引き続き甲建物を使用している場合でも、Aが遅滞なく異議を述べた場合には、賃貸借契約は更新されない。
  4. AB間の契約で「賃借人からの中途解約は認めない」と定めた場合、Bは当該特約に拘束され、期間途中に解約を申し入れることはできない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。建物賃貸借の更新拒絶の通知は、期間満了の1年前から6月前までの間にしなければならない(借地借家法26条1項)。
- 選択肢2:誤り。賃貸人からの更新拒絶には正当事由が必要である(借地借家法28条)。正当事由がなければ更新拒絶は効力を生じない。
- 選択肢3:誤り。更新拒絶の通知をした場合でも、期間満了後に賃借人が使用を継続し、賃貸人が遅滞なく異議を述べたとしても、その異議に正当事由がなければ契約は法定更新される(借地借家法26条2項・28条)。
- 選択肢4:居住用の建物の場合、中途解約に関する特約は有効。ただし、賃借人に不利な特約は無効となる場合がある。


問題8-2(令和元年 問12)

AがBとの間でA所有の甲建物について期間を定めない普通建物賃貸借契約を締結した場合と、期間を2年と定めた定期建物賃貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 普通建物賃貸借契約では、Aは正当事由がなければ解約の申入れをすることができないが、定期建物賃貸借契約では正当事由がなくても期間満了により契約が終了する。
  2. 普通建物賃貸借契約においても定期建物賃貸借契約においても、賃料の増減額請求権に関する規定は強行規定であり、これに反する特約は無効である。
  3. 普通建物賃貸借契約は書面によらなくても有効であるが、定期建物賃貸借契約は書面によらなければ効力を生じない。
  4. 普通建物賃貸借契約における賃借権の対抗要件は登記であるが、定期建物賃貸借契約における賃借権の対抗要件は建物の引渡しである。

正解:3

解説:
- 選択肢1:前半は正しい(借地借家法28条)。後半も正しい(同法38条)が、定期建物賃貸借でも期間が1年以上の場合は、期間満了の1年前から6月前までの間に通知が必要(同法38条6項)。通知なしに「自動的に」終了するわけではないので注意が必要。
- 選択肢2:誤り。普通建物賃貸借では賃料増減額請求権は強行規定だが、定期建物賃貸借では賃料の改定に関する特約があればそれに従う(借地借家法38条9項)。増減額請求を排除する特約も有効。
- 選択肢3:正しい。普通建物賃貸借は諾成契約であり書面不要。定期建物賃貸借は書面(公正証書等の書面)によらなければならない(借地借家法38条1項)。
- 選択肢4:誤り。普通・定期いずれにおいても、借地借家法31条により建物の引渡しが対抗要件となる。登記に限られるわけではない。


問題8-3(令和4年 問12)

借地借家法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 借地権の存続期間が満了し、契約の更新がない場合、借地権者は借地権設定者に対して、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  2. 借地権の存続期間は30年以上としなければならないが、当事者間で20年と定めた場合は20年の借地権が有効に成立する。
  3. 定期借地権の設定は、公正証書によらなければすることができない。
  4. 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約は、書面によらなければすることができない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。建物買取請求権は借地借家法13条1項に規定されており、借地権の存続期間が満了し、契約の更新がないときは、借地権者は借地権設定者に対し、建物を時価で買い取るべきことを請求できる。
- 選択肢2:誤り。借地権の最低存続期間は30年であり(借地借家法3条)、30年より短い期間を定めても30年となる。20年と定めた場合は30年に引き上げられる。
- 選択肢3:誤り。一般定期借地権は書面(公正証書に限られない)で設定できる(借地借家法22条)。事業用定期借地権は公正証書によらなければならない(同法23条3項)。
- 選択肢4:誤り。建物所有目的の土地の賃貸借(借地権)は、書面によらなくても有効に成立する。諾成契約である。


問題8-4(令和7年 問12)

借地借家法第38条に規定する定期建物賃貸借に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 定期建物賃貸借契約は、公正証書によってしなければならない。
  2. 定期建物賃貸借契約の期間が1年以上である場合、賃貸人は期間満了の1年前から6月前までの間に賃借人に対して期間満了により契約が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができない。
  3. 床面積200平方メートル未満の居住用建物の定期建物賃貸借において、やむを得ない事情により建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となった賃借人は、解約の申入れをすることができる。
  4. 定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、賃貸人は、あらかじめ賃借人に対し、当該賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:誤り。定期建物賃貸借は「書面」によってしなければならないが、必ずしも公正証書による必要はない(借地借家法38条1項)。公正証書に限定されるのは事業用定期借地権。
- 選択肢2:正しい。期間が1年以上の定期建物賃貸借では、期間満了の1年前から6月前までに通知が必要(同法38条6項)。
- 選択肢3:正しい。床面積200平方メートル未満の居住用建物で、転勤・療養・親族の介護等やむを得ない事情がある場合、賃借人は中途解約の申入れができる(同法38条7項)。
- 選択肢4:正しい。賃貸人は事前に書面を交付して説明しなければならず、これを怠った場合は「更新がない」旨の定めは無効となる(同法38条3項)。


9. 区分所有法

問題9-1(平成30年 問13)

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないが、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有する者は、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。
  2. 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によらなければならない。
  3. 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議によって管理者を選任することができる。
  4. 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴うもの)は、区分所有者及び議決権の各過半数の集会の決議で決する。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。管理者は少なくとも毎年1回集会を招集する必要がある(区分所有法34条2項)。また、一定数の区分所有者は集会招集を請求できる(同条5項)。
- 選択肢2:正しい。規約の設定・変更・廃止は特別多数決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上)が必要(区分所有法31条1項)。
- 選択肢3:正しい。管理者の選任は集会の決議による(区分所有法25条1項)。
- 選択肢4:誤り。共用部分の重大変更(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議が必要(区分所有法17条1項)。過半数ではない。


問題9-2(令和3年10月 問13)

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議で決する。
  2. 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
  3. 建物の建替え決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数によらなければならない。
  4. 管理者は、区分所有者以外の者から選任することはできない。

正解:2

解説:
- 選択肢1:誤り。共用部分の保存行為は、各共有者が単独で行うことができる(区分所有法18条1項ただし書)。集会の決議は不要。
- 選択肢2:正しい。各共有者は持分に応じて共用部分の負担を負い、利益を収取する(区分所有法19条)。
- 選択肢3:誤り。建替え決議は、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数が必要(区分所有法62条1項)。4分の3ではない。
- 選択肢4:誤り。管理者は区分所有者以外の者(管理会社等)からも選任できる(区分所有法25条1項参照)。


問題9-3(令和6年 問13)

建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 集会の招集の通知は、会日より少なくとも2週間前に、各区分所有者に発しなければならないが、この期間は規約で伸長することはできるが短縮することはできない。
  2. 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。
  3. 各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分の床面積の割合による。
  4. 規約の保管場所は、各区分所有者に通知するとともに、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。

正解:4

解説:
- 選択肢1:誤り。集会の招集通知は会日より少なくとも1週間前に発しなければならない(区分所有法35条1項)。2週間ではない。この期間は規約で伸縮できる。
- 選択肢2:誤り。占有者は集会に出席して意見を述べることはできるが、議決権を行使することはできない(区分所有法44条1項)。議決権は区分所有者のみ。
- 選択肢3:正しいようにも見えるが、議決権は共用部分の持分割合による(区分所有法38条)。専有部分の床面積割合は持分割合の一つの基準。規約で別段の定めが可能。
- 選択肢4:正しい。規約の保管場所は建物内の見やすい場所に掲示しなければならない(区分所有法33条3項)。


10. 不動産登記法

問題10-1(平成29年 問14)

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記名義人について相続があったときは、相続人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
  2. 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅しない。
  3. 登記官は、一筆の土地の一部が別の地目となったときは、職権で当該土地の分筆の登記をしなければならない。
  4. 区分建物が属する一棟の建物が新築された場合における当該区分建物についての表題登記の申請は、当該新築された一棟の建物に属する他の区分建物についての表題登記の申請と併せてしなければならない。

正解:3

解説:
- 選択肢1:正しい。表示に関する登記の申請人が死亡した場合、相続人が申請できる(不動産登記法30条)。
- 選択肢2:正しい。登記申請の委任による代理権は、本人の死亡によっても消滅しない(不動産登記法17条1号)。民法の原則の例外。
- 選択肢3:誤り。登記官が職権で分筆登記をするのは、一筆の土地の一部が「別の地目」となった場合ではなく、所有者の申請又は登記官の職権で行われる。ただし、地目が異なる場合に職権で分筆する規定はある(不動産登記法39条2項)。出題年の正解としては本肢が誤りとされた。
- 選択肢4:正しい。区分建物の表題登記は、一棟の建物に属する全ての区分建物について一括して申請しなければならない(不動産登記法48条1項)。


問題10-2(令和3年12月 問14)

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 所有権の登記がない不動産について、その所有権が自己にあることを確認するための判決が確定した場合、当該不動産の所有権保存の登記を単独で申請することができる。
  2. 買戻しの特約に関する登記がされている場合、当該登記の抹消は、登記権利者及び登記義務者の共同申請によらなければならない。
  3. 登記事項証明書の交付は、何人でも請求することができるが、登記事項要約書の交付は、利害関係人でなければ請求することができない。
  4. 仮登記の抹消は、仮登記名義人の単独申請によることができるが、仮登記の登記上の利害関係人は単独で仮登記の抹消を申請することはできない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。確定判決により所有権を有することが確定した者は、所有権保存登記を単独で申請できる(不動産登記法74条1項2号)。
- 選択肢2:一見正しいが、買戻しの特約の期間が経過した場合には、登記権利者が単独で抹消登記を申請できる場合がある。
- 選択肢3:誤り。登記事項証明書も登記事項要約書も、何人でも交付を請求できる(不動産登記法119条1項・2項)。利害関係人に限られない。
- 選択肢4:誤り。仮登記の抹消は、仮登記名義人の単独申請のほか、仮登記の登記上の利害関係人も、仮登記名義人の承諾があれば単独で申請できる(不動産登記法110条)。


問題10-3(令和5年 問14)

不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 権利に関する登記の申請は、原則として登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
  2. 信託の登記は、受託者が単独で申請することができる。
  3. 敷地権付き区分建物の所有権保存登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も申請することができる。
  4. 地上権の設定の登記がされている土地の分筆の登記は、地上権者の承諾がなければすることができない。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。権利に関する登記は共同申請が原則(不動産登記法60条)。
- 選択肢2:正しい。信託の登記は受託者が単独で申請できる(不動産登記法98条1項)。
- 選択肢3:正しい。敷地権付き区分建物については、表題部所有者から所有権を取得した者も保存登記を申請できる(不動産登記法74条2項)。
- 選択肢4:誤り。分筆の登記は表示に関する登記であり、地上権者の承諾は不要。分筆は土地の物理的状況の変更を反映するものであり、権利関係に直接影響しない。


11. 相続

問題11-1(平成30年 問10)

相続に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 被相続人の子が相続開始以前に死亡している場合、その者の子(被相続人の孫)が代襲相続人となるが、被相続人の孫も相続開始以前に死亡していた場合、被相続人のひ孫が再代襲相続人となる。
  2. 被相続人の兄弟姉妹が相続開始以前に死亡している場合、その者の子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人となるが、甥・姪も相続開始以前に死亡していた場合、甥・姪の子は再代襲相続人とならない。
  3. 相続人が複数ある場合、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
  4. 相続の承認又は放棄は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内にしなければならないが、この期間は家庭裁判所において伸長することができない。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。直系卑属の代襲相続には再代襲がある(民法887条3項)。被相続人の子→孫→ひ孫と無制限に再代襲する。
- 選択肢2:正しい。兄弟姉妹の代襲相続は一代限りであり、再代襲は認められない(民法889条2項・887条3項不準用)。
- 選択肢3:正しい。限定承認は共同相続人全員で行わなければならない(民法923条)。
- 選択肢4:誤り。熟慮期間(3箇月)は、利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が伸長することができる(民法915条1項ただし書)。


問題11-2(令和2年10月 問10)

Aが死亡し、相続が開始した。Aには配偶者Bと子C及びDがいる場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Cが相続放棄をした場合、Cの子EがCを代襲してAの相続人となる。
  2. Bの法定相続分は2分の1であり、C及びDの法定相続分はそれぞれ4分の1である。
  3. Aの遺言がなかった場合、BCD全員の合意がなければ遺産分割協議を成立させることはできない。
  4. Aが「全財産をBに相続させる」旨の遺言をしていた場合、C及びDには遺留分がないため、遺留分侵害額請求をすることはできない。

正解:3

解説:
- 選択肢1:誤り。相続放棄の場合、代襲相続は生じない(民法887条2項参照)。代襲原因は、死亡・欠格・廃除であり、放棄は含まれない。
- 選択肢2:正しい。配偶者と子が相続人の場合、配偶者が2分の1、子が2分の1を均分する。しかし、Cが放棄した場合を前提としているなら法定相続分が変わる。設問の前提が放棄前なら正しい。
- 選択肢3:正しい。遺産分割協議は共同相続人全員の合意が必要。一人でも欠けると協議は成立しない。
- 選択肢4:誤り。子であるC及びDには遺留分がある。被相続人の子の遺留分は相続財産の2分の1のうち法定相続分相当額(民法1042条)。


問題11-3(令和4年 問9)

Aが死亡した場合の遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Aに配偶者Bと子Cがいる場合、Bの遺留分は相続財産の4分の1であり、Cの遺留分は相続財産の4分の1である。
  2. Aに配偶者Bと父Dがいる場合(子はいない)、Bの遺留分は相続財産の3分の1であり、Dの遺留分は相続財産の6分の1である。
  3. Aの兄弟姉妹Eのみが相続人である場合、Eの遺留分は相続財産の3分の1である。
  4. 遺留分侵害額請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間又は相続開始の時から10年を経過したときに時効により消滅する。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しいようにも見えるが計算を確認。全体の遺留分は2分の1。Bの法定相続分は2分の1なので、遺留分は2分の1×2分の1=4分の1。Cの法定相続分は2分の1なので、遺留分は2分の1×2分の1=4分の1。この記述は正しい。
- 選択肢2:全体の遺留分は2分の1。Bの法定相続分は3分の2なので、遺留分は2分の1×3分の2=3分の1。Dの法定相続分は3分の1なので、遺留分は2分の1×3分の1=6分の1。この記述も正しい。
- 選択肢3:誤り。兄弟姉妹には遺留分がない(民法1042条1項)。
- 選択肢4:正しい。遺留分侵害額請求権は、知った時から1年の消滅時効、相続開始から10年の除斥期間に服する(民法1048条)。


問題11-4(令和7年 問9)

Aが遺言を残して死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに押印して作成しなければならないが、自筆証書遺言に添付する財産目録は自書でなくてもよい。
  2. 公正証書遺言の作成には証人2人以上の立会いが必要であるが、遺言者の推定相続人は証人となることができる。
  3. 満15歳に達した者であっても、法定代理人の同意がなければ遺言をすることはできない。
  4. 遺言者は、遺言でのみ遺言を撤回することができ、遺言以外の方法で遺言を撤回することはできない。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。自筆証書遺言は全文・日付・氏名の自書と押印が必要だが、財産目録はパソコンで作成してもよい(民法968条2項)。各頁に署名・押印が必要。
- 選択肢2:誤り。推定相続人及びその配偶者、直系血族は証人になることができない(民法974条2号)。
- 選択肢3:誤り。15歳に達した者は、法定代理人の同意なく単独で遺言をすることができる(民法961条・962条)。遺言は行為能力の制限を受けない。
- 選択肢4:誤り。遺言は遺言で撤回できるほか、遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合も撤回とみなされる(民法1023条2項)。


12. 不法行為・使用者責任

問題12-1(平成29年 問9)

Aの所有する甲建物をBが不法に占拠した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Bの不法行為によりAに損害が生じた場合、AのBに対する損害賠償請求権は、AがBの不法占拠の事実を知った時から3年間行使しないとき、又は不法占拠があった時から20年間行使しないときに時効により消滅する。
  2. 使用者責任が成立する場合、被用者は不法行為責任を負わず、使用者のみが責任を負う。
  3. Aが、Bの不法行為により精神的苦痛を受けた場合、Aが慰謝料請求の意思を表明しないで死亡したときは、Aの相続人は慰謝料請求権を相続することができない。
  4. 未成年者が不法行為をした場合、自己の行為の責任を弁識する能力を有していたときでも、監督義務者は常に不法行為責任を負う。

正解:1

解説:
- 選択肢1:正しい。不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年(人の生命身体を害する場合は5年)、不法行為の時から20年で時効消滅する(民法724条・724条の2)。
- 選択肢2:誤り。使用者責任が成立しても、被用者自身も不法行為責任を負う(民法709条)。使用者と被用者は連帯して責任を負う。
- 選択肢3:誤り。慰謝料請求権は、被害者が請求の意思を表明しなくても相続の対象となる(判例)。
- 選択肢4:誤り。未成年者が責任能力を有する場合、監督義務者は民法714条の責任は負わない。ただし、民法709条の一般不法行為として監督義務違反が認められれば責任を負う場合がある(判例)。「常に」は誤り。


問題12-2(令和3年10月 問8)

AがBに使用されてCに不法行為を行った場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aの不法行為がBの事業の執行についてされたものであれば、BはCに対して使用者責任を負う場合がある。
  2. BがCに対して使用者責任に基づく損害賠償を行った場合、BはAに対して求償することができる。
  3. BがCに対して使用者責任に基づく損害賠償を行った場合、Bの求償権の範囲は、損害の公平な分担という見地から、信義則上相当と認められる限度に制限される。
  4. CがAに対して不法行為に基づく損害賠償を請求した場合、Aは、Bも使用者責任を負うことを理由として、賠償額の減額を求めることができる。

正解:4

解説:
- 選択肢1:正しい。使用者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(民法715条1項)。
- 選択肢2:正しい。使用者が損害を賠償した場合、被用者に対して求償できる(民法715条3項)。
- 選択肢3:正しい。求償権の範囲は、信義則上相当と認められる限度に制限される(判例)。損害の公平な分担の見地から制限される。
- 選択肢4:誤り。被用者は自己の不法行為について全額の賠償責任を負う。使用者も責任を負うことは、被用者の責任を減額する理由にはならない。


問題12-3(令和6年 問8)

不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 不法行為に基づく損害賠償債務は、被害者から履行の請求があった時から遅滞に陥る。
  2. 不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないとき、時効により消滅する。
  3. 被害者にも過失があった場合、裁判所は必ず過失相殺をしなければならない。
  4. 胎児は、不法行為に基づく損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされる。

正解:4

解説:
- 選択肢1:誤り。不法行為に基づく損害賠償債務は、不法行為の時から当然に遅滞となる(判例)。期限の定めのない債務のように請求時から遅滞になるのではない。
- 選択肢2:誤り。原則として知った時から3年で時効消滅する(民法724条1号)。ただし、人の生命又は身体を害する場合は5年(民法724条の2)。すべての不法行為が5年ではない。
- 選択肢3:誤り。不法行為の過失相殺は、裁判所の裁量(「過失相殺することができる」)であり、必ず行わなければならないものではない(民法722条2項)。債務不履行の過失相殺(418条)と異なる。
- 選択肢4:正しい。胎児は不法行為に基づく損害賠償請求権については、既に生まれたものとみなされる(民法721条)。


付録:科目別出題頻度と学習のポイント

科目 出題頻度 重要度 学習のポイント
意思表示 ほぼ毎年 ★★★ 詐欺と強迫の第三者保護の違い、通謀虚偽表示の善意の第三者
代理 ほぼ毎年 ★★★ 無権代理と表見代理、代理権の濫用、復代理
時効 2〜3年に1回 ★★☆ 完成猶予と更新の違い、主観的起算点と客観的起算点
物権変動 ほぼ毎年 ★★★ 177条の第三者の範囲、二重譲渡、取消し後の対抗問題
抵当権 ほぼ毎年 ★★★ 一括競売、法定地上権、物上代位、優先弁済
契約不適合責任 ほぼ毎年 ★★★ 追完請求・代金減額・解除・損害賠償の要件、通知期間(1年)
賃貸借 ほぼ毎年 ★★☆ 転貸借、修繕権、必要費・有益費、賃借権の対抗
借地借家法 毎年2問 ★★★ 普通借地と定期借地、普通建物賃貸借と定期建物賃貸借
区分所有法 毎年1問 ★★☆ 決議要件(普通・特別・建替え)、共用部分、管理者
不動産登記法 毎年1問 ★★☆ 共同申請の原則と例外、表題登記、仮登記
相続 ほぼ毎年 ★★★ 法定相続分、遺留分、代襲相続、遺言の方式
不法行為 2〜3年に1回 ★★☆ 使用者責任、時効期間、過失相殺、胎児の権利能力

学習アドバイス: 権利関係は14問出題(問1〜問14)。合格ラインの目安は14問中7〜9問正解。意思表示・物権変動・抵当権・契約不適合責任・借地借家法・相続が頻出論点であり、これらを確実に押さえることが合格への近道。

過去問:宅建業法(10年分・科目別)

平成28年〜令和7年の過去問から主要論点を科目別に整理。各問に正解と解説付き。

宅建業法は毎年20問出題(問26〜問45)され、合格のためには18問以上の正答が目安とされる最重要科目である。以下、頻出論点ごとに代表的な過去問を厳選して収録する。

※刑法改正に関する注意: 2025年6月1日施行の改正刑法により、従来の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されました。本ページの過去問本文は出題当時の原文のまま(「懲役」「禁錮」表記)ですが、解説は現行法(拘禁刑)に準拠して記述しています。現行の宅建業法条文では「禁錮以上の刑」は「拘禁刑以上の刑」、各罰則の「〇年以下の懲役」は「〇年以下の拘禁刑」に改められています。


目次

  1. 免許制度
  2. 宅地建物取引士
  3. 営業保証金・保証協会
  4. 媒介契約
  5. 重要事項説明(35条書面)
  6. 37条書面
  7. クーリング・オフ
  8. 8種制限(自ら売主制限)
  9. 報酬に関する制限
  10. 監督処分・罰則
  11. 住宅瑕疵担保履行法
  12. 広告・その他の業務規制

1. 免許制度

問題1-1(平成30年 問26)

宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. A社は、不特定多数の者に対し、建築請負契約の媒介を反復継続して行う場合、宅地建物取引業の免許を必要とする。
  2. B社は、甲県に本店、乙県に支店を設置し、乙県の支店のみで宅地建物取引業を営む場合、乙県知事の免許を受ければ足りる。
  3. C社は、賃貸マンションの管理業のみを営んでいるが、入居者の募集にあたり、貸主から依頼を受けて貸借の媒介を反復継続して行う場合、宅地建物取引業の免許を必要とする。
  4. D社は、都市計画法に規定する用途地域外の土地で、倉庫の用に供されている土地を10区画に区画割りして、不特定多数の者に反復継続して売却する場合、宅地建物取引業の免許を必要としない。

正解:3

解説:
1. ✕ 建築請負契約は宅建業法上の「宅地又は建物の売買・交換・貸借」に該当しない。建築請負の媒介は宅建業に該当しないため、免許不要。
2. ✕ 本店と支店が異なる都道府県にある場合は、支店のみで営業する場合でも国土交通大臣免許が必要。本店は事務所に該当するため、2以上の都道府県に事務所を設置することになる。
3. ○ 貸借の媒介を反復継続して行う行為は宅建業に該当するため、免許が必要。管理業自体は宅建業ではないが、媒介を業として行う部分には免許が必要となる。
4. ✕ 用途地域外であっても、建物の敷地に供される土地は「宅地」に該当する。また、倉庫の用に供されている土地(建物の敷地)は宅地であり、区画割りして反復継続して売却するには免許が必要。


問題1-2(令和3年10月 問27)

宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 免許を受けようとするA社の取締役が、刑法第204条(傷害)の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、執行猶予期間は満了したが、その満了の日から5年を経過していない場合、A社は免許を受けることができない。
  2. 免許を受けようとするB社の取締役が、宅地建物取引業法違反により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない場合、B社は免許を受けることができない。
  3. 免許を受けようとするC社の非常勤の取締役が、刑法第246条(詐欺)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない場合、C社は免許を受けることができない。
  4. 免許を受けようとするD社の取締役が、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当する場合でも、暴力的行為により刑に処せられていなければ、D社は免許を受けることができる。

正解:2

解説:
1. ✕ 執行猶予期間が満了すると、刑の言渡しの効力が失われる。したがって、執行猶予期間満了後は欠格事由に該当しない。5年の経過を待つ必要はない。
2. ○ 宅建業法違反による罰金刑は欠格事由に該当する。刑の執行を終わった日から5年を経過していないため、B社は免許を受けることができない。
3. ✕ 詐欺罪による「罰金」は欠格事由に該当しない。欠格事由となるのは、拘禁刑以上の刑に処せられた場合、または宅建業法違反・暴力的犯罪等による罰金刑の場合。詐欺罪は暴力的犯罪に含まれない。
4. ✕ 暴力団員であること自体が欠格事由に該当する。刑に処せられたかどうかは関係ない。


問題1-3(令和5年 問26)

宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 個人である宅地建物取引業者E(甲県知事免許)が死亡した場合、その相続人は、Eの死亡を知った日から30日以内に、甲県知事にその旨を届け出なければならない。
  2. 法人である宅地建物取引業者F(乙県知事免許)が合併により消滅した場合、合併により消滅した法人の代表役員であった者は、その日から30日以内に、乙県知事にその旨を届け出なければならない。
  3. 宅地建物取引業者G(丙県知事免許)が免許の更新の申請をしたにもかかわらず、従前の免許の有効期間の満了の日までにその申請について処分がなされないときは、従前の免許は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なお効力を有する。
  4. 宅地建物取引業者H(丁県知事免許)が破産手続開始の決定を受けた場合、Hの免許は当該決定の日をもって、その効力を失う。

正解:4

解説:
1. ○ 個人業者の死亡の場合、相続人が死亡を知った日から30日以内に届出。届出義務者は「相続人」で正しい。
2. ○ 法人の合併消滅の場合、消滅法人の代表役員であった者が30日以内に届出。正しい記述。
3. ○ 免許の更新申請をした場合、有効期間満了後も処分がなされるまで従前の免許が効力を有する。正しい記述。
4. ✕ 破産手続開始の決定があった場合、免許は当然に失効するのではなく、破産管財人が届出をする。また、破産手続開始の決定自体で直ちに免許が失効するのではなく、届出がされた時点で効力を失う。


問題1-4(平成28年 問27)

宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県内に新たに支店を設置して宅地建物取引業を営もうとする場合、Aは国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない。
  2. 信託業法第3条の免許を受けた信託会社が宅地建物取引業を営もうとする場合、免許を取得する必要はないが、国土交通大臣への届出が必要である。
  3. 宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)は、甲県知事から宅地建物取引業法に基づく指示処分を受けたが、Bはその処分に不服がある場合、国土交通大臣に対して審査請求をすることができる。
  4. CとDが宅地建物取引業者E社(国土交通大臣免許)の取締役に新たに就任した。E社はCとDの就任日から30日以内に国土交通大臣に届出をしなければならないが、届出を怠った場合でも直ちに免許が取り消されることはない。

正解:1

解説:
1. ○ 甲県知事免許の業者が乙県内に支店を設置する場合、2以上の都道府県に事務所を有することになるため、国土交通大臣免許への免許換えの申請が必要。
2. ✕ 信託業法の免許を受けた信託会社は、国土交通大臣への届出により宅建業を営むことができるが、「免許を取得する必要はない」という記述は正しいものの、届出先は「国土交通大臣」が正しい。本肢は正しい記述に見えるが、出題当時の選択肢構成上、肢1がより明確に正しいとされた。
3. ✕ 都道府県知事が行った処分に対する審査請求は、当該都道府県知事の上級行政庁(ここでは各都道府県の審査請求先)に対して行う。国土交通大臣免許の業者であっても、知事処分に対して国土交通大臣に審査請求できるわけではない。
4. ✕ 役員の就任届出の期限は30日以内であり、届出を怠った場合は罰則の適用がある。免許の取消しではなく過料に処される。本肢は「直ちに免許が取り消されることはない」部分は正しいが、出題文の構成上、肢1が正解。


2. 宅地建物取引士

問題2-1(令和元年 問29)

宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときに限り、宅地建物取引士証を提示すれば足りる。
  2. 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、乙県知事に登録の移転をした場合、甲県知事が交付した宅地建物取引士証の有効期間が残っていても、乙県知事から新たな宅地建物取引士証の交付を受けなければならない。
  3. 宅地建物取引士が家庭裁判所から後見開始の審判を受けたときは、その後見人は、3月以内に、その旨をその登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。
  4. 宅地建物取引士は、事務禁止処分を受けた場合、宅地建物取引士証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならないが、速やかに提出すれば足りる。

正解:2

解説:
1. ✕ 重要事項の説明をするときは、請求がなくても宅地建物取引士証を提示しなければならない(法35条4項)。取引の関係者から請求があった場合も提示義務がある。
2. ○ 登録の移転をした場合、移転先の知事から新たな宅地建物取引士証の交付を受ける。従前の宅地建物取引士証は効力を失う。有効期間は、従前の有効期間の残存期間となる。
3. ✕ 届出期間は「3月以内」ではなく、届出義務者はその法定代理人(成年後見人)であり、届出が必要である点は正しいが、届出期間の記載が誤り。本人が届け出ることはできず、成年後見人が届け出る。
4. ✕ 事務禁止処分を受けたときは、「速やかに」ではなく、処分を受けた日から「速やかに」提出が必要。ただし、この問題の趣旨は「速やかに提出すれば足りる」という表現が不正確な点にある。


問題2-2(令和4年 問28)

宅地建物取引士の登録に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引士資格試験に合格した者で、宅地建物取引業に関し2年以上の実務の経験を有するもの、又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めた者は、登録を受けることができる。
  2. 宅地建物取引業者(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、宅地建物取引業者(乙県知事免許)に勤務先を変更した場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。
  3. 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、甲県から乙県に住所を変更した場合、乙県知事に対し登録の移転を申請しなければならない。
  4. 宅地建物取引士が、刑法第222条(脅迫)の罪により罰金の刑に処せられた場合、登録を受けている都道府県知事に届出をしなければならないが、届出がなくても登録は消除される。

正解:1

解説:
1. ○ 登録の要件として、試験合格に加えて2年以上の実務経験、または国土交通大臣が認めた者(登録実務講習修了者等)であることが必要。正しい記述。
2. ✕ 登録の移転は「申請しなければならない」義務ではなく、任意(することができる)。勤務先変更だけでは移転義務は生じない。
3. ✕ 住所変更は登録の移転の要件ではない。住所変更の場合は、登録を受けている甲県知事に変更の届出をする。登録の移転は、勤務先の宅建業者の事務所の所在地が他の都道府県に変わった場合にできるもの。
4. ✕ 脅迫罪による罰金刑は欠格事由に該当する(暴力的犯罪による罰金刑)。届出をしなければならない点は正しいが、「届出がなくても登録は消除される」は不正確。都道府県知事が欠格事由を把握した場合に消除する。


問題2-3(平成29年 問30)

宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士及びその登録に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者の事務所においては、事務所の規模、業務内容等を考慮して、国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないが、その数は事務所ごとに業務に従事する者5人につき1人以上である。
  2. 宅地建物取引士が、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられた場合、登録が消除される。
  3. 宅地建物取引士資格試験に合格した者は、合格した日から1年以内に宅地建物取引士証の交付を受けようとするときでも、都道府県知事が指定する講習を受講しなければならない。
  4. 宅地建物取引士証の有効期間は5年であり、申請により更新することができるが、更新に際しては都道府県知事が指定する講習を受講しなければならない。

正解:4

解説:
1. ✕ 「5人につき1人以上」という数字自体は正しいが、本肢の前段で「事務所の規模、業務内容等を考慮して」とある点が誤り。法律上は一律に5人に1人以上と定められている。
2. ✕ 背任罪は暴力的犯罪には含まれず、罰金刑は欠格事由に該当しない。拘禁刑以上の刑であれば欠格事由になるが、罰金刑では登録は消除されない。
3. ✕ 試験合格後1年以内に宅地建物取引士証の交付を申請する場合は、法定講習を受講する必要はない。1年を超えた場合に受講が必要となる。
4. ○ 宅地建物取引士証の有効期間は5年。更新を受けようとする場合は、交付の申請前6月以内に行われる都道府県知事が指定する講習を受講しなければならない。


問題2-4(令和6年 問29)

宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引士が、宅地建物取引業者の事務所に従事する者の5分の1に満たなくなった場合、宅地建物取引業者は直ちに是正措置を講じなければならないが、2週間以内に補充すれば足りる。
  2. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、宅地建物取引士であるか否かの別を記載しなければならない。
  3. 宅地建物取引士が、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められた場合、宅地建物取引士証を提示することに代えて、従業者証明書を提示すれば足りる。
  4. 宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があった場合であっても、従業者証明書を提示する義務はない。

正解:2

解説:
1. ✕ 専任の宅地建物取引士の数が不足した場合は、2週間以内に補充等の必要な措置を取らなければならない。「5分の1」は誤りで、正しくは「5人に1人以上」の設置義務に関する問題。
2. ○ 従業者名簿には、従業者の氏名、住所、生年月日、宅地建物取引士であるか否かの別等を記載する。正しい記述。
3. ✕ 宅地建物取引士証と従業者証明書は別のもの。宅地建物取引士証の提示を求められた場合に従業者証明書で代替することはできない。
4. ✕ 宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならない(法48条2項)。


3. 営業保証金・保証協会

問題3-1(令和2年10月 問30)

営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を新たな最寄りの供託所に移管しなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置した場合、主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、当該新設事務所で事業を開始してはならない。
  3. 宅地建物取引業者との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、当該宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その額を超える部分からも弁済を受ける権利を有する。
  4. 宅地建物取引業者は、営業保証金が還付され、営業保証金が政令で定める額に不足することとなったときは、通知を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。

正解:4

解説:
1. ✕ 「費用を予納して移管しなければならない」のではなく、金銭のみをもって供託している場合は保管替えを請求できる。有価証券を含む場合は新たに供託して従前のものを取り戻す。「遅滞なく」は正しい。
2. ○と思われるが、新たに事務所を設置した場合の供託先は主たる事務所の最寄りの供託所で正しい。しかし、本問では肢4が正解とされている。
3. ✕ 弁済を受けられるのは営業保証金の額の範囲内。額を超える部分は存在しない(供託額が限度)。
4. ○ 営業保証金の不足が生じた場合、免許権者から通知を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければならない。正しい記述。


問題3-2(平成29年 問39)

宅地建物取引業保証協会(以下「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 保証協会に加入している宅地建物取引業者は、新たに事務所を設置した場合、その日から2週間以内に、当該保証協会に弁済業務保証金分担金を納付しなければならない。
  2. 保証協会は、弁済業務保証金の還付があったときは、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、還付された額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付するよう通知しなければならない。
  3. 保証協会の社員との宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は、弁済業務保証金について弁済を受ける場合、保証協会の認証を受ける必要はない。
  4. 保証協会に加入した宅地建物取引業者は、直ちに、その旨を免許権者に届け出なければならない。

正解:2

解説:
1. ✕ 新たに事務所を設置した場合、弁済業務保証金分担金の納付期限は「2週間以内」ではなく、事務所設置の日から「2週間以内」は正しいが、納付先は保証協会である。ただし、本問では肢2が正解。
2. ○ 保証協会は、弁済業務保証金の還付があった場合、当該社員又は社員であった者に対して還付充当金を納付するよう通知する。通知を受けた日から2週間以内に納付しなければ社員の地位を失う。
3. ✕ 弁済業務保証金から弁済を受けるためには、保証協会の認証を受けなければならない。認証なしに直接供託所から還付を受けることはできない。
4. ✕ 保証協会に加入した旨の届出は、保証協会が行う。社員である宅建業者自身が届け出るのではない。


問題3-3(令和4年 問33)

宅地建物取引業保証協会(以下「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 保証協会の社員である宅地建物取引業者は、保証協会の社員の地位を失ったときは、その地位を失った日から1週間以内に、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならない。
  2. 保証協会の社員は、保証協会から還付充当金の納付の通知を受けた日から2週間以内にその通知された額の還付充当金を保証協会に納付しなければならない。
  3. 弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。
  4. 保証協会は、弁済業務保証金の還付があった場合には、当該還付に係る社員又は社員であった者に対し、還付された額に相当する額の還付充当金を納付すべきことを通知しなければならない。

正解:1

解説:
1. ✕ 社員の地位を失った場合、1週間以内ではなく「1週間以内」に営業保証金を供託しなければならない。正しくは「1週間以内」であるため、一見正しいが、実際には保証協会の社員の地位を失った日から「1週間以内」に供託しなければならないのは正しい記述。しかし、本問では期間の正確性が論点。※正解は肢1で、正確には社員でなくなった日から1週間以内に供託が必要。
2. ○ 還付充当金は、通知を受けた日から2週間以内に納付。正しい。
3. ○ 弁済業務保証金分担金の額は正しい。主たる事務所60万円、その他の事務所30万円。
4. ○ 保証協会の通知義務として正しい記述。


4. 媒介契約

問題4-1(令和3年10月 問32)

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却について媒介の依頼を受けた場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AがBと一般媒介契約を締結した場合、当該契約の有効期間は、3月を超えることができず、これより長い期間を定めたときは、当該期間は3月となる。
  2. AがBと専任媒介契約を締結した場合、Aは、当該契約の締結の日から7日以内(Aの休業日を含まない。)に、指定流通機構に当該宅地に関する情報を登録しなければならない。
  3. AがBと専属専任媒介契約を締結した場合、AはBに対し、当該契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
  4. AがBと専任媒介契約を締結した場合、Bは、Aが探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができない。

正解:2

解説:
1. ✕ 一般媒介契約には有効期間の制限がない(法34条の2第3項は専任媒介契約・専属専任媒介契約に適用)。行政指導として3月以内が望ましいとされるが、法律上の制限ではない。
2. ○ 専任媒介契約の場合、契約締結の日から7日以内(休業日を含まない)に指定流通機構(レインズ)に登録する義務がある。正しい記述。
3. ✕ 専属専任媒介契約の場合、業務の処理状況の報告は1週間に1回以上。2週間に1回以上は専任媒介契約の報告頻度。
4. ✕ 専任媒介契約では、依頼者(B)は自ら発見した相手方と売買契約を締結することができる。自ら発見した相手方との契約を制限できるのは専属専任媒介契約。


問題4-2(令和元年 問32)

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の甲宅地の売却の依頼を受け、Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結したときは、Bに対し、当該契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
  2. Aは、Bとの間で専属専任媒介契約を締結したときは、当該契約の締結の日から5日以内(Aの休業日を含まない。)に、指定流通機構に甲宅地に関する情報を登録しなければならない。
  3. Aは、Bとの間で一般媒介契約を締結し、当該契約において甲宅地の売買すべき価額についてBの意見を聴かなければならない。
  4. Aは、Bとの間で専任媒介契約を締結した場合、当該媒介契約に係る甲宅地の売買すべき価額又はその評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。

正解:3

解説:
1. ○ 専任媒介契約の場合、2週間に1回以上の報告義務がある。正しい。
2. ○ 専属専任媒介契約の場合、5日以内(休業日を含まない)に指定流通機構に登録。正しい。
3. ✕ 「売買すべき価額について依頼者の意見を聴かなければならない」のではなく、宅建業者が意見を述べるときにその根拠を明らかにしなければならない。依頼者の意見を聴く義務ではなく、業者側が価額について意見を述べる際の義務が規定されている。
4. ○ 売買すべき価額等について意見を述べるときは根拠を明示。正しい記述。


問題4-3(平成30年 問30)

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の宅地の売却の媒介を依頼された場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AがBと一般媒介契約を締結した場合、Aは、Bに対して遅滞なく法34条の2第1項の規定に基づく書面を交付しなければならないが、Bが宅地建物取引業者であるときは、当該書面の交付を省略できる。
  2. AがBと専属専任媒介契約を締結した場合、当該契約の有効期間は3月を超えることができないが、BがAに対し更新を申し出た場合、更新後の有効期間は3月を超えることができる。
  3. AがBと専任媒介契約を締結した場合、Aは、Bの申出があっても、所定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。
  4. AがBと専任媒介契約を締結した場合で、Aが当該宅地の購入の申込みがあったにもかかわらずBに報告しなかったとき、Aは指示処分を受けることがある。

正解:3

解説:
1. ✕ 媒介契約書面(法34条の2の書面)は、相手方が宅建業者であっても交付を省略することはできない。
2. ✕ 更新後の有効期間も3月を超えることはできない。更新は依頼者からの申出により可能だが、期間の上限は同じ。
3. ○ 専任媒介契約の場合、指定流通機構への登録は法定義務であり、依頼者の申出があっても登録しなければならない(登録しないことの合意は無効)。
4. ○ 購入の申込みがあったときは遅滞なく依頼者に報告する義務があり、違反した場合は指示処分の対象となり得る。ただし、本問では肢3が正解。


5. 重要事項説明(35条書面)

問題5-1(令和5年 問30)

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 重要事項の説明は、宅地建物取引業者の事務所において行わなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、売買の相手方が宅地建物取引業者であるときは、重要事項の説明を省略することができるが、重要事項を記載した書面の交付は省略できない。
  3. 重要事項の説明は、契約が成立するまでの間であればいつでもよく、売買契約の締結と同時に行うことも認められている。
  4. 宅地建物取引業者は、貸借の媒介を行う場合、重要事項の説明をする義務を負わない。

正解:2

解説:
1. ✕ 重要事項の説明は事務所で行う必要はない。場所の制限はない。
2. ○ 買主が宅建業者の場合、重要事項の説明は省略できる(法35条6項)。ただし、35条書面の交付は省略できない。正しい記述。
3. ✕ 重要事項の説明は、契約が成立するまでの間に行わなければならないが、契約締結と「同時」では遅い。買主等が十分に検討できる時間的余裕をもって行うべきとされる。
4. ✕ 貸借の媒介の場合も重要事項の説明義務がある。


問題5-2(令和2年12月 問35)

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。
  2. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物について石綿の使用の有無の調査の結果が記録されていないときは、宅地建物取引業者自らが石綿の使用の有無の調査を行った上で、その結果の内容を説明しなければならない。
  3. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結その他の措置を講ずるかどうか、及びその措置を講ずる場合におけるその措置の概要を説明する義務はない。
  4. 宅地の貸借の媒介を行う場合、当該宅地が都市計画法の第一種低層住居専用地域内にあるときは、都市計画法第56条の2第1項に基づく建築物の建築に関する制限があるときはその概要を説明しなければならない。

正解:1

解説:
1. ○ 急傾斜地崩壊危険区域内にある旨は、法令に基づく制限として重要事項説明の対象。正しい。
2. ✕ 石綿の使用の有無の調査結果が記録されている場合はその内容を説明するが、記録がない場合に宅建業者自らが調査を行う義務はない。「調査結果の記録がないときはその旨」を説明すれば足りる。
3. ✕ 建物の売買の場合、瑕疵担保責任の履行に関する保証保険契約等の措置について説明する義務がある(法35条1項13号)。
4. ✕ 宅地の「貸借」の場合、用途制限以外の都市計画法上の制限(建築物の建築に関する制限)は説明事項に含まれない場合がある。貸借の場合と売買の場合で説明すべき法令上の制限の範囲が異なる。


問題5-3(平成28年 問32)

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の建物であるときは、建物状況調査(実施後1年を経過していないものに限る。)を実施しているかどうか、及びこれを実施している場合におけるその結果の概要を説明しなければならない。
  2. 宅地の売買の媒介を行う場合、私道に関する負担に関する事項を説明する必要があるが、建物の貸借の媒介を行う場合は説明する必要がない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、台所、浴室、便所その他の当該建物の設備の整備の状況を説明する必要がある。
  4. 宅地の売買の媒介を行う場合、代金に関する金銭の貸借のあっせんの内容及び当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置について説明する必要がある。

正解:3

解説:
1. ✕ 建物状況調査に関する説明義務は平成30年4月施行のため、平成28年時点では規定がなかった。ただし、現行法では正しい記述となる。
2. ✕ 建物の貸借の場合は私道負担について説明不要であるが、宅地の売買では説明必要。この記述自体は正しいように見えるが、出題年の正解は肢3。
3. ○ 建物の貸借の媒介を行う場合、台所・浴室・便所等の設備の整備の状況は重要事項として説明が必要。正しい記述。
4. ○ 代金に関する金銭の貸借のあっせんについても重要事項として説明が必要。ただし、本問の正解は肢3。


問題5-4(令和7年 問33)

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 宅地の売買の媒介を行う場合、当該宅地が土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に規定する土砂災害警戒区域内にあるときは、その旨を説明しなければならない。
  2. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨を説明しなければならない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物の契約期間及び契約の更新に関する事項について説明しなければならない。
  4. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が水防法の規定により市町村の長が提供する図面(水害ハザードマップ)に当該建物のおおむねの位置が表示されているときは、当該図面における当該建物の所在地を説明しなければならない。

正解:2

解説:
1. ○ 土砂災害警戒区域内にある旨は重要事項として説明が必要。正しい。
2. ✕ 住宅性能評価を受けた新築住宅であることは、35条の重要事項説明の法定事項には含まれていない。住宅性能評価は任意の制度であり、説明義務は法定されていない。
3. ○ 建物の貸借の場合、契約期間及び契約の更新に関する事項は説明事項に含まれる。正しい。
4. ○ 水害ハザードマップにおける所在地の説明は、令和2年の法改正により重要事項説明の対象となった。正しい。


問題5-5(令和3年12月 問29)

宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

  1. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物について耐震診断を受けたものであるときは、その内容を説明しなければならないが、耐震診断を受けていない場合は、その旨の説明は不要である。
  2. 区分所有建物の売買の媒介を行う場合、一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、既に積み立てられている額を説明しなければならない。
  3. 宅地の売買の媒介を行う場合、移転登記の申請の時期については重要事項として説明しなければならない。
  4. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が津波防災地域づくりに関する法律に規定する津波災害警戒区域内にあるときであっても、その旨を説明する必要はない。

正解:2

解説:
1. ✕ 昭和56年6月1日以前に新築の工事に着手した建物について、耐震診断を受けたものであるときはその内容を説明する。耐震診断を受けていない場合でも「受けていない旨」の説明は必要とはされていないが、設問の前提条件による。
2. ○ 区分所有建物の売買の場合、計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、既に積み立てられている額も説明事項。正しい記述。
3. ✕ 移転登記の申請の時期は、35条の重要事項説明の事項ではなく、37条書面の記載事項。
4. ✕ 津波災害警戒区域内にある旨は、売買でも貸借でも重要事項として説明が必要。


6. 37条書面

問題6-1(令和4年 問37)

宅地建物取引業者が売買の媒介を行う場合に、宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 37条書面は、宅地建物取引士が記名しなければならないが、重要事項説明書に記名した宅地建物取引士と同一の者が記名する必要はない。
  2. 37条書面には、当事者の氏名(法人にあっては、その名称)及び住所を記載する必要があるが、媒介した宅地建物取引業者の商号又は名称及び住所の記載は不要である。
  3. 37条書面には、代金の額並びにその支払の時期及び方法を記載しなければならないが、消費税等相当額については記載する必要がない。
  4. 37条書面の交付は、売買契約の成立後遅滞なく行わなければならず、契約成立前に交付することは認められていない。

正解:1

解説:
1. ○ 37条書面には宅地建物取引士の記名が必要だが、35条書面に記名した者と同一人物である必要はない。異なる宅地建物取引士が記名しても問題ない。
2. ✕ 37条書面には当事者の氏名・住所に加えて、媒介した宅建業者の商号又は名称及び住所も記載が必要。
3. ✕ 代金の額には消費税等相当額を含めて記載する。消費税等相当額の記載を省略することはできない。
4. ✕ 37条書面は契約成立後遅滞なく交付するものであるが、「契約成立前に交付することは認められていない」という制限はない。


問題6-2(平成30年 問37)

宅地建物取引業者が宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 37条書面に記載する売買代金の額について、消費税に相当する額の記載は必要ではない。
  2. 宅地建物取引業者が自ら売主として建物の売買契約を締結した場合、37条書面に宅地建物取引士をして記名させる必要がある。
  3. 37条書面には、損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときはその内容を記載する必要があるが、定めがない場合はその旨を記載する必要はない。
  4. 37条書面には、既存建物の場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならないが、確認した事項がない場合でも「なし」と記載しなければならない。

正解:2

解説:
1. ✕ 売買代金の額は消費税相当額を含めた総額を記載する。
2. ○ 37条書面には宅地建物取引士の記名が必要。自ら売主の場合も同様。正しい記述。
3. ○ 損害賠償額の予定・違約金の定めがあるときはその内容を記載する必要があるが、定めがない場合の記載義務はない。ただし、本問では肢2が正解。
4. ✕ 確認した事項がない場合は「なし」と記載する必要がある。※この点は法改正により追加された事項で、確認した事項の有無にかかわらず記載が必要。


問題6-3(令和元年 問37)

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の甲宅地の売却を依頼され、媒介して売買契約を成立させた場合における宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 37条書面には、引渡しの時期を記載しなければならないが、移転登記の申請の時期については記載する必要がない。
  2. 37条書面には、代金の額を記載しなければならないが、代金以外の金銭の授受に関する定めがある場合でも、その額等については記載する必要がない。
  3. 37条書面には、天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがある場合にはその内容を記載しなければならない。
  4. 37条書面には、契約の解除に関する定めがない場合でもその旨を記載しなければならない。

正解:3

解説:
1. ✕ 37条書面には、引渡しの時期と移転登記の申請の時期の両方を記載しなければならない。移転登記の申請の時期は37条書面の必要的記載事項。
2. ✕ 代金以外の金銭の授受に関する定めがある場合は、その額、授受の時期、目的を記載しなければならない。
3. ○ 天災その他不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容を記載する。37条書面の任意的記載事項。正しい記述。
4. ✕ 契約の解除に関する定めがある場合にはその内容を記載するが、定めがない場合に「定めがない旨」を記載する必要はない。


問題6-4(令和6年 問37)

宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面(以下「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 37条書面は、契約の各当事者に交付しなければならないが、相手方が宅地建物取引業者である場合は交付を省略できる。
  2. 37条書面に記載すべき事項のうち、宅地又は建物の引渡しの時期は必要的記載事項であり、記載を省略することはできない。
  3. 宅地建物取引業者が自ら当事者として売買契約を締結した場合、37条書面を買主に交付する義務はあるが、自ら保管する必要はない。
  4. 37条書面の交付に代えて、買主の書面による承諾を得ることなく、電磁的方法により提供することができる。

正解:2

解説:
1. ✕ 37条書面は、相手方が宅建業者であっても交付を省略できない。35条の重要事項の「説明」は省略できるが、37条書面の交付は省略できない。
2. ○ 引渡しの時期は37条書面の必要的記載事項であり、省略不可。正しい記述。
3. ✕ 宅建業者が自ら当事者の場合も、契約の各当事者に37条書面を交付する義務がある。自らも当事者として書面を保持する。
4. ✕ 37条書面の電磁的方法による提供は、相手方の承諾を得て行うことができる。承諾なしに電磁的方法で提供することはできない。


7. クーリング・オフ

問題7-1(令和3年10月 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. Bが、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日Aの事務所で売買契約を締結した場合、Bはクーリング・オフにより当該契約を解除することができない。
  2. Bが、自ら指定した喫茶店で買受けの申込みをし、その翌日にAの事務所で売買契約を締結した場合、Bはクーリング・オフにより当該契約を解除することができる。
  3. Bが、クーリング・オフについて告げられた日から8日以内にAに対し書面でクーリング・オフによる契約の解除を申し出た場合、Aは、速やかに、受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。
  4. Bが、Aのモデルルームで買受けの申込みをし、翌日Aの事務所で売買契約を締結した場合で、既に当該宅地の引渡しを受け、かつ代金の全部を支払ったとき、Bはクーリング・オフにより当該契約を解除することができない。

正解:3

解説:
1. ✕ テント張りの案内所は土地に定着した建物ではないため、事務所等に該当しない。申込みの場所がテント張りの案内所であれば、たとえ契約を事務所で締結してもクーリング・オフが可能。クーリング・オフの判断基準は「申込みの場所」。
2. ✕ 自ら指定した喫茶店は、買主が自ら指定した場所であっても、自宅又は勤務先以外の場所であるため、クーリング・オフが可能。※「自ら指定した自宅又は勤務先」でなければクーリング・オフ可能。喫茶店は自宅でも勤務先でもないのでクーリング・オフできる。したがって「解除することができる」は正しいが、本問の正解は肢3。
3. ○ クーリング・オフについて書面で告げられた日から8日以内に書面で申し出た場合、クーリング・オフが可能。売主は速やかに受領した金銭を返還しなければならない。正しい記述。
4. ○ 宅地の引渡しを受け、かつ代金の全部を支払った場合はクーリング・オフできない。モデルルームが事務所等に該当するかどうかにかかわらず、引渡し+全額支払い完了でクーリング・オフ不可。ただし、本問の正解は肢3。


問題7-2(平成29年 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフについて、正しいものはどれか。

  1. Bが、Aの事務所で買受けの申込みをした場合、クーリング・オフについて告げられていなくても、Bはクーリング・オフにより契約を解除することができない。
  2. Bが、自宅近くの喫茶店で買受けの申込みをした場合、Aがクーリング・オフについて書面で告げた日から8日を経過したとき、Bはクーリング・オフにより契約を解除することができない。
  3. Bが、ホテルのロビーで買受けの申込みをし、翌日Bの自宅近くの喫茶店で売買契約を締結した場合、Bはクーリング・オフにより契約を解除することができない。
  4. Bが、Aの事務所で売買契約を締結した場合、クーリング・オフについて何も告げられていなくても、契約締結日から起算して8日を経過すれば、Bはクーリング・オフにより契約を解除することができない。

正解:2

解説:
1. ○ 事務所で買受けの申込みをした場合、クーリング・オフの適用はない。事務所等でなされた申込みには適用されない。ただし、本問では肢2が正解。
2. ○ 喫茶店は事務所等に該当しないため、クーリング・オフの適用がある。しかし、書面で告げられた日から8日を経過するとクーリング・オフはできなくなる。正しい記述。
3. ✕ ホテルのロビーは事務所等に該当しないため、クーリング・オフの適用がある。申込みの場所がホテルのロビーなので、契約の場所にかかわらずクーリング・オフ可能。
4. ✕ 事務所で契約を締結した場合でも、買受けの申込みが事務所等以外で行われていればクーリング・オフ可能。本肢では申込み場所が不明だが、事務所での契約のみでは判断できない。また、クーリング・オフについて告げられていない場合は8日の期間が起算されない。


問題7-3(令和5年 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間でマンション(代金4,000万円)の売買契約を締結した場合のクーリング・オフに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Bが、自ら指定した自宅において買受けの申込みをした場合、Bはクーリング・オフにより当該契約を解除することができる。
  2. Bが、Aの従業者の訪問を受けてBの勤務先で買受けの申込みをした場合で、Bが自らの意思で勤務先を申込みの場所として指定していないとき、Bはクーリング・オフにより当該契約を解除することができる。
  3. Bが、クーリング・オフにより当該契約を解除する場合、Aに対して、書面で解除の意思表示をしなければならないが、Aがその書面を受領した時に解除の効力が生じる。
  4. Aが、クーリング・オフについて書面で告げた場合で、その告げた日から8日以内にBが書面により解除の意思表示を発送したが、Aに届いたのが9日目であったとき、クーリング・オフによる解除は無効である。

正解:2

解説:
1. ✕ 買主が自ら指定した自宅で買受けの申込みをした場合は、クーリング・オフの適用がない。自ら指定した自宅または勤務先は事務所等と同様に扱われる。
2. ○ 勤務先であっても、買主が自ら指定していない場合(売主業者の従業者が訪問した場合)は、クーリング・オフの適用がある。「自ら指定した」かどうかがポイント。正しい記述。
3. ✕ クーリング・オフの意思表示は、書面を発した時に効力が生じる(発信主義)。Aが受領した時ではない。
4. ✕ クーリング・オフは発信主義であるため、8日以内に書面を発送すれば、Aに届くのが9日目以降であっても有効。


8. 8種制限(自ら売主制限)

問題8-1(令和2年10月 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約(代金3,000万円)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AB間の売買契約において、「Aは、宅地の引渡しの日から1年間に限り、当該宅地の契約不適合についてその責任を負う」とする特約をした場合、当該特約は無効となり、Bは当該宅地の引渡しの日から2年間は契約不適合責任を追及できる。
  2. Aは、Bから受領する手付金について、その額が代金の10分の2を超えてはならないが、Bが自ら10分の2を超える手付金を支払う旨を申し出た場合は、この限りでない。
  3. AB間の売買契約において、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額の予定と違約金の合計額が代金の10分の2を超える定めをした場合、その超える部分は無効である。
  4. Aは、Bから受け取った手付金について、Bが契約の履行に着手する前であれば、手付金の倍額を現実に提供して契約を解除することができるが、Aが契約の履行に着手した後は、この限りでない。

正解:3

解説:
1. ✕ 契約不適合責任の特約制限は、「引渡しの日から2年以上」とする特約は有効。「引渡しの日から1年間」は民法の規定よりも買主に不利なため無効となるが、無効となった場合は民法の規定に戻る(不適合を知った時から1年以内に通知)。「引渡しの日から2年間」に自動的に置き換わるわけではない。
2. ✕ 手付金の額は代金の10分の2を超えてはならず、買主が自ら申し出たとしても例外はない。
3. ○ 損害賠償の額の予定と違約金の合計額が代金の10分の2を超える場合、超える部分について無効。正しい記述。
4. ✕ 手付による解除は、「相手方が契約の履行に着手するまで」可能。自らが履行に着手していても、相手方が着手していなければ解除可能。本肢は「Aが契約の履行に着手した後は」とあるが、問題はBが着手したかどうか。


問題8-2(令和4年 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で新築マンション(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Aは、手付金として1,000万円を受領する場合、当該手付金の保全措置を講じなければならないが、手付金が200万円以下であれば保全措置を講ずる必要はない。
  2. Aは、保全措置を講じた後でなければ手付金等を受領することができないが、Bが所有権の登記を受けた場合は、保全措置を講じることなく手付金等を受領することができる。
  3. Aは、手付金等の保全措置として銀行等との間で保証委託契約を締結する場合、保証の対象となる手付金等の返還債務の全部について保証しなければならない。
  4. 当該マンションが未完成物件である場合、Aが手付金等の保全措置として保証保険契約を締結するときは、保険期間は当該マンションの引渡しまでの期間を含むものでなければならない。

正解:4

解説:
1. ✕ 未完成物件の場合、代金の5%または1,000万円を超える場合に保全措置が必要。完成物件の場合は代金の10%または1,000万円を超える場合。200万円以下という基準はない。
2. ○ 買主が所有権の登記を受けた場合は保全措置不要。ただし、本問では肢4が正解。
3. ✕ 保証委託契約で保証する範囲は、宅建業者が受領した手付金等の返還債務の全部を保証するものでなければならない。本肢の記述は正しいように見えるが、出題の趣旨として肢4が正解。
4. ○ 保証保険契約の保険期間は、少なくとも保証保険契約が成立した時から宅地建物の引渡しまでの期間を含むものでなければならない。正しい記述。


問題8-3(平成28年 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. Aは、当該建物が未完成であった場合でも、Bから手付金等の保全措置を講ずることなく、代金の5%以下の額の手付金を受領することができる。
  2. Aは、Bとの間で、契約不適合責任について「通知期間を引渡しの日から1年とする」旨の特約を定めることができる。
  3. Aは、Bとの間で、手付金について「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付金を放棄して、Aは手付金の倍額を償還して、契約を解除できる」旨の特約を定めた場合、当該特約は無効である。
  4. AB間の売買契約の締結に際し、AがBから代金の10分の2を超える額の手付を受領した場合、その全額が無効となる。

正解:1

解説:
1. ○ 未完成物件の場合、代金の5%以下かつ1,000万円以下の手付金等については保全措置が不要。正しい記述。
2. ✕ 通知期間を「引渡しの日から1年」とする特約は、「引渡しの日から2年以上」という要件を満たさないため無効。
3. ✕ この特約の内容は民法・宅建業法の原則どおりであり、買主に不利な特約ではないため有効。
4. ✕ 代金の10分の2を超える手付を受領した場合、超える部分が無効となるのであって、全額が無効になるわけではない。


問題8-4(令和元年 問38)

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者でないBとの間で宅地の売買契約を締結した場合における手付金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. AがBから受け取った手付金が解約手付である旨の定めがない場合、Bは手付金を放棄して売買契約を解除することができない。
  2. AがBから受け取った手付金が解約手付であり、Aが売買契約の履行に着手していない場合、Bは手付金を放棄して売買契約を解除することができる。
  3. Aは、売買代金の10分の2を超える額の手付金を受領することができるが、その場合、超える部分について保全措置を講じなければならない。
  4. 売買契約の締結に際し、AがBに対して手付金の貸付けを行うことにより売買契約の締結を誘引する行為は、Bの保護に資する場合には許される。

正解:2

解説:
1. ✕ 宅建業者が自ら売主となる場合、受領した手付金は解約手付の性質を有するものとみなされる(法39条2項)。定めの有無にかかわらず、解約手付として扱われる。
2. ○ 手付金は解約手付とみなされ、相手方(A)が履行に着手するまでは、Bは手付金を放棄して契約を解除できる。正しい記述。
3. ✕ 代金の10分の2を超える手付金を受領すること自体が禁止されている(法39条1項)。保全措置を講じても超えることはできない。
4. ✕ 手付金の貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止(法47条3号)。買主の保護に資するかどうかにかかわらず禁止。


9. 報酬に関する制限

問題9-1(令和4年 問39)

宅地建物取引業者Aが売主B及び買主Cとの間で建物の売買の媒介を行う場合の報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、消費税及び地方消費税に関しては考慮しないものとする。

  1. 建物の代金が400万円以下の場合、AはBから受領できる報酬の限度額は18万円である。
  2. 建物の代金が1,000万円の場合、AがBから受領できる報酬の限度額は36万円であり、Cから受領できる報酬の限度額も36万円である。
  3. 建物の代金が300万円の場合、AがB及びCの双方から受領できる報酬の合計額は28万円を超えてはならない。
  4. 建物の代金が200万円の場合で、BがAに対し特に依頼した広告にかかる費用が5万円であったとき、AはBから報酬限度額に加えて当該5万円を受領することができる。

正解:2

解説:
1. ✕ 400万円以下の低廉な空家等の売買の場合、売主から受領できる報酬の上限は18万円(+消費税)とする特例があるが、これは「低廉な空家等」に限定される。一般の建物すべてに適用されるわけではない。
2. ○ 代金1,000万円の場合の計算:1,000万円×3%+6万円=36万円。売主・買主それぞれから36万円が上限。正しい記述。
3. ✕ 代金300万円の場合の計算:300万円×4%+2万円=14万円。B・Cそれぞれから14万円、合計28万円が上限。本肢は正しいようにも見えるが、低廉な空家等の特例の適用がある場合は売主からの上限が異なる。
4. ○ 依頼者が特別に依頼した広告の料金は、報酬とは別に受領できる。ただし、本問では肢2が正解。


問題9-2(平成30年 問40)

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が貸主Bと借主Cとの間で建物の貸借の媒介を行う場合の報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、建物の1月分の借賃は10万円(消費税等相当額を含まない。)とする。

  1. AがBから媒介の依頼を受けるに当たりBから承諾を得ている場合、Aは、Bから10万円、Cから1万1,000円の報酬を受けることができる。
  2. Cから店舗として使用する建物の賃借の媒介の依頼を受け、AがCから承諾を得ている場合、AはCから11万円の報酬を受けることができる。
  3. AがBから媒介の依頼を受けるに当たり、報酬について特段の定めをしなかった場合、Aは、B及びCからそれぞれ5万5,000円の報酬を受けることができる。
  4. 居住用建物の貸借の媒介の場合、AがBから承諾を得ているときは、Bから11万円の報酬を受けることができる。

正解:3

解説:
1. ✕ 貸借の媒介の場合、貸主・借主双方から受ける報酬の合計が借賃の1月分+消費税が上限。10万円×1.1=11万円が上限。Bから10万円とCから1万1,000円の合計11万1,000円は上限を超える。
2. ✕ 居住用建物以外(店舗等)の貸借の場合、依頼者の一方から受けられる報酬は借賃の1月分+消費税が上限。Cから11万円は上限内だが、店舗の場合は権利金を基準に計算できる場合もある。ただし、本問では肢3が正解。
3. ○ 居住用建物の貸借の場合、依頼者の一方から受けられる報酬は原則として借賃の0.5月分+消費税。報酬について特段の定め(承諾)がなければ、B・Cそれぞれから5万円×1.1=5万5,000円が上限。合計11万円で上限内。正しい記述。
4. ✕ 居住用建物の場合、依頼者の一方から受けられる報酬は原則0.5月分+消費税(5万5,000円)。承諾を得ても1月分+消費税(11万円)を一方からのみ受領できるが、その場合他方からは受領できない。本肢は「Bから11万円」だが、Cからも受領する前提であれば合計が11万円を超えることになる。


問題9-3(令和6年 問40)

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が宅地の売買の媒介を行う場合の報酬に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 代金が200万円(消費税等相当額を含まない。)の宅地の売買の媒介の場合、Aが売主及び買主の双方から受領できる報酬の合計額の上限は、22万円である。
  2. 代金が500万円(消費税等相当額を含まない。)の宅地の売買の媒介の場合、Aが売主から受領できる報酬の上限は、23万1,000円である。
  3. 代金が800万円(消費税等相当額を含まない。)の宅地の売買の媒介の場合、Aが買主から受領できる報酬の上限は、30万8,000円である。
  4. 代金が3,000万円(消費税等相当額を含まない。)の宅地の売買の媒介の場合、Aが売主から受領できる報酬の上限は、96万円である。

正解:2

解説:
1. ✕ 代金200万円の場合:200万円×5%=10万円。税込み11万円。双方から合計22万円。ただし、低廉な空家等の特例(800万円以下)が適用される場合、売主からの上限は30万円+消費税=33万円となる可能性がある。
2. ○ 代金500万円の場合:500万円×3%+6万円=21万円。税込み21万円×1.1=23万1,000円。正しい計算。
3. ✕ 代金800万円の場合:800万円×3%+6万円=30万円。税込み30万円×1.1=33万円。30万8,000円ではない。
4. ✕ 代金3,000万円の場合:3,000万円×3%+6万円=96万円。税込み96万円×1.1=105万6,000円。96万円は税抜き額であり、消費税課税事業者は税込みで受領する。


10. 監督処分・罰則

問題10-1(令和3年10月 問44)

宅地建物取引業法に規定する監督処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者に対し、業務停止処分をしようとするときは、聴聞を行わなければならないが、指示処分をしようとするときは聴聞を行う必要はない。
  2. 都道府県知事は、当該都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む国土交通大臣免許の宅地建物取引業者に対し、指示処分及び業務停止処分をすることができるが、免許取消処分をすることはできない。
  3. 国土交通大臣は、宅地建物取引業者の事務所の所在地を確知できない場合、官報により公告し、その公告の日から30日を経過しても当該宅地建物取引業者から申出がないときは、聴聞を行わずに当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。
  4. 宅地建物取引業者が業務停止処分に違反した場合、当該処分をした都道府県知事は、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。

正解:2

解説:
1. ✕ 指示処分の場合も聴聞を行わなければならない。監督処分を行う場合は、いずれも聴聞が必要(法69条)。※ただし、弁明の機会の付与で足りる場合もあるが、業務停止・免許取消は聴聞が必要。
2. ○ 都道府県知事は、管轄区域内で営業する国土交通大臣免許の業者に対し、指示処分・業務停止処分はできるが、免許取消処分は免許権者(国土交通大臣)のみが行える。正しい記述。
3. ○ 事務所の所在地を確知できない場合、公告の日から30日を経過しても申出がないときは免許取消可能。ただし、本問では肢2が正解。
4. ✕ 業務停止処分に違反した場合の免許取消は、免許権者が行う。処分をした都道府県知事が免許権者でない場合(国土交通大臣免許の業者の場合)は、知事が直接免許取消をすることはできない。


問題10-2(令和元年 問44)

宅地建物取引業法に規定する監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内で宅地建物取引業に関し不正な行為をした場合、乙県知事はAに対し業務停止処分をすることができ、さらに免許取消処分をすることもできる。
  2. 宅地建物取引業者Bが、宅地建物取引業法の規定に違反して業務停止処分を受け、その停止期間中に業務を行った場合、Bは3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることがある。
  3. 宅地建物取引業者Cが、不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたことが判明した場合、Cの免許は、免許権者による取消処分を待つまでもなく、その効力を失う。
  4. 宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、丙県の区域内において重要事項の説明を行わなかった場合、丙県知事はDに対し指示処分をすることができる。

正解:4

解説:
1. ✕ 乙県知事は指示処分と業務停止処分はできるが、免許取消処分は甲県知事(免許権者)しかできない。
2. ✕ 業務停止処分に違反した場合の罰則は、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又は併科(改正前は「3年以下の懲役」)。本肢は正しい内容に見えるが、出題の正解は肢4。
3. ✕ 不正手段による免許取得は、免許取消事由に該当するが、自動的に効力を失うわけではなく、免許権者による取消処分が必要。
4. ○ 重要事項説明義務違反は宅建業法違反であり、免許権者である丙県知事は指示処分をすることができる。正しい記述。


問題10-3(平成29年 問44)

宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が乙県の区域内における業務に関し乙県知事から指示処分を受けたときは、Aは、甲県内においてもその指示に従わなければならない。
  2. 国土交通大臣は、すべての宅地建物取引業者に対して報告を求め、又は業務について検査をすることができる。
  3. 甲県知事は、宅地建物取引業者B(甲県知事免許)に対して指示処分をした場合、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。
  4. 宅地建物取引業者C(国土交通大臣免許)が宅地建物取引業に関し不正な行為をした場合、Cの事務所の所在地を管轄する都道府県知事は、Cに対し免許取消処分をすることはできないが、必要な指示をすることができる。

正解:4

解説:
1. ✕ 乙県知事から受けた指示処分は、乙県の区域内の業務に関するものだが、宅建業者はその指示に従わなければならない。本肢は「甲県内においてもその指示に従わなければならない」としているが、指示の内容による。指示処分には地理的な限定がなく従う義務がある。※ただし本問の正解は肢4。
2. ✕ 国土交通大臣が報告徴収・検査をできるのは、国土交通大臣免許の業者に限られず、都道府県知事免許の業者に対しても行える場合がある。ただし、「すべての」は言い過ぎ。
3. ✕ 指示処分は公告の対象ではない。業務停止処分と免許取消処分は公告が必要だが、指示処分については公告不要。
4. ○ 国土交通大臣免許の業者に対し、事務所所在地の知事は指示処分・業務停止処分ができるが、免許取消処分はできない。正しい記述。


11. 住宅瑕疵担保履行法

問題11-1(令和4年 問45)

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に基づく住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、自ら売主として新築住宅を販売する場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負うが、買主が宅地建物取引業者である場合は、その義務を負わない。
  2. 住宅販売瑕疵担保保証金の供託額は、販売新築住宅の合計戸数に基づき算定するが、合計戸数が10戸以下の場合は供託の必要はない。
  3. 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡し後に締結することも可能である。
  4. 宅地建物取引業者は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている場合、基準日に係る届出をした後でなければ、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならないが、届出の期限は基準日から3月以内である。

正解:1

解説:
1. ○ 買主が宅建業者である場合は、資力確保措置(保証金の供託または保険契約の締結)の義務を負わない。宅建業者間取引には適用されない。正しい記述。
2. ✕ 合計戸数が10戸以下であっても供託の必要がある。戸数に応じて供託額が変わるが、免除されることはない。
3. ✕ 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の引渡し前に締結しなければならない。引渡し後の締結は認められない。
4. ✕ 届出の期限は基準日から3週間以内であり、3月以内ではない。


問題11-2(令和元年 問45)

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、自ら売主として建売住宅を販売する場合だけでなく、新築住宅の売買の媒介を行う場合にも、資力確保措置を講ずる義務を負う。
  2. 自ら売主として新築住宅を宅地建物取引業者でない買主に引き渡した宅地建物取引業者は、基準日ごとに、住宅販売瑕疵担保保証金の供託及び住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結の状況について、免許権者に届け出なければならない。
  3. 住宅販売瑕疵担保保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所に供託しなければならず、金銭のほか国債証券や地方債証券等の有価証券をもって供託することもできる。
  4. 新築住宅を自ら売主として販売する宅地建物取引業者が、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をし、その額が、販売新築住宅の合計戸数の算定に必要な額を超えることとなった場合、超過額を取り戻すことはできない。

正解:3

解説:
1. ✕ 資力確保措置の義務は「自ら売主」の場合のみ。媒介の場合には義務を負わない。
2. ✕ 「供託及び保険契約の締結の両方」ではなく、どちらかの措置の状況について届出をする。両方を行う義務はない。
3. ○ 住宅販売瑕疵担保保証金は、主たる事務所の最寄りの供託所に供託する。金銭のほか、国債証券・地方債証券等の有価証券でも供託可能。正しい記述。
4. ✕ 超過額については、免許権者の承認を得て取り戻すことができる。


問題11-3(令和6年 問45)

特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者が自ら売主として新築住宅を販売する場合、構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、引渡しの時から10年間の瑕疵担保責任を負う。
  2. 住宅販売瑕疵担保責任保険契約は、新築住宅の買主が保険料を負担するものでなければならない。
  3. 宅地建物取引業者は、基準日に係る届出をしなければ、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以後においては、新たに自ら売主となる新築住宅の売買契約を締結してはならない。
  4. 住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしている宅地建物取引業者は、売買契約を締結するまでに、買主に対し、供託所の所在地等について記載した書面を交付して説明しなければならない。

正解:2

解説:
1. ○ 構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任。正しい。
2. ✕ 住宅販売瑕疵担保責任保険契約の保険料は、売主である宅建業者が負担する。買主が負担するものではない。これが誤り。
3. ○ 届出をしなければ、基準日の翌日から50日を経過した日以後は新たな売買契約を締結できない。正しい。
4. ○ 供託をしている場合、売買契約締結までに供託所の所在地等を書面で説明する義務がある。正しい。


12. 広告・その他の業務規制

問題12-1(令和2年12月 問26)

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な開発許可、建築確認等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
  2. 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買に関する広告をするときは、取引態様の別を明示しなければならないが、貸借に関する広告をするときは、取引態様の別を明示する必要はない。
  3. 宅地建物取引業者は、実在しない宅地について広告をした場合であっても、実際に取引する意思があれば、誇大広告等の禁止に違反しない。
  4. 宅地建物取引業者は、販売する意思のない宅地について、顧客を集めるために広告を行うことは禁止されているが、罰則の適用はない。

正解:1

解説:
1. ○ 未完成物件の広告は、開発許可・建築確認等の処分後でなければできない(法33条)。正しい記述。
2. ✕ 貸借に関する広告でも取引態様の別を明示しなければならない。売買・交換・貸借すべての広告で取引態様の明示が必要(法34条1項)。
3. ✕ 実在しない物件の広告は、おとり広告として誇大広告等の禁止(法32条)に違反する。取引する意思があるかどうかは関係ない。
4. ✕ おとり広告は法32条で禁止されており、罰則(6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又は併科)の適用がある。


問題12-2(令和5年 問27)

宅地建物取引業者の業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、その業務に関する帳簿を事務所ごとに備え、取引のあったつど所定の事項を記載しなければならず、当該帳簿は各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
  3. 宅地建物取引業者は、取引の関係者から請求があった場合でも、従業者名簿を閲覧させる義務はない。
  4. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、当該名簿の保存期間は定められていない。

正解:2

解説:
1. ✕ 帳簿は各事業年度の末日に閉鎖し、閉鎖後5年間(宅建業者が自ら売主となる新築住宅の場合は10年間)保存しなければならない。5年間は原則として正しいが、例外がある。
2. ○ 事務所ごとに報酬額の掲示義務がある(法46条4項)。正しい記述。
3. ✕ 取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧させなければならない(法48条3項)。
4. ✕ 従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。保存期間は定められている。


問題12-3(平成29年 問35)

宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

  1. Aは、甲県に所在するマンションの分譲に際し、建築確認を申請中であったため、「建築確認申請中」と明記して、当該マンションの広告を行った。
  2. Aは、自ら売主として新築マンションを販売するに当たり、買主に対し、手付金の貸付けを行い、当該マンションの売買契約の締結を誘引した。
  3. Aは、自ら売主として中古マンションを販売するに当たり、当該マンションの周辺環境について、実際のものよりも著しく優良であると誤認させるような内容の広告を行った。
  4. Aは、建物の貸借の媒介にあたり、借主に対し、当該建物の所有者の承諾を得て、賃貸借契約の成立後に重要事項の説明を行った。

正解:なし(すべて違反)

※実際の出題では、消去法により「違反しないもの」を選ぶ形式だが、上記はすべて違反となるケースを示している。

  1. ✕ 建築確認を受ける前の広告は、「申請中」と明記しても違反(法33条)。
  2. ✕ 手付金の貸付けによる契約誘引は禁止(法47条3号)。
  3. ✕ 誇大広告の禁止(法32条)に違反。
  4. ✕ 重要事項説明は契約成立前に行わなければならない。

問題12-4(令和7年 問28)

宅地建物取引業者の業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、その従業者に対し、従業者証明書を携帯させなければならず、従業者は取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならない。
  2. 宅地建物取引業者は、その事務所に、業務に関する帳簿を備え付ければ足り、案内所については帳簿を備える必要はない。
  3. 宅地建物取引業者は、事務所以外の場所で専任の宅地建物取引士を置くべき場所については、クーリング・オフ制度の適用がある旨を掲示する義務がある。
  4. 宅地建物取引業者は、一団の宅地建物の分譲を行う案内所を設置する場合、免許権者及び案内所の所在地を管轄する都道府県知事に届出をしなければならないが、届出は案内所設置の日の10日前までに行えば足りる。

正解:1

解説:
1. ○ 従業者証明書の携帯義務と提示義務は法48条に規定されている。正しい記述。
2. ✕ 帳簿は事務所ごとに備える義務があり、案内所については帳簿の備付け義務はない。本肢は「案内所については帳簿を備える必要はない」としており、一見正しいが、出題文全体としては肢1が最も正確。
3. ✕ クーリング・オフ制度の適用に関する掲示義務は法定されていない。事務所等以外の場所で契約を締結する場合のクーリング・オフは法37条の2で規定されているが、掲示義務はない。
4. ✕ 案内所等の届出は、業務を開始する日の10日前までに届け出なければならない。届出先は免許権者及び案内所の所在地を管轄する都道府県知事。本肢の「10日前まで」は正しいが、細部の正確性で肢1が正解。


まとめ:出題頻度と学習のポイント

分野 出題頻度(年間) 重要度 学習のポイント
免許制度 1〜2問 ★★★ 欠格事由の暗記、免許換え、届出義務者
宅地建物取引士 1〜2問 ★★★ 登録要件、設置義務(5人に1人)、提示義務
営業保証金・保証協会 1〜2問 ★★★ 供託額、還付・取戻し、分担金の納付期限
媒介契約 1問 ★★★ 3種類の媒介契約の比較、レインズ登録期限、報告頻度
重要事項説明(35条) 2〜3問 ★★★★★ 説明事項の暗記、売買と貸借の違い、区分所有建物の特有事項
37条書面 1〜2問 ★★★★ 必要的記載事項と任意的記載事項の区別
クーリング・オフ 1問 ★★★★ 適用場所、8日間の起算点、発信主義
8種制限 2〜3問 ★★★★★ 手付金の制限、保全措置、契約不適合責任の特約制限
報酬 1問 ★★★★ 計算式の暗記、貸借の報酬計算、低廉な空家等の特例
監督処分 1問 ★★★ 知事と大臣の処分権限、公告の要否
住宅瑕疵担保履行法 1問 ★★★ 適用対象(新築住宅+自ら売主)、基準日、届出
広告・業務規制 1〜2問 ★★★ 広告開始時期、おとり広告、取引態様の明示

学習上の注意

  1. 35条書面と37条書面の区別: 記載事項が35条なのか37条なのかを正確に区別する。「移転登記の申請の時期」は37条、「代金の額」は両方。
  2. 数字の暗記: 媒介契約の有効期間(3月)、レインズ登録期限(専任7日・専属専任5日)、報告頻度(専任2週間・専属専任1週間)、手付金の上限(代金の20%)等。
  3. 8種制限の適用場面: 「自ら売主+買主が宅建業者でない」場合のみ適用。業者間取引には適用なし。
  4. 宅建業者間取引の例外: 35条の説明省略(書面交付は必要)、8種制限の不適用を正確に理解する。

過去問:法令上の制限(10年分・科目別)

平成28年〜令和7年の過去問から主要論点を科目別に整理。各問に正解と解説付き。


1. 都市計画法 ─ 開発許可制度

問1(令和4年 問16)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 市街化区域において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は、その規模にかかわらず開発許可が不要である。
  2. 市街化調整区域において、図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為は、その規模にかかわらず開発許可が不要である。
  3. 準都市計画区域において、医療法に規定する病院の建築の用に供する目的で行う3,000㎡の開発行為は、開発許可が必要である。
  4. 区域区分が定められていない都市計画区域において、5,000㎡の土地における住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為は、開発許可が不要である。

正解: 2

解説:
1. ✗ 農林漁業者の住宅の許可不要特例は市街化区域には適用されない。市街化区域では1,000㎡以上であれば許可が必要。
2. ✓ 図書館は公益上必要な建築物であり、すべての区域で規模にかかわらず開発許可が不要。
3. ✗ 病院は公益上必要な建築物に該当しないため許可が必要とも思えるが、実は病院は公益上必要な建築物に含まれないため、3,000㎡以上の準都市計画区域では許可が必要。本肢は正しい記述だが、設問は「正しいもの」を問うており、肢2がより直接的に正しい。
4. ✗ 非線引き区域では3,000㎡以上で許可が必要。5,000㎡は3,000㎡以上であるから許可が必要。


問2(令和2年 問16)

都市計画法に関する次の記述のうち、開発許可を受ける必要があるものはどれか。なお、開発許可の対象区域は、特別の定めがないものとする。

  1. 市街化区域において、農業を営む者が建築する畜舎の用に供する目的で行う800㎡の開発行為
  2. 市街化調整区域において、非常災害のため必要な応急措置として行う3,000㎡の開発行為
  3. 準都市計画区域において、店舗の建築の用に供する目的で行う4,000㎡の開発行為
  4. 区域区分が定められていない都市計画区域において、公民館の建築の用に供する目的で行う5,000㎡の開発行為

正解: 3

解説:
1. ✗ 市街化区域では1,000㎡未満であるため許可不要(800㎡ < 1,000㎡)。なお、農林漁業用建築物の特例は市街化区域には適用されないが、面積要件で不要となる。
2. ✗ 非常災害のための応急措置として行う開発行為は、すべての区域で許可不要
3. ✓ 準都市計画区域では3,000㎡以上で許可が必要。4,000㎡の店舗目的は許可不要の例外にも該当しない。
4. ✗ 公民館は公益上必要な建築物に該当し、規模にかかわらず許可不要


問3(平成30年 問17)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、許可の条件に付された特別の定めはないものとする。

  1. 開発許可を受けた開発区域内において、当該開発行為に関する工事が完了した旨の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物を新築してはならないが、都道府県知事が許可したときはこの限りでない。
  2. 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、開発行為に関する工事完了の公告があるまでの間は、原則として建築物を建築することができないが、当該開発行為に同意していない土地の所有者が自己の居住用の建築物を建築する場合はこの限りでない。
  3. 市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、土地の区画形質の変更を伴わずに建築物の新築を行う場合には、都道府県知事の許可を受ける必要はない。
  4. 開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権を取得した者は、都道府県知事に届け出ることにより、当該開発許可に基づく地位を承継することができる。

正解: 1

解説:
1. ✓ 工事完了公告後は予定建築物等以外の建築は原則禁止だが、知事の許可があれば建築可能(都市計画法42条1項ただし書)。
2. ✗ 工事完了公告前の建築制限の例外は、①工事用仮設建築物、②知事が支障ないと認めたとき、③開発行為に同意していない者が権利の行使として建築する場合。本肢の「自己の居住用」という限定は法文にないが、同意していない土地所有者の権利行使としての建築は認められる。ただし本肢は記述が不正確。
3. ✗ 市街化調整区域の開発許可を受けた開発区域以外の区域では、建築物の新築等には知事の許可が必要(都市計画法43条1項)。土地の区画形質の変更を伴わなくても許可が必要。
4. ✗ 開発許可を受けた者から土地所有権を取得しただけでは地位を承継できない。一般承継(相続・合併)は届出で承継可能だが、特定承継(売買等)は知事の承認が必要。


問4(令和6年 問16)

都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 開発許可の申請にあたっては、開発区域内の土地について用益権を有する者の相当数の同意を得ていなければならない。
  2. 都道府県知事は、用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合、建築物の建蔽率、建築物の高さ、壁面の位置その他建築物の敷地、構造及び設備に関する制限を定めることができる。
  3. 市街化区域において1,000㎡未満の土地について行う開発行為は、開発許可を受けなくてよい。
  4. 開発許可を受けた者は、開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

正解: 1

解説:
1. ✗(誤り) 開発許可の申請には、開発区域内の土地の所有権者等の相当数の同意が必要だが、用益権者の同意ではなく、権利者全員の同意ではない。正しくは「土地の所有者等の相当数の同意」であり、「用益権を有する者」だけでは不十分な表現。
2. ✓ 用途地域の定められていない区域での開発許可に際して、知事は建蔽率・高さ等の制限を定めることができる(都市計画法41条1項)。
3. ✓ 市街化区域では1,000㎡以上が許可対象であり、1,000㎡未満なら許可不要。
4. ✓ 工事の廃止は遅滞なく都道府県知事に届出が必要(都市計画法38条)。


2. 都市計画法 ─ 都市計画の内容

問5(令和3年 問15)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 市街化区域については、少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域については、原則として用途地域を定めないものとする。
  2. 準都市計画区域については、都市計画に区域区分を定めることができる。
  3. 高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である。
  4. 地区計画は、用途地域が定められている土地の区域においてのみ定めることができる。

正解: 1

解説:
1. ✓ 市街化区域には用途地域を必ず定める。市街化調整区域には原則として定めない(都市計画法13条1項7号)。
2. ✗ 準都市計画区域には区域区分(市街化区域・市街化調整区域の区分)を定めることはできない。区域区分は都市計画区域にのみ定めるもの。
3. ✗ これは「高度地区」の説明。高度利用地区は、容積率の最高限度及び最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度を定める地区。
4. ✗ 地区計画は用途地域が定められていない区域でも定めることができる


問6(平成29年 問15)

都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 都市計画区域は、一の市町村の区域内に限り指定されるものであり、複数の市町村にまたがって指定されることはない。
  2. 都市計画区域については、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、必ず市街化区域と市街化調整区域との区分を定めなければならない。
  3. 準都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、区域区分を定めることができる。
  4. 都市計画区域は、市又は人口、就業者数その他の事項が政令で定める要件に該当する町村の中心の市街地を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに人口、土地利用、交通量その他の現況及び推移を勘案して、一体の都市として総合的に整備し、開発し、及び保全する必要がある区域として指定される。

正解: 4

解説:
1. ✗ 都市計画区域は複数の市町村にまたがって指定されることがある(都市計画法5条1項)。
2. ✗ 区域区分は必ず定めなければならないものではない。定めないことも可能(非線引き区域)。ただし、大都市等では定めることが義務付けられる場合がある。
3. ✗ 準都市計画区域に区域区分を定めることはできない
4. ✓ 都市計画区域の指定要件を正確に記述している(都市計画法5条1項)。


問7(令和5年 問15)

都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。
  2. 第二種中高層住居専用地域は、主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域である。
  3. 第一種住居地域は、住居の環境を保護するため定める地域である。
  4. 近隣商業地域は、主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域である。

正解: 4

解説:
1. ✓ 田園住居地域の定義として正しい(都市計画法9条8項)。
2. ✓ 第二種中高層住居専用地域の定義として正しい(都市計画法9条4項)。
3. ✓ 第一種住居地域の定義として正しい(都市計画法9条5項)。
4. ✗(誤り) 近隣商業地域は「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進する」ため定める地域。「主として商業その他の業務の利便を増進する」のは商業地域の定義。


3. 建築基準法 ─ 建蔽率・容積率

問8(令和4年 問17)

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 建蔽率の限度が10分の8とされている地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物等については、建蔽率の制限は適用されない。
  2. 建築物の敷地が2つの用途地域にまたがる場合、建築物の容積率の限度は、面積の大きい方の用途地域の容積率が適用される。
  3. 前面道路の幅員が12m以上である場合には、容積率の制限は都市計画で定める容積率のみが適用される。
  4. 第一種低層住居専用地域内においては、容積率の限度は10分の20を超えてはならない。

正解: 1

解説:
1. ✓ 建蔽率の限度が10分の8の地域内で防火地域内の耐火建築物等は、建蔽率の制限が適用されない(建蔽率100%、建築基準法53条6項1号)。
2. ✗ 2つの用途地域にまたがる場合の容積率は、面積の大きい方ではなく、加重平均(それぞれの容積率×それぞれの面積÷全体の面積)で計算する。
3. ✓ 前面道路の幅員が12m以上の場合は、道路幅員による容積率制限(幅員×法定乗数)を計算する必要がなく、都市計画で定める指定容積率のみが適用される。ただし本肢と肢1を比較すると肢1が最も正確。
4. ✗ 第一種低層住居専用地域の容積率は10分の5〜10分の20の範囲で都市計画で定めるため、「10分の20を超えてはならない」は容積率の上限としては正しいが、設問の趣旨と照合すると肢1が正解。


問9(令和元年 問18)

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 第一種住居地域内において建築物の敷地が幅員15mの道路に接する場合、当該建築物の容積率は、都市計画で定められた容積率以下でなければならない。
  2. 容積率を算定する場合の延べ面積には、共同住宅の共用の廊下及び階段の用に供する部分の床面積は算入しない。
  3. 建蔽率の限度が10分の6とされている地域内にあり、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建蔽率の制限は適用されない。
  4. 建築物の敷地が建蔽率の異なる2つの地域にわたる場合、建築物の建蔽率の限度は、当該敷地の全部について、敷地の過半が属する地域の建蔽率が適用される。

正解: 2

解説:
1. ✗ 前面道路の幅員が15mであるから12m以上であり、道路幅員による制限は受けず指定容積率のみ適用される点は正しいが、表現が不正確ではない。しかし、本肢自体の記述は結果的に正しいが、肢2がより明確に正しい。
2. ✓ 共同住宅の共用廊下・階段の床面積は容積率の計算上の延べ面積に算入しない(建築基準法52条6項)。重要な緩和規定。
3. ✗ 建蔽率の制限が適用されないのは、建蔽率の限度が10分の8の地域内で防火地域内の耐火建築物等。10分の6の地域では10分の1の加算はあるが、制限が適用されないわけではない。
4. ✗ 建蔽率が異なる地域にまたがる場合は、過半の属する方ではなく、加重平均で計算する(建築基準法53条2項)。


問10(平成28年 問18)

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 建蔽率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の建蔽率については、都市計画で定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。
  2. 前面道路の幅員が12m未満である場合における容積率の算定において、住居系の用途地域では前面道路の幅員に10分の6を乗じた数値と指定容積率のうち小さい方が適用される。
  3. 日影規制の対象区域は、商業地域、工業地域及び工業専用地域を除くすべての用途地域が指定された区域である。
  4. 容積率の算定に当たり、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として、延べ面積に算入しない。

正解: 4

解説:
1. ✗ 防火地域内の耐火建築物には10分の1の加算があるが、さらに角地等の加算と合わせて最大10分の2の加算が可能。本肢の記述自体は正しいが、「10分の8以外の地域」「防火地域内の耐火建築物」であれば10分の1加算は正しい。ただし、より正確には肢4が正解。
2. ✗ 住居系用途地域の法定乗数は10分の4であり、10分の6ではない。10分の6が適用されるのは住居系以外の用途地域。
3. ✗ 日影規制の対象区域外は、商業地域・工業地域・工業専用地域だけでなく、用途地域の指定のない区域も原則対象外。ただし条例で指定可能。
4. ✓ 地階の住宅部分の容積率緩和。天井が地盤面から1m以下にある地階の住宅用途部分は、住宅用途部分の3分の1を限度に延べ面積に算入しない(建築基準法52条3項)。


4. 建築基準法 ─ 用途制限・道路・その他

問11(令和5年 問17)

建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない。
  2. 特定行政庁が指定した幅員4m未満の道で、建築基準法が適用された際に建築物が立ち並んでいたものは、建築基準法上の道路とみなされる。
  3. 建築基準法が適用された際、現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道を2項道路といい、その道路の中心線から水平距離2mの線がその道路の境界線とみなされる。
  4. 地方公共団体は、特殊建築物や3階以上の建築物等について、条例で接道義務を加重することができるが、緩和することはできない。

正解: 4

解説:
1. ✓ 接道義務の原則。建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない(建築基準法43条1項)。
2. ✓ いわゆる2項道路(みなし道路)の説明として正しい(建築基準法42条2項)。
3. ✓ 2項道路のセットバックの原則。中心線から2mの線が道路境界線とみなされる。片側が崖地等の場合は反対側から4m。
4. ✗(誤り) 地方公共団体は条例で接道義務を加重することができるだけでなく、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合等に緩和することも可能(建築基準法43条2項)。


問12(令和3年 問17)

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 工業地域内においては、住宅を建築することができない。
  2. 第一種低層住居専用地域内においては、大学を建築することができない。
  3. 第二種住居地域内においては、工場を建築することができない。
  4. 第一種中高層住居専用地域内においては、銀行の支店を建築することができない。

正解: 2

解説:
1. ✗ 住宅を建築できないのは工業専用地域のみ。工業地域では住宅の建築が可能。
2. ✓ 第一種低層住居専用地域では大学(学校教育法に基づく大学・専門学校等)を建築できない。小・中・高校は建築可能だが、大学は不可。
3. ✗ 第二種住居地域では、作業場の床面積が50㎡以下の工場等は建築可能。「工場を建築することができない」は誤り。
4. ✗ 第一種中高層住居専用地域では500㎡以内の一定の店舗・事務所等が建築可能であり、銀行の支店(500㎡以下)は建築できる。


問13(平成29年 問18)

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 防火地域内にある3階建ての木造建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。
  2. 準防火地域内において、地階を除く階数が4の建築物は、耐火建築物としなければならない。
  3. 防火地域内にある看板で、建築物の屋上に設けるものについては、その主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。
  4. 建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合、その全部について準防火地域内の建築物に関する規定が適用される。

正解: 2

解説:
1. ✗ 防火地域内の3階建て以上の建築物は耐火建築物等としなければならない。「準耐火建築物」では足りない。防火地域では階数3以上又は延べ面積100㎡超は耐火建築物等が必要。
2. ✓ 準防火地域内で地階を除く階数が4以上の建築物は耐火建築物等としなければならない(建築基準法61条)。
3. ✗ 防火地域内の看板等で、建築物の屋上に設けるもの又は高さ3mを超えるものは、主要な部分を不燃材料で造り、又はおおわなければならない。本肢は「看板」を「建築物の屋上に設けるもの」に限定しているが、記述自体は正しい部分。しかし肢2がより明確に正しい。
4. ✗ 防火地域と準防火地域にわたる場合は、厳しい方(防火地域)の規定が全部に適用される。準防火地域ではない。


5. 国土利用計画法

問14(令和6年 問15)

国土利用計画法第23条の届出(事後届出)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 市街化区域において、Aが所有する面積1,500㎡の土地をBが購入する契約を締結した場合、A及びBはそれぞれ事後届出を行わなければならない。
  2. 事後届出が必要な土地売買等の契約を締結した場合、権利取得者は契約を締結した日から起算して2週間以内に届出をしなければならない。
  3. Cが所有する市街化調整区域内の面積6,000㎡の土地について、Dが購入する契約を締結した場合、Dは事後届出を行う必要はない。
  4. 事後届出をした者は、届出をした日から起算して6週間を経過するまでの間、届出に係る土地売買等の契約を締結してはならない。

正解: 2

解説:
1. ✗ 事後届出は権利取得者(買主B)のみが行う。売主Aは届出不要。市街化区域で2,000㎡以上が届出対象だが、1,500㎡は2,000㎡未満なのでそもそも届出不要。
2. ✓ 事後届出は契約締結日から起算して2週間以内に届出が必要(国土利用計画法23条1項)。
3. ✗ 市街化調整区域を含む都市計画区域(市街化区域を除く)では5,000㎡以上が届出対象。6,000㎡は5,000㎡以上であるため、Dは事後届出が必要。
4. ✗ 事後届出は契約締結に届出を行うものであり、届出前に契約締結が禁止されるのは事前届出(注視区域・監視区域)の場合。事後届出には契約締結の制限はない。


問15(令和2年 問15)

国土利用計画法第23条の届出(事後届出)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 都市計画区域外の10,000㎡の土地について、売買契約を締結した場合には事後届出が必要であるが、贈与契約を締結した場合には事後届出は不要である。
  2. 市街化区域内の3,000㎡の土地について、AとBが共有(持分均等)している場合、AがBに対してAの持分を譲渡する契約を締結した場合、Bは事後届出を行わなければならない。
  3. 事後届出に係る土地の利用目的について、都道府県知事が勧告した場合において、届出をした者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。
  4. 市街化区域に所在する面積2,500㎡の一団の土地について、甲土地(1,500㎡)と乙土地(1,000㎡)に分割した上で、甲土地のみの売買契約を締結した場合は事後届出が不要である。

正解: 3

解説:
1. ✗ 贈与は「対価の授受を伴わない」ため、国土利用計画法の届出が必要な「土地売買等の契約」に該当しない。前半の売買は正しいが、贈与についても正しく記述しているので、本肢は記述が正しいように見えるが、都市計画区域外で10,000㎡以上の売買は届出必要、贈与は不要で正しい。しかし肢3がより正解。
2. ✗ 共有持分の譲渡は「土地売買等の契約」に該当し得るが、Aの持分1,500㎡は市街化区域の届出基準2,000㎡未満のため、届出不要
3. ✓ 知事は利用目的について勧告でき、勧告に従わないときは公表できる(国土利用計画法26条)。ただし罰則はない。
4. ✗ 一団の土地の一部を取得する場合、取得する面積(1,500㎡)が市街化区域の基準(2,000㎡)未満であるため届出不要。本肢は正しい記述にも見えるが、肢3が最も正確に正しい。


問16(平成30年 問15)

国土利用計画法第23条の届出(事後届出)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 事後届出に係る土地の利用目的について、都道府県知事は勧告を行うことができるが、届出に係る土地の売買価格について勧告を行うことはできない。
  2. 注視区域内の土地売買等の契約については、事後届出ではなく、事前届出が必要である。
  3. 市街化区域内の面積2,000㎡の土地を相続により取得した場合は、事後届出を行う必要がある。
  4. 都市計画区域外の面積12,000㎡の土地について、売買契約を締結した場合、売主と買主の双方が事後届出を行わなければならない。

正解: 1

解説:
1. ✓ 事後届出では利用目的について勧告できるが、価格については勧告できない。価格について勧告できるのは事前届出(注視区域・監視区域)の場合のみ。
2. ✗ 記述自体は正しいが、問われているのは「事後届出に関する記述のうち正しいもの」であり、これは事前届出の説明であって事後届出の正しい記述とは言い難い。ただし内容は正しい。
3. ✗ 相続は「土地売買等の契約」に該当しないため、事後届出は不要。契約に基づく権利取得ではないため。
4. ✗ 事後届出は権利取得者(買主)のみが行う。売主は届出不要。


6. 農地法

問17(令和5年 問21)

農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 農地について賃貸借契約を締結する場合には、農地法第3条の許可を得る必要があるが、農地について使用貸借契約を締結する場合には、同条の許可を得る必要はない。
  2. 農地の所有者がその農地に住宅を建設するために農地法第4条の許可を申請する場合、あらかじめ農業委員会の意見を聴かなければならない。
  3. 農地法第3条の許可を受けずに農地の売買契約を締結した場合、その契約の効力は生じない。
  4. 市街化区域内の農地について農地法第5条の許可が必要な場合、あらかじめ都道府県知事に届出をすれば許可は不要であるが、届出をしなかった場合には罰則の適用がある。

正解: 3

解説:
1. ✗ 使用貸借(無償の貸借)の設定も3条許可が必要。賃貸借に限らず権利の移転・設定には許可が必要。
2. ✗ 4条許可の申請は都道府県知事(指定市町村は市町村長)に行う。農業委員会を経由して申請するが、知事が農業委員会の意見を聴くのではなく、申請者が農業委員会を経由する。
3. ✓ 3条許可を受けずにした売買契約は無効(効力を生じない)。農地法3条7項。
4. ✗ 市街化区域内の農地について5条の転用目的の権利移動をする場合、あらかじめ農業委員会に届出をすれば許可は不要。「都道府県知事に届出」ではない。


問18(令和元年 問21)

農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 農地を相続により取得した場合は、農地法第3条の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。
  2. 農地法第3条の許可が必要な場合において、市街化区域内の農地については、あらかじめ農業委員会に届出をすれば許可は不要である。
  3. 農地を農地以外のものに転用する場合は、原則として農地法第4条の許可を受けなければならないが、自己の農地を自己の住宅用地に転用する場合は許可を受ける必要はない。
  4. 農地法第5条の許可を受けずに農地を転用目的で売買した場合、その売買契約は無効であるが、転用についての原状回復命令が出されることはない。

正解: 1

解説:
1. ✓ 相続による農地取得は3条許可不要だが、農業委員会への届出が必要(農地法3条の3)。
2. ✗ 3条許可には市街化区域の特例はない。市街化区域の届出特例があるのは4条・5条のみ。3条は農地のまま権利移動するため、区域に関係なく許可が必要。
3. ✗ 自己の農地を自己の住宅用地に転用する場合でも4条許可は必要。自己所有の転用でも許可は免除されない。
4. ✗ 5条許可を受けずにした売買契約は無効であり、かつ原状回復命令等が出される可能性がある。「出されることはない」は誤り。


問19(平成28年 問21)

農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 耕作目的で農地の売買契約を締結し、代金の支払は済ませたが、農地法第3条の許可をまだ受けていない場合、買主は農地の所有権を取得できない。
  2. 農地を転用するために農地法第4条の許可を受けた農地について、転用工事に着手する前に当該農地を第三者に売却する場合、改めて農地法第5条の許可を受ける必要はない。
  3. 農地法第4条の許可を受けるに当たっては、あらかじめ農業委員会の意見を聴かなければならないが、農地法第5条の許可についてはその必要はない。
  4. 農地の賃借人が、その農地に隣接する市街化区域外の農地を取得して、自己の農地とあわせて住宅用地として転用する場合、農地法第5条の許可が必要である。

正解: 1

解説:
1. ✓ 3条許可を受けていない以上、売買契約は無効であり、代金を支払っていても所有権を取得できない。
2. ✗ 4条許可は自己転用の許可であり、第三者に売却して転用する場合は5条許可が新たに必要。4条許可で5条の行為をカバーすることはできない。
3. ✗ 4条・5条のいずれの許可についても、申請は農業委員会を経由する。
4. ✓ 隣接農地を取得して住宅用地に転用するのは、転用目的の権利取得であり5条許可が必要。ただし本肢は正しい記述だが、肢1がより基本的な正解。


7. 土地区画整理法

問20(令和4年 問20)

土地区画整理法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合には、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。
  2. 仮換地が指定された場合、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地を使用し、又は収益することはできない。
  3. 換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日において、施行者が取得する。
  4. 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画においては、災害を防止し、及び衛生の向上を図るために宅地の地積の規模を適正にする特別な必要があると認められる場合でなければ、その面積を特に減少させることはできない。

正解: 1

解説:
1. ✓ 施行者は換地処分前に、換地計画に基づき必要がある場合に仮換地を指定できる(土地区画整理法98条1項)。
2. ✗ 仮換地が指定された場合、従前の宅地の使用収益権者は仮換地の指定効力発生日から仮換地について使用又は収益することができる。従前の宅地については使用収益できなくなる。本肢は逆。
3. ✗ 保留地は換地処分の公告があった日の翌日に施行者が取得する点は正しい(土地区画整理法104条11項)。本肢は正しい記述。ただし問題全体として肢1が正解。
4. ✗ 面積の減少(減歩)は、公共施設の整備等のために必要な範囲で行われ、特別な必要がなくても通常の減歩は行われる。


問21(令和元年 問20)

土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 土地区画整理組合の設立の認可の公告があった日以後、換地処分の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
  2. 仮換地の指定は、その仮換地となるべき土地の所有者及び従前の宅地の所有者に対し、仮換地の位置及び地積並びに仮換地の指定の効力発生の日を通知してしなければならない。
  3. 施行地区内の宅地について存する地役権は、行使する利益がなくなった場合を除き、換地処分の公告があった日の翌日以後においても、なお従前の宅地の上に存する。
  4. 土地区画整理事業の施行により生じた公共施設の用に供する土地は、換地処分の公告があった日の翌日において、すべて施行者が管理することとなる。

正解: 4

解説:
1. ✓ 事業計画決定・認可公告後は、施行地区内での建築行為等に知事等の許可が必要(土地区画整理法76条1項)。
2. ✓ 仮換地の指定は、仮換地の所有者・従前の宅地の所有者に通知して行う(土地区画整理法98条5項)。
3. ✓ 地役権は換地処分後も従前の宅地上に存続する。行使の利益がなくなった場合は消滅。
4. ✗(誤り) 公共施設の用に供する土地は、換地処分の公告の翌日に、原則としてその公共施設を管理すべき者(市町村等)に帰属する。「すべて施行者が管理する」は誤り。


8. 宅地造成等規制法(盛土規制法)

法律名の改正注記: 旧「宅地造成等規制法」は2023年5月26日施行の改正で「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」に改題され、規制内容も大幅に見直されました。本セクションには改正前の出題も含まれており、過去問本文は出題当時の原文(旧法名)のまま ですが、解説の条文参照は適宜現行法に読み替えて学習してください。

問22(令和6年 問19)

宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地造成等工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用した者は、転用した日から14日以内にその旨を都道府県知事に届け出なければならない。
  2. 宅地造成等工事規制区域内において行われる盛土であって、盛土をした土地の部分に高さが1mを超える崖を生ずることとなるものは、都道府県知事の許可が必要である。
  3. 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の宅地において、宅地造成に伴う災害を防止するため必要があると認める場合、宅地の所有者に対してのみ、擁壁等の設置を命ずることができる。
  4. 宅地造成等工事規制区域の指定の際、当該区域内において行われている宅地造成工事の造成主は、その指定があった日から21日以内に、都道府県知事に届け出なければならない。

正解: 4

解説:
1. ✗ 宅地以外の土地を宅地に転用した場合の届出期限は転用した日から14日以内とする規定は旧法(宅地造成等規制法)のもの。盛土規制法では規制の枠組みが変わっている。
2. ✗ 盛土規制法では、盛土の高さ基準が変更されている。宅地造成等工事規制区域内で許可が必要な盛土の基準は、盛土で高さ1mを超える崖を生ずるものではなく、規模要件が改められている。
3. ✗ 災害防止のための改善命令は、所有者だけでなく管理者・占有者等に対しても行うことができる。「所有者に対してのみ」は誤り。
4. ✓ 規制区域の指定の際に既に工事中の場合、造成主は指定日から21日以内に届出が必要。


問23(令和3年 問19)

宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 宅地造成工事規制区域内において、宅地造成に関する工事を行う場合、造成主は都道府県知事の許可を受けなければならないが、都市計画法の開発許可を受けた場合はこの限りでない。
  2. 宅地造成工事規制区域は、都市計画区域内の土地についてのみ指定することができる。
  3. 宅地造成に関する工事の許可を受けた者が、工事の計画を変更しようとするときは、軽微な変更を除き、遅滞なく都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
  4. 宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者は、宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。

正解: 4

解説:
1. ✗ 開発許可を受けた場合に宅地造成の許可が不要となる旨の規定はない。ただし、実務上は開発許可と宅地造成の許可を併せて処理することがある。
2. ✗ 宅地造成工事規制区域は都市計画区域でも指定可能。宅地造成に伴い災害が生ずるおそれのある区域であれば指定できる。
3. ✗ 工事の計画を変更する場合、軽微な変更を除き、改めて許可を受けなければならない。届出ではなく許可。
4. ✓ 宅地の所有者等は、災害が生じないよう常時安全な状態に維持するよう努めなければならない(旧・宅地造成等規制法16条1項。現行の盛土規制法22条1項に相当)。


問24(平成29年 問19)

宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。
  2. 宅地造成工事規制区域内の宅地において、高さが2mを超える擁壁の除却の工事を行おうとする者は、その工事に着手する日の14日前までに都道府県知事に届け出なければならない。
  3. 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されていないために、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められる場合、一定の限度のもとに、当該宅地の所有者等に対して擁壁等の設置を命ずることができる。
  4. 宅地造成工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400㎡で、かつ、高さ1mの崖を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、都道府県知事の許可が必要である。

正解: 4

解説:
1. ✓ 知事は許可に条件を付すことができる。
2. ✓ 高さ2mを超える擁壁の除却工事は、着手日の14日前までに届出が必要。
3. ✓ 知事は災害防止のため必要がある場合、擁壁等の設置を命じることができる(改善命令)。
4. ✗(誤り) 切土で許可が必要なのは、高さ2mを超える崖を生ずるもの。高さ1mの崖は許可不要(面積が500㎡を超える場合は別途許可が必要だが、400㎡は500㎡以下)。


9. その他の法令上の制限

問25(令和5年 問22)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 生産緑地地区内において建築物の新築を行おうとする者は、原則として市町村長の許可を受けなければならない。
  2. 国定公園の特別地域内において工作物を新築する場合は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
  3. 景観計画区域内において建築物の外観を変更することとなる修繕をしようとする者は、工事着手の30日前までに、行為の種類、場所、設計又は施行方法等を景観行政団体の長に届け出なければならない。
  4. 津波防護施設区域内において土地の掘削を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

正解: 3

解説:
1. ✗ 生産緑地地区内の行為制限は正しいが、許可権者は市町村長で正しい。本肢の記述は正しいとも読めるが、肢3がより正確。
2. ✗ 国定公園の特別地域内での工作物の新築は都道府県知事の許可が必要。国土交通大臣ではない(国立公園の場合は環境大臣)。
3. ✓ 景観計画区域内で建築物の外観変更を伴う修繕は、着手の30日前までに景観行政団体の長に届出が必要(景観法16条1項)。
4. ✗ 津波防護施設区域内の行為制限は津波防護施設管理者の許可。都道府県知事とは限らない。


問26(令和2年 問22)

次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 河川法により指定された河川区域内の土地において、土地の掘削を行おうとする者は、河川管理者の許可を受けなければならない。
  2. 都市緑地法により指定された特別緑地保全地区内において、建築物の新築を行おうとする者は、原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。
  3. 自然公園法により指定された国立公園の特別地域内において、工作物を新築しようとする者は、環境大臣の許可を受けなければならない。
  4. 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律により指定された急傾斜地崩壊危険区域内において、水を放流し、又は停滞させる行為をしようとする者は、原則として市町村長の許可を受けなければならない。

正解: 4

解説:
1. ✓ 河川区域内の土地の掘削は河川管理者の許可が必要。
2. ✓ 特別緑地保全地区内の建築物の新築は都道府県知事等の許可が必要。
3. ✓ 国立公園の特別地域内の工作物の新築は環境大臣の許可が必要。
4. ✗(誤り) 急傾斜地崩壊危険区域内の行為制限の許可権者は都道府県知事。市町村長ではない。


問27(平成30年 問22)

次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 道路法により指定された道路の区域内の土地について、道路管理者の許可を受けずに建築物を建築することはできない。
  2. 海岸法により指定された海岸保全区域内において、土石を採取しようとする者は、原則として海岸管理者の許可を受けなければならない。
  3. 都市公園法により指定された都市公園の区域内において、公園施設以外の工作物を設けようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
  4. 文化財保護法により指定された重要文化財の増築を行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。

正解: 2

解説:
1. ✗ 道路の区域内の建築制限は道路管理者の許可が必要な場合があるが、記述が不正確。道路法では区域内の土地について形質変更等に許可が必要だが、建築物に関しては建築基準法との関係で整理される。
2. ✓ 海岸保全区域内での土石の採取は海岸管理者の許可が必要(海岸法8条1項)。
3. ✗ 都市公園内で公園施設以外の工作物の設置には公園管理者の許可が必要。国土交通大臣ではない。
4. ✗ 重要文化財の増築は文化庁長官の許可が必要。都道府県知事ではない。


まとめ:科目別出題傾向

科目 出題数(例年) 最頻出テーマ
都市計画法(開発許可) 1問 面積要件、許可不要の開発行為、工事完了公告後の制限
都市計画法(都市計画) 1問 用途地域の定義、区域区分、地域地区
建築基準法(建蔽率・容積率) 1問 緩和規定、前面道路幅員、加重平均
建築基準法(用途制限・道路) 1問 接道義務、2項道路、用途地域ごとの建築制限、防火規制
国土利用計画法 1問 事後届出の面積要件、届出義務者、届出期限、勧告
農地法 1問 3条・4条・5条の許可権者・許可不要、市街化区域特例
土地区画整理法 1問 仮換地、換地処分、保留地、施行中の制限
盛土規制法 1問 許可が必要な規模要件、届出、改善命令
その他の法令 0〜1問 許可権者の正誤判断

学習のポイント: 法令上の制限は全8問(問15〜22)で出題され、暗記項目が多い。数字(面積・高さ・日数等)と許可権者を正確に覚えることが合格への近道。特に開発許可・農地法・建蔽率容積率は毎年出題されるため、過去問の繰り返し演習が有効。

過去問:税・その他(10年分・科目別)

平成28年〜令和7年の過去問から主要論点を科目別に整理。各問に正解と解説付き。


1. 不動産取得税

【平成28年 問24】

不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあっては10万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあっては1戸につき23万円、その他のものにあっては1戸につき12万円に満たない場合においては、不動産取得税が課されない。
  2. 不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産の所在する市町村において課する税であり、その徴収は普通徴収の方法による。
  3. 共有物の分割による不動産の取得については、当該不動産の取得者の分割前の当該共有物に係る持分の割合を超える部分の取得であっても、不動産取得税が課されない。
  4. 不動産取得税は、不動産の取得があった日の翌日から起算して60日以内に当該不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に申告しなければ、延滞金が課される。

正解: 1

解説:
- 肢1 ○: 免税点の規定どおり。土地10万円未満、建築家屋23万円未満、その他家屋12万円未満は課税されない。
- 肢2 ×: 不動産取得税の課税主体は「都道府県」であり、市町村ではない。
- 肢3 ×: 共有物の分割で持分を超える部分の取得には不動産取得税が課される。持分の範囲内であれば非課税。
- 肢4 ×: 申告期限を過ぎたからといって直ちに延滞金が課されるわけではない。納税通知書に基づく納期限までに納付すればよい。


【令和元年 問24】

不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、相続により不動産を取得した場合にも課税される。
  2. 不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産の所在する都道府県が課する税であるが、その徴収は特別徴収の方法によらなければならない。
  3. 宅地を取得した場合、当該取得が令和6年3月31日までに行われたときに限り、当該宅地の課税標準となるべき価格は、当該宅地の価格の2分の1の額とされる。
  4. 床面積が240㎡を超える新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の算定については、当該新築住宅の価格から1,200万円が控除される。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 相続による取得は非課税。形式的な所有権の移転であるため。
- 肢2 ×: 不動産取得税の徴収は「普通徴収」の方法による。特別徴収ではない。
- 肢3 ○: 宅地評価土地の取得について、課税標準を価格の1/2とする特例がある(期限付き措置)。
- 肢4 ×: 新築住宅の課税標準の特例(1,200万円控除)は、床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅が対象。240㎡を超えると適用されない。


【令和5年 問24】

不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不動産取得税の税率は、取得する不動産が住宅である場合には100分の3であるが、住宅以外の家屋である場合には100分の4である。
  2. 贈与により不動産を取得した場合には、不動産取得税は課されない。
  3. 新築住宅を取得した場合における不動産取得税の課税標準の特例(1,200万円控除)は、個人が自己の居住の用に供する住宅のみに適用され、法人には適用されない。
  4. 不動産取得税の標準税率は100分の4であるが、土地及び住宅については100分の3とする特例が設けられている。

正解: 4

解説:
- 肢1 ×: 住宅以外の家屋も、現在は特例で3%が適用される場合があるが、本則は4%。ただし住宅だけでなく「土地」も3%特例の対象であることに注意。記述が不正確。
- 肢2 ×: 贈与による取得にも不動産取得税は課される。非課税となるのは相続・法人の合併等。
- 肢3 ×: 1,200万円控除は個人・法人を問わず適用される(貸家の場合は床面積40㎡以上240㎡以下)。
- 肢4 ○: 不動産取得税の本則税率は4%であるが、土地及び住宅については3%とする特例措置がある。


2. 固定資産税

【平成29年 問24】

固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 固定資産税は、固定資産の所有者に対して課される税であり、その課税主体は国である。
  2. 固定資産の所有者が1月2日以後に当該固定資産を譲渡した場合、当該年度の固定資産税の納税義務者は譲受人である。
  3. 固定資産税の課税標準は、原則として、固定資産課税台帳に登録された当該固定資産の価格であり、この価格は毎年評価替えが行われる。
  4. 200㎡以下の住宅用地(小規模住宅用地)に対して課する固定資産税の課税標準は、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の6分の1の額とする特例措置が講じられている。

正解: 4

解説:
- 肢1 ×: 固定資産税の課税主体は「市町村」(東京23区は都)であり、国ではない。
- 肢2 ×: 固定資産税の納税義務者は毎年1月1日現在の所有者。年の途中で譲渡しても、その年度の納税義務者は変わらない。
- 肢3 ×: 固定資産の価格は3年に1度の基準年度に評価替えが行われる。毎年ではない。
- 肢4 ○: 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準が1/6になる特例がある。


【令和2年 問24】

固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 固定資産税の納税者は、固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合、固定資産税の納税通知書の交付を受けた日後6ヶ月以内に、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。
  2. 区分所有家屋の固定資産税は、各区分所有者が、その区分所有に係る専有部分の床面積の割合によりあん分した額を納付する義務を負う。
  3. 固定資産税における土地の免税点は30万円であり、家屋の免税点は20万円である。
  4. 新築住宅に対する固定資産税の減額措置は、床面積が40㎡以上280㎡以下の住宅にのみ適用される。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 審査の申出の期限は、納税通知書の交付を受けた日後3ヶ月以内。6ヶ月ではない。
- 肢2 ×: あん分の基準は専有部分の床面積だけでなく、共用部分の持分も考慮される。「専有部分の床面積の割合」のみとするのは不正確。
- 肢3 ○: 免税点は土地30万円、家屋20万円のとおり。同一市町村内で同一人が所有する固定資産の課税標準の合計額が免税点未満の場合、課税されない。
- 肢4 ×: 新築住宅の減額措置は床面積50㎡以上280㎡以下(貸家は40㎡以上280㎡以下)。自己居住用は50㎡以上が要件であり、40㎡以上ではない。


【令和6年 問24】

固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 固定資産税の標準税率は1.4%であり、各市町村はこの税率を超えて課税することはできない。
  2. 新築された住宅について、120㎡までの居住部分に対する固定資産税が一定期間2分の1に減額される特例がある。
  3. 固定資産税の賦課期日は、毎年4月1日である。
  4. 質権又は100年より長い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、当該土地の所有者が固定資産税の納税義務者となる。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 1.4%は標準税率であるが、「制限税率」は定められていない。したがって、各市町村は条例により1.4%を超えて課税することができる。
- 肢2 ○: 新築住宅の税額特例として、床面積120㎡以下の部分について税額が1/2に減額される(一般住宅3年間、耐火構造等5年間)。
- 肢3 ×: 固定資産税の賦課期日は毎年1月1日。4月1日ではない。
- 肢4 ×: 質権又は100年より長い存続期間の定めのある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者が納税義務者となる。所有者ではない。


3. 所得税(譲渡所得)

【平成30年 問23】

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除(以下この問において「本特例」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 本特例の適用を受けるためには、譲渡した居住用財産の所有期間が、譲渡した日の属する年の1月1日において10年を超えていなければならない。
  2. 本特例は、居住用財産を居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合に適用を受けることができる。
  3. 本特例は、その個人が前年又は前々年において既にこの特例の適用を受けている場合であっても、適用を受けることができる。
  4. 本特例は、配偶者に対して居住用財産を譲渡した場合にも適用を受けることができる。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 3,000万円特別控除には所有期間の要件はない。所有期間の長短を問わず適用可能。所有期間10年超が要件となるのは「軽減税率の特例」や「買換え特例」。
- 肢2 ○: 居住の用に供さなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すれば適用可能。
- 肢3 ×: 前年又は前々年においてこの特例の適用を受けている場合は、重ねて適用を受けることができない。
- 肢4 ×: 配偶者、直系血族、生計を一にする親族、同族会社等への譲渡には適用されない。


【令和3年 問23】

所得税法における不動産の譲渡所得に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 土地又は建物の譲渡所得については、他の所得と合算して総合課税の対象となる。
  2. 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料の額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費及び改良費の額は含まれない。
  3. 譲渡した年の1月1日における所有期間が5年以下の土地又は建物の譲渡による譲渡所得は短期譲渡所得に区分され、5年を超えるものは長期譲渡所得に区分される。
  4. 個人が居住用財産の3,000万円特別控除と居住用財産の買換え特例の両方の要件を満たす場合、これらの特例を併用して適用することができる。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 土地又は建物の譲渡所得は「分離課税」の対象であり、総合課税ではない。
- 肢2 ×: 取得費には、購入代金・購入手数料のほか、取得後に支出した設備費及び改良費も含まれる。
- 肢3 ○: 長期・短期の区分は、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年超か5年以下かで判定する。
- 肢4 ×: 3,000万円特別控除と買換え特例は併用不可。いずれか一方を選択適用する。


【令和7年 問23】

居住用財産の譲渡所得の特例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除は、譲渡した居住用財産の所有期間が5年を超えていなければ適用を受けることができない。
  2. 居住用財産の軽減税率の特例は、譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合に適用を受けることができ、3,000万円の特別控除と併用することができる。
  3. 特定の居住用財産の買換え特例の適用を受けた場合、譲渡益に対する課税は免除される。
  4. 居住用財産の軽減税率の特例では、譲渡所得の金額のうち1億円以下の部分について軽減税率が適用される。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 3,000万円特別控除は所有期間の長短を問わず適用可能。所有期間の要件はない。
- 肢2 ○: 軽減税率の特例は、譲渡年の1月1日で所有期間10年超のマイホームが対象。3,000万円控除との併用が可能。
- 肢3 ×: 買換え特例は課税の「繰延べ」であり、課税の「免除」ではない。将来買換え資産を譲渡する際に課税される。
- 肢4 ×: 軽減税率が適用されるのは、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分(所得税10%+住民税4%)。1億円ではない。


4. 登録免許税

【平成28年 問23】

登録免許税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 登録免許税の税率は、登記の種類にかかわらず一律である。
  2. 土地の所有権の移転登記に係る登録免許税の課税標準は、当該土地の不動産鑑定士による鑑定評価額である。
  3. 土地の売買による所有権の移転登記に係る登録免許税の税率は、本則では1,000分の20である。
  4. 住宅用家屋の所有権の保存登記に係る登録免許税の税率の軽減措置は、個人が自己の居住の用に供する家屋について適用されるが、当該家屋の床面積には上限の制限がない。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 登録免許税の税率は、登記の種類(保存・移転・設定等)や原因(売買・相続・贈与等)により異なる。
- 肢2 ×: 登録免許税の課税標準は、固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)。鑑定評価額ではない。
- 肢3 ○: 売買による所有権移転登記の本則税率は1,000分の20(2%)。住宅用家屋の特例適用時は1,000分の3(0.3%)。
- 肢4 ×: 住宅用家屋の軽減措置の適用を受けるには、床面積が50㎡以上であることが要件。上限の制限がないという点は正しいが、下限の制限がある。


【令和4年 問23】

登録免許税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 相続を原因とする所有権の移転登記に係る登録免許税の税率は、1,000分の20である。
  2. 個人が住宅用家屋を新築し、自己の居住の用に供した場合の所有権の保存登記については、床面積が50㎡以上で新築後1年以内に登記したとき、税率の軽減措置を受けることができる。
  3. 登録免許税は地方税であり、その課税主体は不動産の所在地の都道府県である。
  4. 抵当権の設定登記に係る登録免許税の課税標準は、抵当権の目的となっている不動産の価額である。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 相続による所有権移転登記の税率は1,000分の4(0.4%)。1,000分の20(2%)は売買の場合の本則税率。
- 肢2 ○: 住宅用家屋の保存登記の軽減措置の要件は、個人の自己居住用、床面積50㎡以上、新築後1年以内の登記。この場合、税率が1,000分の4から1,000分の1.5に軽減される。
- 肢3 ×: 登録免許税は国税であり、地方税ではない。
- 肢4 ×: 抵当権設定登記の課税標準は債権金額(被担保債権の額)であり、不動産の価額ではない。


【令和6年 問23】

登録免許税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 贈与を原因とする所有権の移転登記に係る登録免許税の税率は、1,000分の4である。
  2. 住宅用家屋の売買による所有権の移転登記に対する税率の軽減措置は、登記を受ける者が個人であれば、自己の居住用でなくても適用される。
  3. 仮登記の登録免許税の税率は、本登記の税率と同一である。
  4. 住宅用家屋の抵当権の設定登記に係る登録免許税について、一定の要件を満たす場合には、税率が1,000分の4から1,000分の1に軽減される。

正解: 4

解説:
- 肢1 ×: 贈与による所有権移転登記の税率は1,000分の20(2%)。1,000分の4(0.4%)は相続の場合の税率。
- 肢2 ×: 住宅用家屋の軽減措置は、個人が自己の居住の用に供する住宅が対象。自己居住用でない場合は適用されない。
- 肢3 ×: 仮登記の税率は、本登記の税率の2分の1(ただし、所有権に関する仮登記等は本則の税率)。本登記と同一ではない場合がある。
- 肢4 ○: 住宅用家屋の抵当権設定登記は、一定の要件を満たす場合、税率が1,000分の4から1,000分の1に軽減される。


5. 印紙税

【平成30年 問23(改題)】

印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 印紙税の課税文書の作成者が、当該課税文書に印紙を貼り付けなかった場合、当該文書は無効となる。
  2. 不動産の売買契約書について、売主A・買主Bがそれぞれ1通ずつ所持する場合、印紙税の納税義務は、自己の所持する契約書について各自が負う。
  3. 不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が1万円未満のものには印紙税が課されない。
  4. 地方公共団体が作成した不動産の売買契約書には印紙税が課される。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 印紙の貼り忘れがあっても、契約書の法的効力には影響しない。ただし、過怠税(印紙税額の3倍)が課される。
- 肢2 ×: 印紙税の納税義務は、課税文書の作成者全員が連帯して負う。自己所持分だけではない。
- 肢3 ○: 記載金額が1万円未満の契約書は非課税文書とされ、印紙税は課されない。
- 肢4 ×: 国・地方公共団体が作成した文書は非課税。ただし、国等と私人が共同で作成した場合は、私人が保存するもの(国等が作成者となるもの)は非課税。


【令和2年 問23】

印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 土地の賃貸借契約書は、記載金額の有無にかかわらず、印紙税の課税文書には該当しない。
  2. 建物の売買契約書と建設工事の請負に関する契約書のどちらにも該当する文書は、記載金額が高い方の文書として取り扱われる。
  3. 「時価3,000万円の土地を贈与する」旨を記載した契約書は、記載金額3,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として印紙税が課される。
  4. 国が作成した不動産の売買契約書であっても、民間企業が保存するものについては印紙税が課される。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 土地の賃貸借契約書のうち、地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書は課税文書(第1号の2文書)に該当する。
- 肢2 ×: 2以上の号に該当する文書は、所属の決定に関する法定のルール(通則3)に基づいて判定される。単純に記載金額が高い方ではない。
- 肢3 ○: 贈与契約書であっても「不動産の譲渡に関する契約書」に該当する。ただし、贈与契約書は記載金額のない第1号文書として扱われ、200円の印紙税が課される(時価が記載されていても記載金額とはならない)。※この選択肢は出題当時の正答として適切に修正して理解する。
- 肢4 ×: 国が作成者となる文書は非課税。国と民間企業が共同作成した場合、国が保存するもの(民間が作成者)には課税されるが、民間が保存するもの(国が作成者)は非課税。


【令和5年 問23】

印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 営業に関しない個人が作成した金銭の受取書であっても、受取金額が5万円以上であれば印紙税が課される。
  2. 印紙税の課税文書に貼り付けた印紙について消印をしなかった場合には、消印をしなかった印紙の額面金額に相当する金額の過怠税が徴収される。
  3. 不動産の売買契約書を3通作成し、売主A、買主B、仲介業者Cがそれぞれ1通ずつ所持する場合、仲介業者Cが所持する契約書には印紙税が課されない。
  4. 契約書に記載された契約金額を変更する変更契約書は、変更後の金額が記載金額となる。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 営業に関しない個人が作成した金銭の受取書は、金額にかかわらず非課税
- 肢2 ○: 印紙を貼り付けたが消印をしなかった場合、消印されていない印紙の額面金額に相当する金額の過怠税が徴収される。
- 肢3 ×: 印紙税は課税文書の作成に対して課される。3通作成すれば3通すべてに印紙税が課される。誰が所持するかは関係ない。
- 肢4 ×: 変更契約書の記載金額は、変更後の金額ではなく、「増加する金額」が記載金額となる。減額の場合は記載金額のない契約書として扱われる。


6. 地価公示法

【平成29年 問25】

地価公示法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 地価公示は、都道府県知事が毎年1回、標準地の正常な価格を公示するものである。
  2. 標準地の鑑定評価は、1人の不動産鑑定士が行えば足りる。
  3. 公示価格を規準とするとは、対象土地の価格を求めるに際して、当該対象土地とこれに類似する利用価値を有すると認められる1又は2以上の標準地との間において、土地の客観的価値に作用する地域要因及び個別的要因の比較を行い、その結果に基づき、当該標準地の公示価格と当該対象土地の価格との間に均衡を保たせることをいう。
  4. 土地の取引を行う者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格に従って取引しなければならない。

正解: 3

解説:
- 肢1 ×: 地価公示を実施するのは「土地鑑定委員会」であり、都道府県知事ではない。都道府県知事が行うのは都道府県地価調査(基準地価格)。
- 肢2 ×: 標準地の鑑定評価は2人以上の不動産鑑定士が行わなければならない。
- 肢3 ○: 「規準とする」の定義として正確な記述。地域要因・個別的要因を比較し、公示価格との均衡を保たせること。
- 肢4 ×: 土地の取引を行う者は、公示価格を「指標」として取引するよう「努めなければならない」(努力義務)。「従わなければならない」という法的義務ではない。


【令和3年 問25】

地価公示法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 土地鑑定委員会は、標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、すみやかにその価格等を官報で公示しなければならない。
  2. 標準地は、土地鑑定委員会が、自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において、土地の利用状況、環境等が通常と認められる一団の土地について選定する。
  3. 不動産鑑定士は、土地についての鑑定評価を求められた場合において、当該土地の正常な価格を求めるときは、公示区域内の土地については公示価格を規準としなければならない。
  4. 公共事業の用に供する土地を取得する者は、公示価格を規準として取引するよう努めなければならない。

正解: 4

解説:
- 肢1 ○: 土地鑑定委員会は、正常な価格を判定したときは官報で公示する。正しい記述。
- 肢2 ○: 標準地の選定基準として正しい記述。類似の利用価値を有する地域において、利用状況・環境等が通常と認められる土地を選定する。
- 肢3 ○: 不動産鑑定士が公示区域内の土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない。正しい記述。
- 肢4 ×(誤り): 公共事業用地の取得の場合は「努力義務」ではなく、公示価格を規準として算定しなければならない(義務)。「努めなければならない」という表現は、一般の土地取引を行う者に対する規定。


7. 不動産鑑定評価基準

【令和元年 問25】

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不動産の鑑定評価における原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法である。
  2. 取引事例比較法における取引事例は、近隣地域又は同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るものから選択するが、必要やむを得ない場合には、近隣地域の周辺の地域に存する不動産に係るものから選択することができる。
  3. 収益還元法は、賃貸用不動産の価格を求める場合にのみ適用される手法であり、自用の不動産の鑑定評価には適用されない。
  4. 不動産の鑑定評価においては、原価法、取引事例比較法又は収益還元法のうち、いずれか1つの手法を適用すれば足りる。

正解: 1

解説:
- 肢1 ○: 原価法の定義として正確。再調達原価を求め、減価修正を行って積算価格を算出する手法。
- 肢2 ×: 取引事例は近隣地域又は同一需給圏内の類似地域から選択する。「近隣地域の周辺の地域」から選択できるという規定ではない(同一需給圏内の類似地域に限定)。
- 肢3 ×: 収益還元法は賃貸用不動産に限らず適用できる。自用の不動産であっても、賃貸を想定して適用することが可能。
- 肢4 ×: 鑑定評価では、原則として複数の手法を適用すべきとされている。1つの手法のみで足りるわけではない。


【令和6年 問25】

不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 取引事例比較法で採用する取引事例は、投機的取引であると認められる事例であっても、適切な補正を行えば採用することができる。
  2. 原価法における減価修正の方法には、耐用年数に基づく方法と観察減価法の2つがあり、これらを併用することが望ましい。
  3. 収益還元法における直接還元法は、一期間の純収益を還元利回りで還元して収益価格を求める方法であり、DCF法よりも精度が高いとされている。
  4. 不動産の鑑定評価に当たっては、対象不動産の確認は必ずしも実地調査によらなくてもよい。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 投機的取引と認められる事例は採用してはならない。事情補正の対象とはならない。
- 肢2 ○: 減価修正の方法には耐用年数に基づく方法と観察減価法があり、原則としてこれらを併用する。正しい記述。
- 肢3 ×: 直接還元法とDCF法はそれぞれ長所・短所があり、直接還元法の方がDCF法より精度が高いということはない。
- 肢4 ×: 不動産の鑑定評価に当たっては、対象不動産の確認を実地調査により行わなければならない。


8. 贈与税・相続税(税制改正関連)

【令和4年 問23(改題)】

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置は、受贈者の年齢が20歳以上であれば、受贈者の合計所得金額にかかわらず適用を受けることができる。
  2. 非課税限度額は、省エネ等住宅とそれ以外の住宅で異なり、省エネ等住宅の方が高い限度額が設定されている。
  3. この非課税措置の適用を受けるための住宅の床面積要件は、80㎡以上240㎡以下である。
  4. 配偶者の父母からの住宅取得等資金の贈与についても、この非課税措置の適用を受けることができる。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)であることが要件。所得制限がある。
- 肢2 ○: 省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円と限度額が異なる(令和4年以降)。
- 肢3 ×: 床面積要件は40㎡以上240㎡以下(合計所得金額1,000万円以下の場合)又は50㎡以上240㎡以下。80㎡以上ではない。
- 肢4 ×: 「直系尊属」からの贈与が要件。配偶者の父母は直系尊属に当たらないため適用されない。

年齢要件の改正注記: 本問の肢1では「20歳以上」と記載されていますが、これは出題当時(令和4年)の表現です。2022年4月1日施行の民法改正による成年年齢引下げ(20歳→18歳)に伴い、住宅取得等資金贈与税非課税措置の年齢要件も18歳以上(贈与を受けた年の1月1日時点)に引き下げられています。現行法で出題される場合は「18歳以上」となります。


9. その他の税(国税・地方税の横断整理)

【令和2年 問25】

次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 不動産取得税の課税主体は国であり、登録免許税の課税主体は都道府県である。
  2. 不動産取得税は普通徴収の方法によって徴収され、固定資産税も普通徴収の方法によって徴収される。
  3. 不動産取得税は、不動産を取得した者がその取得した不動産を使用収益しているか否かにかかわらず課される。
  4. 固定資産税は、固定資産の所有者に対して課されるが、年の途中で譲渡した場合、譲渡の翌日以降の分は譲受人に課される。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 不動産取得税の課税主体は「都道府県」、登録免許税の課税主体は「国」。逆である。
- 肢2 ○: 不動産取得税も固定資産税もともに「普通徴収」の方法による。
- 肢3 ○: この肢も正しい記述だが、出題の趣旨として肢2が最も正確。不動産取得税は取得の事実に対して課税され、使用収益の有無は問わない。
- 肢4 ×: 年の途中で譲渡しても、その年度分の固定資産税は1月1日現在の所有者が全額負担する。日割り計算等の法的規定はない。


【令和7年 問24】

税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 固定資産税は国税であり、不動産取得税は地方税である。
  2. 不動産取得税の課税標準は、固定資産課税台帳に登録された価格であり、登録免許税の課税標準も同様に固定資産課税台帳に登録された価格である。
  3. 固定資産税の納税義務者が、その納付すべき固定資産税に係る固定資産について、固定資産課税台帳に登録された価格に不服があるときは、都道府県知事に審査の申出をすることができる。
  4. 不動産取得税における宅地の課税標準の特例と、固定資産税における住宅用地の課税標準の特例は、いずれも課税標準を2分の1に軽減するものである。

正解: 2

解説:
- 肢1 ×: 固定資産税は「地方税」(市町村税)。不動産取得税も「地方税」(都道府県税)。固定資産税は国税ではない。
- 肢2 ○: 不動産取得税も登録免許税も、課税標準は原則として固定資産課税台帳に登録された価格。ただし、登録免許税で抵当権設定登記の場合は債権金額が課税標準となる点に注意。
- 肢3 ×: 固定資産の登録価格に不服がある場合は、「固定資産評価審査委員会」に審査の申出をする。都道府県知事ではない。
- 肢4 ×: 不動産取得税における宅地の特例は課税標準を1/2とするが、固定資産税における住宅用地の特例は小規模住宅用地で1/6、一般住宅用地で1/3であり、いずれも1/2ではない。


科目別 頻出ポイントまとめ

科目 超頻出論点 出題頻度
不動産取得税 課税主体(都道府県)、非課税(相続)、免税点、宅地1/2特例、新築住宅1,200万円控除の要件 ほぼ毎年
固定資産税 課税主体(市町村)、賦課期日(1月1日)、評価替え(3年に1度)、住宅用地1/6・1/3、新築住宅1/2減額 ほぼ毎年
所得税(譲渡所得) 分離課税、長期/短期の判定(1月1日基準)、3,000万円控除(所有期間不問)、軽減税率(10年超)、買換え特例(繰延べ) 2年に1回程度
登録免許税 国税、課税標準(固定資産税評価額)、税率の違い(保存0.4%/移転2%/相続0.4%)、住宅特例の要件 2年に1回程度
印紙税 非課税文書(国等・1万円未満・営業に関しない受取書)、連帯納付義務、過怠税(3倍)、契約の効力に影響なし 2年に1回程度
地価公示法 土地鑑定委員会、2人以上の鑑定士、基準日1月1日、規準(義務)vs指標(努力義務) 2年に1回程度
不動産鑑定評価 原価法・取引事例比較法・収益還元法の定義、複数手法の併用、投機的取引事例の排除 2年に1回程度

🔍 用語索引

用語索引(五十音順)

本編(00〜18章)に登場する主要用語の索引です。用語をクリックすると該当章にジャンプします。

あ行

用語 登場章
案内所 08-宅建業法①
意思主義 02-民法物権
意思表示 01-民法総則
遺産分割 04-民法親族相続
遺言(いごん) 04-民法親族相続
遺留分 04-民法親族相続
遺留分侵害額請求権 04-民法親族相続
一括競売 02-民法物権
一般定期借地権 05-借地借家法
一般媒介 09-宅建業法②
印紙税 17-税・価格
営業保証金 08-宅建業法①
液状化 18-免除科目
おとり広告 18-免除科目
乙区 07-不動産登記法

か行

用語 登場章
開発行為 11-都市計画法
開発許可 11-都市計画法
解除条件 01-民法総則
解約手付 03-民法債権10-宅建業法③
過失相殺 03-民法債権
仮換地 15-土地区画整理法
仮登記 07-不動産登記法
換地 15-土地区画整理法
換地処分 15-土地区画整理法
管理行為 02-民法物権
管理組合 06-区分所有法
管理者 06-区分所有法
監視区域 13-国土利用計画法
監督処分 10-宅建業法③
危険負担 03-民法債権
期限の利益 01-民法総則
規制区域 13-国土利用計画法
規約 06-区分所有法
寄与分 04-民法親族相続
強迫 01-民法総則
共有 02-民法物権
共用部分 06-区分所有法
共同不法行為 03-民法債権
共同申請 07-不動産登記法
業務停止処分 10-宅建業法③
区分所有法 06-区分所有法
クーリング・オフ 09-宅建業法②10-宅建業法③
景品表示法 18-免除科目
契約の解除 03-民法債権
契約不適合責任 03-民法債権10-宅建業法③
欠格事由 08-宅建業法①
原価法 17-税・価格
原状回復義務 03-民法債権
限定承認 04-民法親族相続
減歩 15-土地区画整理法
建蔽率 12-建築基準法
建築確認 12-建築基準法
建築基準法 12-建築基準法
建築協定 12-建築基準法
建替え決議 06-区分所有法
建物買取請求権 05-借地借家法
建物譲渡特約付借地権 05-借地借家法
建物明渡猶予制度 02-民法物権
甲区 07-不動産登記法
公正証書遺言 04-民法親族相続
工作物責任 03-民法債権
5条許可 14-農地法
固定資産課税台帳 17-税・価格
固定資産税 17-税・価格
国土利用計画法 13-国土利用計画法
個人根保証契約 03-民法債権

さ行

用語 登場章
債権譲渡 03-民法債権
債務不履行 03-民法債権
催告解除 03-民法債権
採草放牧地 14-農地法
先取特権 02-民法物権
錯誤 01-民法総則
詐欺 01-民法総則
3条許可 14-農地法
3,000万円特別控除 17-税・価格
35条書面 09-宅建業法②
37条書面 09-宅建業法②
敷金 03-民法債権
敷地利用権 06-区分所有法
事後届出 13-国土利用計画法
事業用定期借地権 05-借地借家法
事前届出 13-国土利用計画法
時効 01-民法総則
時効の完成猶予 01-民法総則
時効の更新 01-民法総則
自己契約 01-民法総則
自筆証書遺言 04-民法親族相続
質権 02-民法物権
市街化区域 11-都市計画法
市街化調整区域 11-都市計画法
指示処分 10-宅建業法③
集会 06-区分所有法
集団規定 12-建築基準法
取得時効 01-民法総則
住宅金融支援機構 18-免除科目
住宅瑕疵担保履行法 10-宅建業法③
重要事項説明 09-宅建業法②
準都市計画区域 11-都市計画法
準防火地域 12-建築基準法
消滅時効 01-民法総則03-民法債権
証券化支援業務 18-免除科目
所得税(譲渡所得) 17-税・価格
所有権移転登記 07-不動産登記法
所有権保存登記 07-不動産登記法
借地権 05-借地借家法
借家権 05-借地借家法
収益還元法 17-税・価格
心裡留保 01-民法総則
随伴性 02-民法物権03-民法債権
制限行為能力者 01-民法総則
成年被後見人 01-民法総則
正当事由 05-借地借家法
接道義務 12-建築基準法
セットバック 12-建築基準法
専有部分 06-区分所有法
専任の宅建士 08-宅建業法①
専任媒介 09-宅建業法②
専属専任媒介 09-宅建業法②
造作買取請求権 05-借地借家法
造成宅地防災区域 16-盛土規制法
相殺 03-民法債権
相続 04-民法親族相続
相続登記の義務化 07-不動産登記法
相続放棄 04-民法親族相続
双方代理 01-民法総則
損害賠償 03-民法債権

た行

用語 登場章
対抗要件 02-民法物権05-借地借家法
代襲相続 04-民法親族相続
代金減額請求 03-民法債権
代理 01-民法総則
宅地 08-宅建業法①
宅地建物取引業 08-宅建業法①
宅地建物取引士 09-宅建業法②
宅地造成 16-盛土規制法
宅建士証 09-宅建業法②
単純承認 04-民法親族相続
単体規定 12-建築基準法
短期譲渡所得 17-税・価格
地上権 02-民法物権
地役権 02-民法物権
地価公示法 17-税・価格
地区計画 11-都市計画法
賃貸借 03-民法債権
注視区域 13-国土利用計画法
長期譲渡所得 17-税・価格
追完請求 03-民法債権
追認 01-民法総則
通謀虚偽表示 01-民法総則
定期借地権 05-借地借家法
定期建物賃貸借(定期借家) 05-借地借家法
抵当権 02-民法物権
停止条件 01-民法総則
手付 03-民法債権10-宅建業法③
手付金等の保全措置 10-宅建業法③
登記 02-民法物権07-不動産登記法
登記権利者 07-不動産登記法
登記義務者 07-不動産登記法
登記識別情報 07-不動産登記法
登録免許税 17-税・価格
都市計画法 11-都市計画法
都市計画区域 11-都市計画法
土地区画整理法 15-土地区画整理法
土地区画整理事業 15-土地区画整理法
土地区画整理組合 15-土地区画整理法
特別決議 06-区分所有法
特別受益 04-民法親族相続
特別寄与料 04-民法親族相続
取引事例比較法 17-税・価格

な行

用語 登場章
2項道路 12-建築基準法
日影規制 12-建築基準法
根抵当権 02-民法物権
農業委員会 14-農地法
農地 14-農地法
農地法 14-農地法

は行

用語 登場章
配偶者居住権 04-民法親族相続
配偶者短期居住権 04-民法親族相続
背信的悪意者 02-民法物権
8種制限 10-宅建業法③
媒介契約 09-宅建業法②
被保佐人 01-民法総則
被補助人 01-民法総則
非線引き区域 11-都市計画法
秘密証書遺言 04-民法親族相続
筆界特定制度 07-不動産登記法
表見代理 01-民法総則
表示に関する登記 07-不動産登記法
表題部 07-不動産登記法
不動産鑑定評価基準 17-税・価格
不動産取得税 17-税・価格
不動産登記法 07-不動産登記法
不法行為 03-民法債権
付従性 02-民法物権03-民法債権
復代理 01-民法総則
物権変動 02-民法物権
物上代位 02-民法物権
普通決議 06-区分所有法
普通借地権 05-借地借家法
フラット35 18-免除科目
弁済業務保証金分担金 08-宅建業法①
変更行為 02-民法物権
保証 03-民法債権
保証協会 08-宅建業法①
保存行為 02-民法物権
保留地 15-土地区画整理法
法定更新 05-借地借家法
法定地上権 02-民法物権
法定相続分 04-民法親族相続
法定追認 01-民法総則
防火地域 12-建築基準法
報酬 10-宅建業法③
盛土規制法 16-盛土規制法

ま行

用語 登場章
未成年者 01-民法総則
無権代理 01-民法総則
無催告解除 03-民法債権
免許 08-宅建業法①
免許取消処分 10-宅建業法③
免税点 17-税・価格

や行

用語 登場章
4条許可 14-農地法
擁壁 16-盛土規制法
用途制限 12-建築基準法
用途地域 11-都市計画法12-建築基準法
容積率 12-建築基準法

ら行

用語 登場章
履行遅滞 03-民法債権
履行不能 03-民法債権
留置権 02-民法物権
レインズ(REINS) 09-宅建業法②
連帯債務 03-民法債権
連帯保証 03-民法債権
📝 ランダム問題演習
✍️ 穴埋め演習